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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第570回

長時間駆動702kmを実現! 日産の「新型リーフ」が軽快で使いやすいコンパクトクーペSUVへ進化

2025年10月12日 12時00分更新

文● 西川昇吾 編集●ASCII

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 フルモデルチェンジし3代目へと進化した日産の電気自動車「リーフ」。2010年に世界初の量産電気自動車として初代モデルが登場したリーフは、今回の新型により世界の電気自動車で唯一の3世代目へと進化したモデルとなりました。

 ハッチバックからクーペSUVへと大きく変化したこの3代目リーフに試乗する機会を得たので、リポートしていきます。

SUVになってもボディーサイズは扱いやすくコンパクト

空力と利便性を考えクーペSUVスタイルへと変化

 新型リーフが初代、2代目と大きく違うのがボディースタイルです。これまでハッチバックだったのに対し、クーペSUVと呼ばれるボディースタイルへと生まれ変わりました。また、日産のラインアップにある、より大きなBEV(バッテリーEV) SUVであるアリアと共通のプラットホームが採用され、車格も大きくなりセグメントで言えばCセグメントSUVとなりました。

 ボディーサイズは全長4360×全幅1810×全高1550mmで、先代モデルに比べて全長は-120mm短くなり、全幅は+20mm、全高は+10mmとなっています。機械式駐車場に対応可能な全高なのがうれしいところ。日本も含めたグローバル市場で使いやすいボディーサイズを実現しながら、長い航続距離を実現するための0.26低いCd値(空気抵抗係数)、そして広い室内空間……これらのあらゆる要素を実現するために、クーペSUVというボディスタイルが選ばれたのです。

ラゲッジスペースも実用性のある容量をしっかりと確保

初めてのBEVでも使いやすいクルマへ

航続距離はWLTCモードで702km!

 今回の新型リーフに関する注目ポイントは数多くありますが、最大のポイントは航続距離です。702km(B7 Xグレード)という航続距離を実現しています。なお、バッテリー容量は78kWhとなっているため、それほど大きいものではありません。では、なぜこれほど長い航続距離を実現できたのか? それは空力性能の向上と、バッテリーの温度管理が理由となっています。

 先に紹介したように0.26という低いCd値は、長い航続距離実現に貢献しています。日産の説明ではリアウィンドウの傾斜を17度にすると、良好な結果を得ることができたとのことで、この17はマジックナンバーだったとのこと。また、グリルシャッターやフロアのフラット化など、スポーツカー並みの空力性能へのこだわりが溢れているのです。

リアハッチの角度17度のマジックナンバーが空力のこだわりポイント

 また、熱マネジメントをアリアよりも進化させました。これまで捨てていた熱を回収して有効活用、さらに充電性能を向上させることによって、普段使いでもより安心して使えるBEVへと進化したのです。

 扱いやすいボディーサイズながら、汎用性の高い広々としたボディーサイズ、そして長い航続距離と優れた充電性能。これらの特徴を新型リーフに持たせたのは「多くの人に選ばれるBEVを作りたかったから」という背景があります。

 トヨタのプリウスがハイブリッドを普及させたように、新型リーフを誰もが扱いやすいBEVとすることで、BEVの普及と大衆化を図っていきたいと日産は考えているのです。

 それはクルマとしての性能だけに留まらず、BEVらしい活用方法の提案も含まれています。たとえば標準装備となっている充電口からの給電機能。アウトドアや災害時に役立つ機能ですが、この給電ソケットは標準装備となっています。ほかにも車内に用意されたコンセントや「乗る前エアコン」など、BEVだからこそできる便利機能が備わっているのもポイントと言えます。

給電ソケットは標準装備

【まとめ】日本の道路事情に適した「今、選ぶべき1台」

 そんな新時代のクルマのスタンダードを目指して、生まれ変わった新型リーフ。実際に試乗してみて、最初に驚かされたのは静粛性の高さです。「電気自動車なんだから当然でしょ」と言われてしまいそうですが、モーター音もアクセルを踏み込んでようやく聞こえてくる程度で、ロードノイズや風切り音もかなり静か。BEVの中でもトップクラスの静粛性となっています。あえて後席にも座ってみましたが、後席と前席の会話も良好でした。

 そして乗り味は全体的に「いい意味で普通」といった印象です。スロットルに対しても比較的順応に反応し、モーターらしい鋭い加速はあえて抑えられている印象。これならガソリン車から乗り換えても自然と対応できそうです。

 FFのみの設定ですが、FFらしくなくフロントが軽い印象で、ノーズが入っていくコーナリングも軽快感があります。

 ただ、床下にバッテリーを搭載する電気自動車であることを考えると、ややロール感が大きい印象です。日本仕様は日本の道路に合わせてバネレートと減衰が落とされているそうですが、このあたりを考えると公道で試乗してそのバランスを見てみたいところです。

乗り味的にオススメは18インチのGグレード

 また、18インチのホイールを装着するXグレードと、19インチを装着する上級Gグレードを乗り比べてみましたが、ステアリング操作に対するしっかりとした反応と振動の収束などを始め、乗り味は全体的にGグレードの方が優れている印象でした。

 装備内容的にはXグレードでもあまり不満はないかと思いますが、世界初となる3Dホログラムのリアテールの有無や、この乗り味を考えるとGグレードがオススメと言えます。

世界初の3Dホログラムテールランプ

 今回はクローズドコースでの試乗となりましたが、日本仕様の足回り、優れた充電性能、それらを考えると公道での試乗をし、いかに普通のクルマとしての完成度が高いか?それを試すのが楽しみな1台と言えます。

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