メルマガはこちらから

PAGE
TOP

「ビットコイン電力食いすぎ問題」を解決する超低消費電力の「量子ブロックチェーン」とは?

特集
世界に挑むICTスタートアップリーグ 成功への道

 光熱費が高騰し続けている昨今、「ビットコインが年間40億世帯分もの電力を消費している」と聞くと、少しモヤモヤした気持ちになる。だって、それだけで地球全体の消費電力の0.6%を占めているのだ。「デジタル通貨の裏でそんなに電力を使ってたの?」と驚かずにはいられない。

 ではなぜビットコインはそんなに電力を消費するのか。それは「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という仕組みにある。要は、世界中のコンピューターがビットコインの取引を正確に記録し、新たなブロックを生成するため、膨大な計算作業を競い合うことで安全性を確保するというものだ。この計算競争を維持するために、マイニングファームがフル稼働し続け、大量の電力を消費している。「なんというエネルギー浪費!」と思うが、この仕組みのおかげで、不正や改ざんを防ぐセキュリティが実現できているのも事実だ。

 とはいえ、この電力消費問題を放っておくわけにはいかないため、世界でも新たな技術開発が進められている。日本発では、株式会社Blocq, Inc.が「量子ブロックチェーン技術」を研究開発している。この技術は、取引の暗号生成部分を量子コンピューターに任せることで、従来のブロックチェーンと比較して消費電力を0.1%以下に抑えられるという。

「え、まだ量子コンピューター普及してないけど!?」と思うが、Blocqはその先を見越している。正直、「未来見すぎでついていけない」と感じるが、それでもこういった挑戦には期待もしたい。

 技術革新は常に私たちの「常識」を覆してきた。ビットコインの電力消費の裏に、こうした解決策が既に動き始めていることを知ると、未来って本当にどうなるんだろう、とワクワクせずにはいられない。

文:スタートアップ研究部

ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、気になる取り組み、また成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みからそれらをピックアップしていく。

※ICTスタートアップリーグとは?

ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/

バックナンバー