このページの本文へ

NTT、耳をふさがない開放型ヘッドホンでも使えるANC技術を開発

2024年11月16日 06時00分更新

文● HK 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 NTTは11月14日、耳をふさがないオープンイヤー型のヘッドホンで、周囲の騒音を耳元で低減するANC技術を確立したと発表した。周囲の音を自然に感じながらも、騒音の低減によってオープンイヤー型ヘッドホンの再生音がクリアに聞こえるようになるほか、音響XR技術への応用も想定しているという。

試作機

 従来もオープンイヤー型ヘッドホンのノイズキャンセリング機能は存在していたが、1kHz以下など適用可能な範囲が狭かったという。一方、人間の耳が最も敏感に感じるのは3kHz付近。周囲の騒音が大きな中、ヘッドホンの音を聞くために音量を上げると、耳の負担も大きくなるというリスクがあった。

 ANCの実現にあたっては、遅延の低減が重要。そのために音響的遅延(ドライバーとマイクの距離の最適化)と機械的遅延(振動板などが動作する際の遅延で、周波数によって異なる)の両方を減らす技術を開発した。NTTは新たなハードウェア設計とソフトウェア処理により、周波数帯域ごとの機械的遅延を削減。ハードウェア設計では、スピーカーの位置と特性を新たに設計し、ソフトウェア処理では低遅延低演算量のフィルタ設計をしたという。加えて、音漏れを防ぐオープンイヤー型ヘッドホンの設計技術と組み合わせて、消音信号を周囲に漏らさないようにもしているという。これらの試みによって、飛行機内の騒音を3kHz付近まで低減できることを確認した。1~3kHzで最大13.7dB,平均7.8dBの騒音抑圧効果が得られるという。

 NTTは本技術を搭載したオープンイヤー型ヘッドホンの実用化を目指しており、ヘッドホンから聴こえるバーチャルの音と、直接耳で聴くリアルの音を融合させて聴く音響XR技術と本技術を統合した没入型エンターテインメントや音声ガイドのような新しい音響体験を、NTTグループ各社を通じてサービス展開していくという。

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン