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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第155回

非エンジニアが数百万円級のツールを開発 画像&動画生成AIツールがゼロから作れた話

2026年05月04日 07時00分更新

文● 新清士

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ソフトウェアの作り方の概念が変わろうとしている

 開発開始から約1ヵ月の間に、さらにストーリーボードの作成機能や、SDXLへの対応など追加機能を次々に入れています。筆者にとっては、自分がほしかった機能をひたすら追加しているだけなので、楽しくて仕方ありません。

 エンジニアではない筆者にとっては、生産性が10倍になるとか、そういうレベルではありません。これをエンジニアに発注していたら、複数人月のプロジェクトにならざるを得ず、3ヶ月程度であっても数百万円かかるのが普通だったために、そもそも開発をしようと考えなかったでしょう。ところが、Claude Codeを通じて開発すれば、筆者一人で1ヶ月経たずにここまで来てしまいます。

 筆者のゲーム開発の経験からすると、機能追加にしても、バグ取りにしても、バグリストを並べて、会議をして、優先順位を決めて、上から潰していく……という感じで進めると、小さな機能修正をするだけでも1週間程度かかるのが普通でした。ところがClaude Codeは、思いついた機能を1時間くらいで実装できて、バグ処理も進められます。もう人間では追いつけない速度感に達しつつあります。

開発中のストーリーボード機能

SDXLの結果をビューアーで確認しているところ

 ただ、このツールを「百夜スタジオ」と名付けたのですが、今後、どうしていくべきなのかは悩んでいます。

 GitHubでの一般公開も考えたのですが、筆者の複数台のPC環境にあまりに依存しており、なんだかんだと他の方にとって初期セットアップが面倒であろうこと、汎用化の実装とテストは避けられないであろうこと。そして、公開後に不具合の連絡が多数来ること。しかし、筆者自身は継続的なサポートができるとは思えないことを思うと躊躇しているところです。

 そして、自分で作ってみてわかったのは、誰の環境でも安定的に動くような汎用性を求めた瞬間に、その保守コストは非常に大きなものになると予想ができました。だからこそ、A1111やForgeのようなビジネス化されていないWebUIの開発が止まってしまうことは避けられないのだなと。今のAIはどんどん状況が変わってしまうので、メンテナンスのコストがかかり続けると、そこは大きな負担になるのでしょう。

 一方で感じるのは、様々なコンテンツをAIで作れることが、もはや当たり前になりつつある現在、今の争点は、適切なコンテンツを作り込むためのコンテンツパイプラインと、そのワークフローをどれだけ独自のものとして確立できるかになろうとしているとも感じます。そのため、今後、様々なニーズに対応するための、WebUIの開発が進むでしょう。

 そして、これに類似した動きは、一般的なシステム開発の分野で広がっているであろうことは想像に難くありません。ソフトウェアの作り方の概念が変わろうとしています。

 筆者は、自分のニーズを満たすという目的で、この百夜スタジオの開発をしばらく続けようと思っています。5月6日に東京で開催される「生成AIなんでも展示会 Vol.5」で、筆者ブースに百夜スタジオを展示する予定です。ご興味がありましたらお立ち寄りください。

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。2026年3月に発売したクラフト系サバイバルゲーム『Exelio』のAIによるキャラクターデザイン、3Dプロップの作成を担当。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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