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山根博士の海外モバイル通信 第731回

スマホ世界シェア4位をうかがう「Infinix」から激薄モデルや折りたたみが続々

2024年12月26日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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Infinixのスマホに注目

 世界のスマートフォンシェア上位はサムスン、アップル、シャオミですが、その下の4~5位を争う戦いに常に顔を出すようになった「Transsion」。同社は傘下にTECNO、Infinix、Itelの3社を持っており、インド、アフリカ、東南アジアなど新興国で人気となっています。

新興国で大人気のTranssionを支えるInfinix

 2023年第3四半期を見ると、アフリカ全体でのシェアは50%で、2位のサムスンの18%を大きく引き離しています。また東南アジアを見るとフィリピン1位、インドネシア3位、マレーシア4位とここでも地位を着々と上げているのです。

 Transsionグループの中では折りたたみスマートフォンをいち早く出したり、ファーウェイより先に3つ折りスマートフォンのコンセプトビデオを出したTECNOが最も注目を集めています。しかし、ほかの2社も特徴的なモデルを次々と出しているのです。中でもInfinixは2025年に化けるメーカーになるかもしれません。

Infinix Hot 50 Pro+

 最新モデルの「Hot 50 Pro+」は4Gモデルながら、本体の厚みは6.8mmとかなり薄型。一般的なストレートタイプのモデルとしては最薄クラスに入ります。重量も162gと軽く、指先でつまんで持てるほどです。薄手のシャツの胸ポケットに入れても気になりません。

6.8mmの薄型ボディー

 カメラは3つ見えますが、5000万画素+深度測定200万画素+補助カメラで、実質1眼。とはいえ、カメラ周りを四角く囲ったデザインは特徴的ではないでしょうか? 縦に並べた3つのカメラデザインと言えばサムスンを思い起こさせますが、デザインを変えるだけでまったく異なるイメージに仕上がっています。

カメラはデザインに注目だ

 本体上部を見るとJBLのロゴも入っています。筆者がHot 50 Pro+を実際に見たタイでは6499タイバーツ、約2万9000円でした。この価格、そして厚みで音にもこだわっているのはさすがです。そこそこいいヘッドフォンをつないで音楽を聞くのも良さそう。

AV性能にも注力している

 チップセットはMediaTekのHelio G100。同社の4GチップセットはHelio G99が2022年5月に発表され、長らく4Gスマートフォンの上位機種に採用されつづけました。99という数字の上はないだろうということからこの先どうなるかと思っていたところ、3桁数字のG100が2024年8月に登場し、Hot 50 Pro+はさっそく採用されました。

 ただし、G100の基本スペックはG99とほぼ同等です。Hot 50 Pro+が5G対応のDimensityではなくあえてG100を採用したのは、本体の厚み、放熱、電池の持ち、そして価格を考えてのことでしょう。

Hellio G100を搭載する

 とはいえ、薄型かつ独特なデザインのモデルを出せるわけですから、2025年に出てくるだろう後継機、Hot 60シリーズは5G対応になるかもしれません。もちろん、Infinixはほかにもスマートフォンを多数展開しており、その中には5G機種もあります。2025年は5Gシフトがさらに進むでしょう。

5G機のNote 40 Pro。Dimensity 7020に1億画素カメラを搭載

 またInfinixは縦折スマートフォン「Zero Flip」も2024年9月に発表しました。

Infinix Zero Flip

 実はこのモデル、TECNOが先に発表した「Phantom V Flip2」と同型機です。

TECNO Phantom V Flip2

 Transsionグループの3社はこれまで異なる製品展開をしてきましたが、縦折りモデルではついに2社が共通プラットフォームでカラーリングなどの仕様を変えた製品展開を行なったのです。TECNOは横折りタイプの「Phatom V Fold2」も出しており、今後はこのモデルのInfinix版が出るかもしれません。

TECNO Phantom V Fold2

 そうなると、先進的なモデルの多いTECNOの製品が別ブランドでも展開されることとなり、Infinixの製品ラインナップもかなり充実したものになるかもしれません。そう考えると2025年はInfinixが注目を集めるメーカーになる可能性は十分あるのです。

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

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