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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第826回

PCIeリリース直前に登場しわずか1年の短命に終わったCSA 消え去ったI/F史

2025年06月02日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 消え去ったI/F史であるが、前回のAGPはまだ多くの方(といっても40代後半~50代がメインだろう)が記憶に留めておられたと思うのだが、おそらくほとんどの方が記憶していないであろうものが今回取り上げるCSAである。

AOpenのマザーボード「MX4SGI-4DL」。CSAによるギガビットイーサを装備する

ギガビットイーサのためだけのインターフェースCSA

 CSA、正式にはCommunication Streaming Architectureであるが、これは2003年から1年だけ、インテルのマザーボードで利用されたI/Fである。具体的にはIntel 865/875シリーズ、コード名で言えばSpringdale/Canterwoodにのみ実装されたものだ。

 もっと具体的に言えば、この頃に本格的に普及が始まっていたGbE(Gigabit Ethernet)を接続するためだけのI/FとしてCSAは投入されることになった。

Intel 865G/875のデータシートより。赤く囲った部分がCSA

 CSAという名称が明らかになるずっと前、2000年の頃からインテルがノースブリッジに新しいI/Fを追加する、という噂は上がっていた。ただそれがなんのI/Fなのかは不明のままであり、AGPに代わるグラフィックスI/Fなのか、それとも追加のメモリーI/Fなのか、などといろいろ取りざたされていたのだが、2001年にはインテルが後にPCI Expressとなる3GIO(3rd Generation IO)をIDFで公開しており、「どうもグラフィックス I/Fではないようだ」(3GIOの中に、明確にグラフィックス接続が目的として掲げられている)ということは見えてきはじめていた。

2001年のIDFにおける3GIOの説明資料。まだこの時点ではPCI-SIGに移管される前で、インテル社内での開発段階だった

 ちなみに当時はDDR-400のサポートをするか否かでインテルとAMD&互換チップセットメーカーが揉めていた時期であり、インテルはDDRのサポートをDDR-333で打ち切り、その先はADT(Advanced DRAM Technology)という新しいDRAMを使うことを画策していた時期である。

 ただADTも二転三転し、結局DRAMベンダーの協力を得られなかったということで2002年頃には消滅。DDR-400をスキップしてDDR2-400に移行することを目論むものの、AMDのHammer(K8)アーキテクチャーの登場でこれに対抗すべく、突然DDR-400のサポートを追加するなどの方針転換をしている。そこで、さすがにこの新I/FはADT用でもなさそうだ、ということでその正体は不明のままであった。

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