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クラウドの利点を生かし“まずやってみてから考える”、「文藝春秋 建設カンファレンス in 那覇」レポート

「建設DX」成功のための4ステップ、沖縄の地場ゼネコン・屋部土建がノウハウを明かす

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 舘幸子

提供: Dropbox

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現場ユーザーはDropboxに高い評価、将来的なAI活用にもつなげる

 屋部土建では、Dropboxの社内導入も進めている。入佐氏は、現在は主に「施工現場」「DX推進部」「現業サポート課」の各現場で活用していると話す。施工現場では協力会社やJV内でのデータ共有、DX推進部では建設DX関連の大容量データ共有や転送、現業サポート課では米軍施設における工事申請業務の効率化と、それぞれに利用目的は異なる。

Dropboxを活用する3つの部門と、それぞれの利用目的

 前述のとおり、同社では2017年からGoogle Workspaceを導入しており、上述したような業務でも「Googleドライブ」を利用してきた。ただし、初めてツールに触れる作業員のなじみやすさや使い勝手、共有フォルダあたりのファイル数や1日のアップロード容量などの制限、大容量データの転送速度、フォルダ階層の細かな権限付与といった点で、Dropboxのほうがより良いと判断した。

 「ほかにも、チャットシステムのdirectからDropbox上にあるファイルを直接指定して共有リンクを送ったり、設計図面のデータをDropboxに入れてもらえばiPadのスパイダープラスですぐ参照できたりと、ほかのDXツールとも非常にシームレスな使い方ができています」

 実際のユーザーからの評価もおおむね高く、特に「操作画面」「共有」「セキュリティ」に対する評価は非常に高いという。

Dropboxに対するユーザー評価(未使用者も含む)

 建設業の抱える課題解決、建設DXのさらなる推進に向けて、将来的に大きな期待を寄せているのが「AI/生成AIの活用」だ。DropboxやGoogle Workspace、Zoom、Salesforceといったクラウドリソースを横断検索できる「Dropbox Dash」はもちろん、Dropboxに蓄積された過去のあらゆるデータを、AIを通じて「フル活用したい」と話す。

 「たとえば、受注や入札の際には現場の施工計画書や技術提案書などを作るのですが、Dropboxにある過去のドキュメントをAIが引っ張り出して、それをまとめてくれるようになると、現場サイドとしては大きな工数削減になると思います。別の用途としては、安全対策にも役立てられると考えています。すでにGPT-4oでは、現場の写真を入れると『この人はヘルメットをかぶっていません』などと具体的に危険を指摘してくれます。さらに活用が進めば、過去の事例から対策を指導したり、図面からリスクの高い場所を指摘したりといったこともできるようになるのではないでしょうか」

AI活用アイデアのひとつ。ボリュームのある入札情報のドキュメントをAIが要約、質問応答することで、担当者の業務負荷を軽減する

 屋部土建では2023年、子会社としてホテル/リゾート開発のコンサルティングを行うONE MORE(ワンモア)を設立した。同社では現在、顧客企業の建設DXを支援するワンストップサービスを準備中だという。もちろんここでは、屋部土建がこれまで培ってきたノウハウを生かしたIT支援を行っていく。

 「建設業界の危機的な状況に、一社だけで取り組むのはもう限界だと思います。幸い、建設業には協力会社、関連する企業がたくさんいらっしゃいます。そういった方々とどんどんつながって、情報共有や意見交換を進めたい。弊社の経験も皆さんに共有して、もっと建設業が魅力のある業界になるように取り組みますので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう」

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