業務を変えるkintoneユーザー事例 第252回
6地区のファイナリストが集結し、今年のkintone事例一番星が決まる
kintone AWARD 2024開催! 入り口はひとつ作戦の桜和設備と現場と二人三脚で伴走したLILE THE STYLE
2024年12月11日 09時00分更新
2024年11月9日、サイボウズの年次イベント「Cybozu Days 2024」にて、この1年で最もキラリと光る活用をしたkintoneユーザーを表彰する「kintone AWARD 2024」が開催された。全国6か所で展開されたkintoneの成功事例を共有するイベント「kintone hive」のファイナリストが集結。最終プレゼンを経て、観客参加型の選考によりグランプリを決定する。
今回は、東海・北陸地区代表の桜和設備と中国・四国地区代表のLILE THE STYLEのプレゼンを紹介する。
桜和設備:昭和からの脱却に向け、kintoneの利用促進のためにとった秘策は「入口はひとつ作戦」
最初のプレゼンは、桜和設備の清水敦氏による「ひょんなことからはじまる夢物語」だ。
桜和設備は1946年創業の老舗で、従業員は100名。都市ガスの配管工事やガス機器の販売、取り付けなどを手掛ける。清水氏はガス工事の現場管理一筋40年。kintoneと出会うまではシステム開発の経験はなかった。
4年前、kintoneを導入するまでの同社は、伝票類は紙の手書きで、それをひたすらExcelに入力するという、昭和からの伝統的なやり方を継承している職場だった。紙とExcelなので、情報共有もまったくできず、あちこちで重複作業を繰り返していた。
「時は令和2年ですが、私どもの会社では昭和94年を迎えておりました。昭和から脱却できないのは、大先輩から教わった仕事のやり方は変えてはいけないという空気が流れていたためです。もうひとつの原因は、Excelを自分勝手に変えて属人化を加速させる、“Exceler(エクセラー)”の存在です。そんな中、ひょんなことが起きました」(清水氏)
ある日、この属人化していたExcelが壊れてしまったのだが、偶然居合わせた富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの担当者から、「これならExcelを再現できる」とkintoneを紹介してもらう。これが、清水氏とkintoneとの出会いとなった。
Exceler製のモンスターExcelが、kintoneアプリとなってサクサク動いているのを見た清水氏は、「こんなに便利なものを使わない手はない」と経営層を説得。まずは、Excelが壊れたガス事業部内でのkintoneの採用が決定された。
「作業が進んでいくと、『kintoneなんてやめてください』、『そういうものは会社に合いません』、『失敗しますよ』と昭和の伝統を守っていた人たちがざわめき出します。そして、Excelが壊れたからkintoneを入れているのに、Excelerたちは『僕たちはExcelを使い続ける』と言い張りました」(清水氏)
とは言え、抵抗する人も巻き込んでいかないと、昭和からの脱却はできない。そこで「入口はひとつ作戦」を考えた。それぞれの業務アプリにデータを入力する際に“入口”となるアプリを作った。その入口アプリから、アクション機能やルックアップ機能でデータを流して、業務アプリ全体を連携させたのだ。
業務アプリが完成すると、社員は紙とExcelを使っていた時には想像できなかったkintoneの世界を目の当たりにし、「これは便利に使えそう」「kintoneすっげー!」などと、前向きな言葉がもらえるようになった。
ユニフォーム申請(作業服)をkintoneアプリ化した際には、思わぬ反応をもらった。ユニフォーム支給時、希望のサイズを記入してもらった紙を回覧していたが、「FormBridge(トヨクモ開発)」を活用して、スマホで選択するだけで集計できるようにした。「するとある社員から、『自分の服のサイズを記入するのにとても抵抗があったが、kintoneになって安心できた』と言われました。今までとんでもないことやっていたのだと、kintoneが気付かせてくれました」と清水氏。
清水氏は、「kintoneで造った夢のシステムアプリは永遠に完成しない。想像力を活かし、常に新しいものを造り、古いものを改良し続けていく、環境の変化とともに形を変えていけるのがkintoneです」と締めくくった。
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