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週替わりギークス 第342回

お仕事悩み、一緒に考えます。#62

休職中の同僚を「ずるい」と思ってしまうあなたへ

2026年02月28日 07時00分更新

文● 正能茉優

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働き方・仕事についてのお悩み、募集しています!

 「こんな働き方はもう嫌だ」「もっとこんな仕事がしたい」。
 誰かに聞いてほしい、でも近しい人にこそ言いにくい仕事の悩み。この連載では、そんなお悩みの解決の糸口を一緒に考えていきます。

 何か困っていることや考えていることがあれば、こちらまで気軽にメッセージください! 匿名のメッセージも、もちろん大丈夫です。


 ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。

 この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みを、私自身の経験や考えも交えながら一緒に考えていきます。

 今回のテーマは、「休職中の同僚を『ずるい』と思ってしまう」というご相談。

 私自身も、死産と休職・復職を経験して以来、“人の強さと弱さ”について深く考えるようになりました。

 だからこそ、このテーマを、少し丁寧に一緒に考えてみたいと思います。

休職中の同僚を「ずるい」と思ってしまう

 正能さん、こんにちは。いつも連載を楽しく読んでいます。

 私は29歳で、IT企業のマーケティング職に就いています。

 チームの同僚が体調を崩してしばらくお休みしているのですが、正直、「いいな」「ずるいな」と思ってしまう自分がいます。

 忙しいのはお互い様なのに、プライベートで何かあるのもきっとお互い様なのに。

 自分だけあの人の分の仕事まで引き受けて、あの人は「休む勇気がある」なんて褒められている。

 そんな状況を素直に喜べず、心のどこかでイライラしてしまいます。

 もちろん、本人がつらいのは分かっています。

 でも「なんで私ばっかり」と思ってしまう気持ちが消えません。

 そんな自分を「性格悪いな」と責めて、また落ち込む……その繰り返しです。

 こういう感情って、どう扱えばいいのでしょうか?

 あまりに幼稚にも思え、誰にも相談できません。

 (29歳・女性・IT企業マーケティング職)

「ずるい」と思うのは、自分のSOS

 とてもリアルなお気持ちを綴ったお便りをありがとうございます。

 まず、率直に言えば「ずるい」と感じるのは、とても人間らしい反応です。

 誰かが休むと、その分自分はますます休みにくくなる。止まれなくなる。

 その結果「ずるい」という気持ちが生まれるのは、嫉妬でも悪意でもなく、「私も休みたい」「私も限界かもしれない」という小さなSOSの裏返しなのではないでしょうか。

 私自身、死産と長期の療養を経験したあと、人の“弱り”にとても敏感になりました。

 誰かが苦しんでいると、深く共感して胸が痛む一方で、「そんなことくらいで?」と苛立ってしまうこともありました。

 その時に気づいたのは、比較という行為は何も生まない割に、自分を一番傷つけるということです。

 私より重い喪失を経験した人を前にすると気丈に振る舞い、反対に、軽い出来事で苦しむ人を、しかも「死にたい」などと軽く言う人を見ると怒りが湧く。

 そんな日常を過ごしていた数ヵ月がありました。

「強さ」は一列じゃなく、立体的なもの?

 でもある時、「人にも実は、『犬種』みたいな概念があるのでは?」と思うようになり、少し気持ちが楽になりました。

 人と一言で言えど、いろんな“強さ”の人がいる。

 犬と一言で言っても、チワワもいれば、ハスキーもいるように、それぞれ生まれ持った体質も、性格も、ストレス耐性も違うのと同じようにです。

 相対的な強さの違いは確かにありますが、それと同時に、得意・不得意もあります。

 雪原を何kmも走れるのはハスキーだけ。小さな穴をくぐれるのはチワワだけ。

 つまり、強さの形と使いどころは、人によってまったく違うはずなのです。

比較のやめ方は、「違う設計なんだ」と気づくこと

 多くの場合、職場という環境では、みんなが同じようなスピードで走れる前提で、設計されています。

 同僚のような近しい距離で似たような仕事をしている場合は、なおさらです。

 でも実際は、全員が違う強み・弱みを持ち、相対的な強さだって違う。

 回復が早い人もいれば、丁寧にしか動けない人もいる。

 それぞれの体や心に、向き・不向きがある。

 そう思うと、自分と他人を同じ土俵に並べて「ずるい」と感じるのは、違う犬種を同じレースに出してスピードを競わせているようなものなのではないでしょうか。

 ……まあ、無理がある話なんです。

「比較」から「理解」へ

 さらに、質問者さんの場合、同僚の方を羨みながらも、ご自身のことを「性格悪いな」と捉えている。

 これは、本当は「他人の生き方を理解したい」というサインでもあるように私は思います。

 相手の事情を知るほど、私たちは優しくなれる。

 そして優しくなると、自分がとても楽になります。

 人は、同じではなくていい。強くなくてもいい。

 ただ、お互いに「違う犬種」として認め合えたら、チームも、社会も、もっと優しく動けるようになるはずです。

 ちなみに、AIに聞いてみたところ、私はボーダーコリーだそうです。

 群れ(=家族)を守りながら、外の世界でも走りたい。

 無駄に動くことはしないけれど、目的が見えた瞬間には全力で駆け出す。

 まさにそんなふうに、“守る”と“働く”のバランスをとりながら生きている気がします。

 どの犬種が正解とか優れているということではなくて、それぞれが自分の“走り方”を見つけて納得できていたら、それでいいのかもしれませんね。

 

筆者紹介──正能茉優

ハピキラFACTORY 代表取締役
パーソルキャリア 企画職

1991年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部 卒業。
大学在学中に始めたハピキラFACTORYの代表取締役を務める傍ら、2014年博報堂に入社。会社員としてはその後ソニーを経て、現在はパーソルキャリアにて、HR領域における新規事業の事業責任者を務める。ベンチャー社長・会社員として事業を生み出す傍ら2018年度より現在に至るまで、内閣官房「まち・ひと・しごと創生会議」「デジタル田園都市国家構想実現会議」などの内閣の最年少委員を歴任し、上場企業を含む数社の社外取締役としても、地域や若者といったテーマの事業に携わる。
また、それらの現場で接した「組織における感情」に強い興味を持ち、事業の傍ら、慶應義塾大学大学院にて「組織における感情や涙が、組織に与える影響」について研究。専門は経営学で、2023年慶應義塾大学院 修士課程修了。

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