貼る心電図はもう古い?Tシャツ型で“着るだけモニタリング”が登場
「着る○○」が、どんどん増えている
着る冷房、着るサウナ、着る整体のリカバリーウェア。何より“着るだけ”でいいのが魅力だ。そんな流れの中で、医療やヘルスケア分野にも「着る化」の波が押し寄せている。
東大発スタートアップの株式会社Xenoma(ゼノマ)が展開する「e-skin(イースキン)」は、まさにその代表例だ。見た目はごく普通のシャツ。しかしその生地には、洗濯可能な導電性インクと伸縮センサーが組み込まれており、“着る心電図パッチ”として働く。
肌に優しく、見た目は普通。新しい在宅医療のかたち
従来の在宅心電図モニタリングでは、肌に直接「貼る」タイプの電極パッチが一般的だった。しかし、敏感肌の人にはかぶれやかゆみの原因になることもある。さらに、汗でパッチがはがれないか気になったり、体の動きを制限される感覚がストレスになったりと、心理的な負担につながるケースも少なくない。
e-skinは、これらの課題に対する代替手段として開発されている。Tシャツ型やパジャマ型のe-skinには心電図や呼吸、体動などを計測するセンサーが縫い込まれており、リラックスした状態のまま24時間モニタリングが可能だ。
ゼノマのe-skinは、すでに国内外の医療・介護機関との実証や商用導入が進んでいる。例えば、在宅患者の異常検知、介護施設での転倒予防、てんかん患者のモニタリングなど、多様なシーンで応用が見込まれている。
医療とファッションの境界線がなくなってきた
着るだけで心電図モニタリングができるという発想は、Apple Watchなどのウェアラブル端末にも通じる。いまやApple Watchは、健康管理ツールであると同時にファッションアイテムとしても広く受け入れられている。
e-skinも“ただの服”のように自然に身につけられることが強みだ。しかも、より全身の動きや生体情報を高精度に取得できる。医療機器らしさを脱ぎ捨て、日常に溶け込むe-skinは、着るだけで医療や見守りの負担を軽くする、新しい社会インフラになりそうだ。













































