●フィラメントやレジン、その他気になったもの
3Dモデルを印刷するには、3Dプリンターに加え、フィラメントやレジンといった材料が必要となります。この材料で気になるものがいくつか見かけたので、紹介していきましょう。
取材開始直後、まず向かったのが「旭化成」さんのブース。セルロースナノファイバー(CNF)を配合したフィラメント「KARAKSA-F」を扱っているとのことで、どんなものなのか気になっていました。
CNFのフィラメントには大きく2つ種類があるようで、1つはTPUのように柔らかいエラストマーフィラメント。TPUよりも反りや収縮が小さく、ポリウレタンより耐加水分解性能にも優れているというのが特徴です。
もうひとつは、反りが小さく、強度や耐熱性にも優れた特性を持つタイプ。造形精度を高くしやすい、ある程度曲げにも強いという特徴もあり、かなり細かく複雑なモデルや、シートや蛇腹のような薄いモデルがサンプルとして印刷されていました。
もうひとつ気になっていたのは、「城東テクノ」さんのポリプロピレンフィラメント「JIZAI」。ポリプロピレンは工業製品で広く使われているプラスチックですが、3Dプリンターでは扱いにくいもののひとつ。密着性に劣り積層が剥がれやすい、熱収縮による反りが発生しやすいといった欠点があるためです。
JIZAIはこれらの欠点を克服した、進化系ポリプロピレン。最大の特徴は、反りが少なく印刷が楽になるというところ。実際の印刷サンプルも、薄手のものでも積層の剥がれがなく、厚みのあるものでも反りを感じないという、非常に良好な物となっていました。
光造形用のレジンで興味深かったのが、「エキマテ」。食品衛生法に適合していることで食器などにも利用可能なほか、嫌な臭いがしないというのが特徴です。
実際臭いをかいでみても、薬品臭などは全くなく、ほぼ無臭といってもいいくらい。これなら、家庭で使う場合も、家族の迷惑にならないでしょう。また、造形物は水洗いに強いため、特別な薬品ではなく、そのまま水で洗えるというのも強み。もちろん廃液はそのまま下水に流せるので、後片付けも簡単です。
特殊な対応3Dプリンターが必要なのかと聞いてみたところ、レーザタイプではない、多くの光造形機であれば使えるとのこと。これはうれしいですね。
ちなみに、大阪・関西万博の起工式記念品として贈呈されたミャクミャクのフィギュアは、このエキマテで造形されたものだそうです。
フィラメントを購入するときの最大の問題は、微妙な色味がわからないこと。同じホワイトと書いてあっても、メーカーやブランドが変われば全く違う色になっているのは当たり前なので、自分が思い描いていたホワイトが来るかは運次第です。しかし、そんな色ガチャのために1kgのフィラメントを買い続けるのは……現実的じゃないですよね。
そんな印刷した実物の色が見たいという人向けに、「MYS::Factory」が販売していたのがフィラメントのスウォッチサンプル。確か、90種類以上あったかと。ちなみに、こちらが友人のブースで、私もお手伝いしていました。(ちょいちょい抜け出していましたが)
3Dプリント部品の強度をソフトウェアで高めようというのが、CrossLayerさんの「Strecs3D」。これはスライサーの前処理ソフトで、応力解析の結果を参考に、インフィルの密度を変化させ最適化するというもの。力のかかる部分のインフィルは密に、かからない部分は荒くすることで、同じ重量でもより強固な部品を印刷できるようになるというのが特徴です。
このソフトは公開されていますので、気になる人はこちらの記事を参考に試してみてはいかがでしょうか。
個人的にグッときたのは、模型製作サポートツールを開発・販売している「FANTASY GEEK」さんの、「3D MRC」。とくに自由に組み合わせられる工具収納ケースは、机の上に散らかりがちな工具を手早く、キレイにまとめられます。
自分がキレイに片付けられない人なので、こういうお片付けグッズにはどうしても惹かれてしまいます。それを有効活用できるかどうかはさておき、ですけど。
●興味深いものだらけで時間がいくらあっても足りない状況でした
3Dプリンターでこんなことができるのか、こんなものが作れるのか、という驚きに何度も出会える祭典でした。
本当に面白いブースがそこかしこにあるため、目的のブースにたどり着くまでに寄り道しまくり、気づくと1時間経っていた……みたいな状態になりがちに。現物を目の前に、作った本人からお話を聞けますからね。そりゃ、楽しいハズです。
展示できるようなものは何も作れていないのに、次は作る側で参加してみたい、と心から思いました。
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