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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第86回

イラストに強すぎる画像生成AIモデル SDXL系「NoobAI-XL」の衝撃

2024年12月02日 07時00分更新

文● 新清士

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旧世代のSDXLを土台に、今後も性能が上昇していくのは間違いない

 IllustriousやNoobAI-XLが、Novel AIを追い抜くほどの性能向上を引き起こした要因は、学習データ量を増やしたこと、そして効率的なタグ付けや自然言語モデルの組み合わせにより描画能力が引き上げられたためだと言えます。完全な後追い戦略が成功しています。

 技術レポートによると、Illustrious XLはv1.0で学習の解像度を1024x1024から1536x1536のさらなる高解像度にすると述べています。これらは学習に必要な時間を増大させるため、コストの上昇が伴うと考えられますが、大きな効果があるとは容易に予測できます。指の描写といった弱点は、現在のモデルでもかなり克服されていますが、さらに適切に描写できるようになると考えられます。SDXLは技術情報が公開されているため、この方法論もまた後追いされることになるでしょう。

 すでに旧世代のモデルになりつつあったSDXLを土台にしていても、今後も、性能の上昇が引き起こされ、より精度の高いアニメ系モデルがアジア圏から登場してくると考えて間違いないと思われます。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

 

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