【ZONE 01】ものづくり精神の原点(1920~1959年)
最初のゾーンは1920年から1959年までの創業期の紹介です。マツダの創業者である松田重次郎の生い立ちと、そのプロダクトたちです。
1895年、広島で12人兄弟の末っ子に生まれた松田さんは、13歳で単身大阪の鍛冶屋に弟子入りします。その後、神戸や佐世保、呉の軍事工場を渡り歩き、31歳で「松田製作所」を設立。専売特許松田式ポンプなどのヒット商品を生み出します。
大阪で成功を収めた松田さんは40代半ばの1920年、広島に戻り、地元財閥の有力者たちによって発足した「東洋コルク工業」の経営に参画。翌年に2代目社長に就任します。
ですが1925年、工場が火災。1927年に復興するとともに、会社名を東洋工業に変更し、事業を工作機械などへと拡大します。ミュージアムには当時生産していた削岩機やゲージブロックなどが展示されています。
そして1930年。ついに自動車の生産に着手します。まずは当時身近だった二輪車や三輪車に目をつけ、自社開発の新エンジンをはじめ、すべての部品を国産化した三輪トラック「マツダ号」(DA型)を1931年に発売開始。マツダミュージアムでは、その改良型で、最大積載量が400kgへと拡大した三輪トラック「TCS型」(1935年)を展示。これはマツダが保有する最古の三輪トラックだそうです。
東洋工業はその後、1960年頃まで三輪トラックを製造し続けます。時代を経るごとに高級化と高性能化が進んでいきます。GLTB型三輪トラック(1956年)は、運転席に巨大なウインドスクリーンを備えるといったキャビンが印象的な1台。さらにライトは2灯式になるなど、パッと見るとクルマと変わらないような。ですがハンドルはバーハンドル式だったりします。
【ZONE 02】自動車メーカーへの躍進(1960~1969年)
東洋工業が四輪車(乗用車)の生産を開始したのは1960年に誕生した「R360クーペ」から。軽自動車初の4サイクルエンジン(空冷V型2気筒OHVで、最高出力は16PS)のほか、2ペダルのAT車を設定するなど、当時の先進技術を惜しみなく投入した1台でした。でありながら30万円という低価格で、当時、一般家庭にとって高値の花であったマイカーを手の届く存在に感じさせました。
R360クーペの次に登場したのは、軽自動車の本格ファミリーカー「キャロル」(1962年)。軽自動車では初となる水冷直列4気筒エンジン(最高出力20PS)をリアに搭載して、振動や騒音の低減を図ったほか、足周りはトーションラバースプリングの採用で、小型車並みの快適性を得たそうです。
多目的車として誕生したボンゴはトラックとバンを中心に幅広いラインアップを揃えました。987cc水冷直列4気筒OHVエンジンをリアに配置することで、車体中央部の低床化を実現。また、同クラスのバンとしては初となるスライドドアを採用し話題を集めたそうです。
こうして東洋工業は三輪トラックメーカーから、多種多様なクルマやエンジンを有する総合自動車メーカーへと成長していきました。

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