PUACL2026で活躍中のプロ選手に聞いた

【PUACL2026】「キャリアの終盤に差し掛かっているので、有終の美を飾りたい」DetonatioN FocusMe/Yakou選手インタビュー【ポケモンユナイト】

文●モーダル小嶋/ASCII

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注目チームとして名前を挙げられることも多いDetonatioN FocusMeのYakou選手にインタビュー

 戦略バトルゲーム『ポケモンユナイト』の公式国際大会、「Pokémon UNITE Asia Champions League 2026」(以下、PUACL2026)では、予選リーグが開催中。プレイオフ進出をかけた激しい争いが繰り広げられています。

 PUACL2026は国内トップレベルの選手たちが技術と戦略を競い合う場であると同時に、それぞれのチームや個人が積み重ねてきた時間の集積でもあります。試合結果だけを追っていては見えにくい背景や、プレーに込められた意図は、選手自身の言葉によって初めて輪郭を持つ部分もありましょう。

 本記事では、PUACL2026の舞台で戦うDetonatioN FocusMeのYakou選手のオンラインインタビューをお届けします。

DetonatioN FocusMe/Yakou選手

 ポケモンユナイト界の競技シーンで活躍し続け、PUACL2026の公式配信では“生ける伝説”とまで呼ばれたYakou選手。今回のリーグに向けて結成された新生チームでありながら、優れた成績を残しているDetonatioN FocusMe。その快進撃を支える存在と言っても差し支えないでしょう。

 競技の世界に長く身を置いたYakou選手がPUACL2026に「命をかけて」臨む理由とは。選手の言葉を通して、PUACL2026という大会の現在地と、ポケモンユナイト競技シーンの奥行きを感じ取ってください(※インタビューはDay4終了時に実施したものです)。

「環境が変わったDay4の試合は、悪い印象しかない」

——リーグも残すところ、あと2日となりました。ここまで戦ってきて、チーム(自分たち)の現在地をどう見ていますか?

Yakou選手 始まる前に最低限の目標にしていたのが、プレイオフ進出の8位以内。なおかつ理想は3位以内だったので、そこを狙える立ち位置にいるのは、そこまで悪くないのかなというふうには思ってます。

Day5終了時点で4位と、高順位に付けているDetonatioN FocusMe

——大会序盤と比べて、プレイ面や準備の面で変えてきたこと、あるいは変えようとしていることはありますか。

Yakou選手 リーグが始まる前は得意なサポートタイプ、回復系のポケモンを積極的に採用して、集団戦で勝ち切るような戦い方でいこうかなと思っていたんです。ただ、経験値と「がくしゅうそうち」の仕様変更があって*1、なかなかそういったポケモンが出しづらい環境になってしまって。

*1 :味方と一緒に野生ポケモンをKOした場合の経験値分配のルールが変更になったことにともない、「がくしゅうそうち」の野生ポケモンや相手ポケモンのKOによる経験値分配がなくなった

 そういった中で僕個人としては、コダックであるとか、バリヤードやシャワーズといった、どちらかというとディフェンス寄りのタイプのポケモンを積極的に採用していくという変化がありましたね。

——そのような環境の変化があった中で、印象に残った試合展開などはあるでしょうか。

Yakou選手 悪い印象の試合から話すと、Day4ですね。Day4の試合は、正直、もう……全部悪い印象しかなくて。環境が変わったり、ブラッキーが使えなかったりして、僕の練度の低さがチームの足枷になってしまった。1勝3敗という形で終えたので、そこがちょっと印象としては良くなかったかなと思ってます。

 良い印象の試合で言うと、やっぱりDay1の決勝、FENNELとの3試合目。かなり劣勢の中でラストの2分を迎えたんですけど、本当に細い勝ち筋を追ってなんとか勝つことができて、Day1で優勝できた。そこが一番、印象深いです。

国際タイトルを取って、有終の美を飾りたい

——リーグ戦の中で、印象に残ったチーム、選手はいらっしゃいますか。

Yakou選手 2人います。1人は、INSOMNIAのShaker選手。対戦した中でも、一番……なんていうんですかね、圧を感じるというか。戦いづらい相手です。

INSOMNIA/Shaker選手

 piui選手に関しては、今まで一緒に長くプレイしてきたんですけど、コダック、イワパレス、バリヤードなど、あまり使っているところを見たことがないポケモンをうまく使いこなしていた。「本当に器用だな」とびっくりした印象があります。

REJECT/piui選手

——印象に残った選手を挙げていただきましたが、一方で、Yakou選手たちに注目している人も多いはずです。たとえば、キャスターの皆さんに話を聞くと、注目チームにDetonatioN FocusMeを挙げている人が多いんですよ。

Yakou選手 キャスターの皆さんや視聴者のファンの方々に注目していただけているのは、とても光栄ですし、とにかく嬉しいことです。どちらかというと、注目していただくこと、期待してもらえることが力になるタイプなので。そういった理由でも、注目していただけて非常に嬉しいですね。

——特に、キャスターの篠原光さんが、「大会前のインタビューで『アジア1位を取る』と言い切ったYakou選手に覚悟を感じた」とおっしゃっていました。自分としても「命をかけて」とまで話されていた姿が印象的だったのですが、その強い決意はどこからくるのでしょう。

Yakou選手 一つは、DetonatioN FocusMeという、今回のプロリーグから新規参入した大きいプロチームに所属させていただいたわけで。そこの看板を背負うという意味の覚悟があります。

 もう一つは、自分は周りの選手と比べて年齢がかなり高くて。去年30歳になったばっかりなんですけど、eスポーツ選手の中では結構キャリアの終盤に近づいていて。

 僕は20代前半から他のタイトルでeスポーツのプロプレイヤーで活動してた経歴があるんですけど、ポケモンユナイトというタイトルでの活動が、eスポーツのプレイヤーとしてのキャリア的にも最後かなと。

 キャリアの終盤に差し掛かっているので、目標にしていた世界一、国際タイトルを取ってしっかり有終の美を飾りたいという、個人的な目標があるので。そこに向けての覚悟があるのかな、というふうには自分で思っています。

負けた理由を明確にして
「次はどう改善すればいいか」を考える

——長いリーグ戦の中で、気持ちの切り替えはどうされているのでしょうか。ちなみに、かつてYakou選手と同じチームで活動されていたObuyan選手は「気持ちを切り替える発想はない」とのことでしたが(「個人競技をした上で、結果がチームプレイになればいい」INSOMNIA/Obuyan選手インタビュー)。

Yakou選手 Obuyan選手らしいですよね(笑)。僕も一緒に同じチームでプレイしてた時期があったんですけど、いい意味で、練習のときも本番のときもあまり変わらないというか。Obuyan選手はそういった感じでした。

 僕は、そうですね……理由がわからなくて負けてしまうと、結構メンタルに来てしまうものがあるので。しっかり負けた理由を明確にして、明確にすることでその瞬間から「次はどう改善すればいいか」というのを考えて、切り替えるようにしてますね。

キャリアが長いだけに、“かつてのチームメイト”も多いYakou選手

——リーグの終盤に向けて、チームとして一番大事にしたいテーマ、あるいは個人として意識していきたいことは何でしょうか?

Yakou選手 僕だけじゃなくて、チームメンバーもおそらく日々試行錯誤してるんですけど、キャラプールを広げて特定のキャラの練度を上げることを一番意識しています。

「結果だけ追い求めていく」方法だけでは
eスポーツのキャリアとして限界がある

——最後に、ポケモンユナイトの世界に長く身を置いていたYakou選手にぜひ伺いたいことがあります。PUACL2026は、選手はもちろん、公式配信のキャスターの方々、ファンの方々からも「過去にないほど盛り上がっている」と評されています。Yakou選手から見て、今のポケモンユナイトの盛り上がりをどういうふうにご覧になっていますか。

Yakou選手 ユナイトの盛り上がりか……。僕は他のeスポーツのタイトルもやってきたんですが、そういったタイトルと比較すると、ポケモンユナイトというタイトルにおいて、日本という地域は間違いなく世界で1、2を争うほどレベルが高い。

 そういったeスポーツのタイトルって、結構、日本では珍しい部類なんです。なので、競技的なレベルはかなり恵まれているなと思ってますし、それはすごく良いことだと感じるんですけど。

 競技だけのレベルを上げて、選手が、“競技だけ”になっていくというか……「結果だけ追い求めていく」という方法で選手がeスポーツのキャリアを辿ることは、どうしても限界があるのかなというふうに思っていて。

 やっぱり、個人のパーソナルな部分の発信であったりとか、見せ方であったりとか、そういった部分がファンの獲得に繋がりますし。そのあたりに取り組んでる方もたくさんいらっしゃるんですけど、まだまだ、各々の選手に足りていないところじゃないかと。“盛り上がる”という面で見ると、そこでしょうか。

 まあ、それは僕も含めて……というか、「僕もまったくできていないので、人のことは言えないです」という話なんですけどね。

シリアスな意見の際は、ゆっくりと言葉を選び、誠実に回答していた姿が印象的

——良い意味で、すごく重たい言葉だと感じました。

Yakou選手 他のeスポーツのタイトルをやっていたときも、日本における競技のレベル自体は、国際的に見ても高かった……そんなタイトルがあったんです。

 でも、そのタイトルでは、選手たちが競技に参加するだけ、競技的なことに取り組むだけになってしまっていた。それゆえに盛り上がりに欠けて、最終的には視聴者的の数的なところが減っていってしまい、僕が引退した後にはプロリーグがなくなってしまった例もあったので。

 そういった意味でも、ユナイトにはそうなってほしくないなという思いがあります。


 

 冷静な自己分析能力と、キャリア終盤を見据えたプロとしての強い覚悟。今大会を一つの集大成と捉え、「国際タイトルを取って有終の美を飾りたい」と語る言葉からは、タイトル全体の未来を想うベテランならではの深い情熱が伝わってくるのではないでしょうか。

 インタビューで明かされた視点を踏まえてあらためて試合を振り返ることで、プレイの意味や大会の緊張感はより鮮明になるはず。選手たちが次にどのような選択を重ねていくのか、その行方も含めて今後の戦いを見届けたいですね。

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