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体験版で触れられる「表現の進化」に注目!

「美化された期待を上回らねば」『空の軌跡 the 1st』メディア体験会レポート

文●Zenon/ASCII

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●トークステージで語られたエピソード

 ここからは、日本ファルコム代表取締役社長・近藤季洋氏と、リメイク版の声優・高柳知葉さん(エステル役)、藤原夏海さん(ヨシュア役)が登壇したトークステージの内容を紹介しよう。

近藤季洋氏

 ステージでは『空の軌跡 the 1st』の舞台やあらすじ紹介から始まり、主人公であるエステルとヨシュアのキャラクター紹介を経て、お三方への質問コーナーへと移っていった。

高柳知葉さん(エステル役)

藤原夏海さん(ヨシュア役)

 そこではリメイク版で新たに声優をキャスティングするにあたり、エステル役の高柳さんがじつは同じファルコム作品の『イースX -NORDICS-』にて敵役で出演していたことが明かされた。近藤社長いわく「高柳さんはクールな大人キャラの声の印象でしたが、サンプルボイスを聞いたらもうエステルじゃんとなりました」とのこと。

 高柳さんは初回の収録時に過去作へのリスペクトをもって可能な限りインプットし、緊張して出向いたものの、「リメイクするからには高柳さんならではのエステルを演じてほしい」と言われ、かなりリラックスして演じられるようになったという。

 ヨシュア役のキャスティングについては「非常に難航しました」とのこと。オーディションを行った際、藤原さんに決めたのは、“ラストシーン”のサンプルボイスを聞いて「これはヨシュアそのものだ」と感じたからだという。

 収録時のハプニングとして、エステルが歌う「ボースマーケットの鼻歌」の音源が来ておらず、高柳さんのアドリブで乗り切ったというエピソードも公開された。結局のちにちゃんと作曲した音源で収録し直したとのことだが、奇跡的にフレーズがアドリブの鼻歌とほぼ一致していたのが面白かったとのこと。ゲームで「商業都市ボース」を訪れるのが今から楽しみになった。

商業都市「ボース」にある市場・ボースマーケット

質問コーナー①「もしも軌跡シリーズの世界で冒険に出るとしたら、どんな仲間とどのような冒険をしてみたいですか?」

 近藤社長は家族と旅行に行った際のエピソードを開陳し、自分では感動が薄くなった景色も子どもはおおはしゃぎした思い出を踏まえ、リアクションの大きい仲間と冒険出来たら楽しいでしょうねと語っていた。

 高柳さんはその土地の地酒を飲むのが好きとのことで、シェラ姉(シェラザード)といい旅が出来そうとのこと。お酒に限らず、グルメ冒険ツアーをしてみたいと熱弁していた。

 藤原さんはカプア一家がお気に入りとのことで、愉快な人たちと「脳筋な海の航海」を楽しみたいとのこと。小難しいことを考えず、パワーですべてを解決するような旅をしてみたいと語った。

カプア一家。気の良い愉快な3兄妹だ

質問コーナー②「ご自身が演じられたエステル、ヨシュア以外で気になるキャラクターや好きなキャラクターは?」

 高柳さんは「オリビエ」を挙げ、その存在感やミステリアスさ、シェラザードとの愉快な掛け合いなどを理由としていた。愛されるキャラクターには理由があるんですね、と納得している様子も。

 藤原さんも同じく「オリビエ」推しで、エステルに違ったベクトルのツッコミをできる唯一のキャラであり、「きっとこんな感じで面白く来るんだろうなぁ~」と想像しながら楽しく収録していたとのこと。

 近藤社長いわくオリビエを演じる声優・子安武人さんは「オリビエみたいな人」とのことで、「軌跡シリーズの完結編にはオリビエを出せ」と熱いオーダーを受けていることも明かした。

旅の演奏家オリビエ・レンハイム(CV:子安武人さん)

質問コーナー③「エステルとヨシュアというキャラクターのイメージ像について、『空の軌跡FC』発売当時から変化した部分は?」

 これには近藤社長が回答。2人を最初に生み出したときのことはよく覚えているとし、2人の性別は当初逆で、新シリーズのオリジナリティとして主人公を女の子にしたのだという。2人は自分の子どものような存在で、20年経ってもやっぱりそこは変わらないと語った。

 また、以降の作品では2人の仲も進展しており「結婚」というキーワードがでていると話すと、高柳さんと藤原さんも「おやおや~!?」と反応。しかし社長の中では2人のイメージはまったく変わっておらず可愛らしい自分の子どものままで、別の舞台のお話の中でも「いま2人はどうしてるのかな」と考えることがあるという。

質問コーナー④「『空の軌跡 the 1st』の続編が出るとなった場合、どのようなエステル&ヨシュアを演じてみたいか? また、どのような作品を作っていきたいか?」

 高柳さんは作中でキャラクターたちが心身ともに成長している作品なんだとあらためて感じ、最初と最後のシーンではエステルの精神的な成長を感じた収録期間だったため、ちょっと大人になったエステルをこの先も演じられたら幸せだと考えているとのこと。

高柳さんはエステルを「目に見える世界がキラキラ輝いている女の子」と語っていた

 藤原さんはヨシュア自身にいろんなことが起こっているので、何を言ってもネタバレになっちゃうんじゃないかとビクビクしていると語り、何も苦しまずヨシュアが過ごせる日が来たらいいなと、親心のような心境でいると語った。

秘密だらけの少年ヨシュア。エステルとは姉弟のように5年の時を過ごした

 近藤社長は「ファンの方は結末をご存じだと思いますが」と前置きしつつ、ファンの「美化された期待」を上回らねばならないという懸念があるため、気合いを入れてクオリティアップした続編を作りたいと語った。

発売に向けてファンへのメッセージ

 高柳さんはこの作品が発表されて以来、国内のみならず海外のファンからも「空の軌跡大好きです!」と声をかけられることが増えたとし、「責任をもって新しいエステルを演じたいです」「皆さんの手元に届くのを楽しみにしています」と意気込みを語った。

 藤原さんはオリジナル版あってのリメイクだとしつつ、「リメイクならではの素晴らしい部分をお届けできれば」と語った。ヨシュアとしても「また演じたい」と思えるワクワクを感じており、「個性的なキャラクターたちの絡みを、自分たちの声とともにお届けできれば幸いです」と締めくくった。

 近藤社長からは「まさか自分で自分の作ったタイトルをリメイクすることになるとは思わなかったです」と率直な感想を述べつつ、本作のリメイクを決めた時に社内では大きな盛り上がりがあったことを明かした。

 ほかのプロジェクトにいながら「自分も参加させてください」「自分にメインプログラムをやらせてください!」と立候補するスタッフも続出したという。

 『空の軌跡』をプレイしてから入社したスタッフも当然いて、本作はオリジナルを作ったスタッフと、そうした「オリジナルを見て入社したスタッフ」がともに思い描く『空の軌跡』になったのだと、感慨深そうに語った。

 3Dが主流になった現代のRPG。そこには昔のJRPGにあった“良さ”が薄れてきていると近藤社長は語る。本作はエステルとヨシュアの“旅”をする感覚を大事にしており、薄れてきた良さをリフレインするのに非常にいいタイトルだと思うので、RPG好きはぜひ手に取ってもらえればと締めくくった。

 『空の軌跡 the 1st』は2025年9月19日発売予定。本日より体験版も配信中なので、ぜひプレイしてみてはいかがだろうか。

新たな「旅立ち」の時は、もうじき!

【ゲーム情報】

タイトル:空の軌跡 the 1st(ザ・ファースト)
ジャンル:ストーリーRPG
販売:日本ファルコム
プラットフォーム:Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PlayStation 5/PC(Steam)
発売日:2025年9月19日
価格:
 通常版:8800円(パッケージ版/ダウンロード版)
 ブレイサーBOX:1万5400円(パッケージ版)
 デジタルデラックス版:1万2100円(ダウンロード版)
 シーズンパス:3850円(ダウンロード版)
 空の軌跡 the 1st Nintendo Switch 2 Edition アップグレードパス:150円(ダウンロード版)
CERO:B(12才以上対象)

※パッケージ版はSwitch/PS5のみ。
※パッケージ版・ダウンロード版いずれかのSwitchソフト『空の軌跡 the 1st』を購入した人は、「アップグレードパス」を購入することで『空の軌跡 the 1st Nintendo Switch 2 Edition』を楽しめる。

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