GitHubが開発者向けサービスへの生成AIへの組み込みを加速させている(関連記事:GitHub Copilotで「Claude」「Gemini」も利用可能に 自然言語のみでアプリ開発できる新ツールも)。生成AIアシスタント「GitHub Copilot」はマルチモデル化され、OpenAIのみならず、AnthropicやGoogleのモデルも利用可能になった。しかし、注目度が高いのはシステム生成AI「GitHub Spark」の発表だ。
「10億人が開発者になれるように支援する」を目指したGitHub Sparkは自然言語エディターにアプリのアイデアやイメージを記述すると、「Spark」というマイクロアプリが生成され、Web上からラウンチや管理が行なえるサービス。GitHub Sparkの紹介ページには「Without needing to write or deploy any code.」と太字で書かれており、ノーコードで簡単にアプリが作れる点が大きな特徴となっている。
マイクロアプリと言っても、単機能のミニアプリという意味ではない。作成例として挙げられた「Allowence Tracker」は、子供向けのお小遣い稼ぎアプリ。「Set Goal」にお掃除や買い物など家のお手伝いを入力し、それを実行すると、お小遣いがもらえるみたいなことができ、ゴールに達するとLLMがおめでとうメッセージを自動生成してくれるという。その他、カラオケパーティの参加者募集アプリや地図からランドマークの説明をしてくれるアプリなども披露されており、子供が作ったアプリも多い。
ソースコード管理やCI/CD領域で圧倒的な支持を得る同社がこうしたサービスを提供し始めたのは、けっこう大きなインパクトだ。生成AIの登場で開発者の業務は大きく変わると言われているが、指示さえ出せば、もはやAIは簡単にアプリを作る。遠からずユーザーのやりとりを学習し、AIは勝手にソフトウェアを作り始めるはず。開発者にとっての「パンドラの匣」が開けられた気がするのは、私だけだろうか。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。