第83回
「かまいたちの夜」の魅力をたっぷりと詰め込んだ贅沢な一本!
シリーズ30周年記念作『かまいたちの夜×3』プレイレビュー!極上のミステリーとホラーに、ちょっぴりのギャグも添えて……
心身が震えるトラウマ必至のホラー~ちょっぴりギャグも添えて~
「かまいたちの夜」シリーズは基本的にミステリーではあるが、選択肢次第では恐ろしい展開になることも……。犯人が登場人物を次々と殺害するなど、ひとつのミスでとんでもない悲劇が生まれる。
ショッキングな場面と不穏なBGM、そして想像したくもない恐ろしい文章……。その状況を想像するだけでもゾッとするし、ゲーム内の演出によって恐怖が倍増するのだ。筆者も何度びっくりしたことか……。
また、「クローズド・サークル」(とある事情で雪山の山荘や孤島などに閉じ込められてしまう状況)による恐怖もポイントだ。
第1弾は「雪山のペンション」で、第2弾と第3弾は「孤島&監獄」が舞台。外部との連絡手段が絶たれている、かつ逃げられない状況の中、推理とサバイバルを強いられる。
クローズド・サークルの作品において最も重要なのが、先ほども触れた「疑心暗鬼」だ。殺人事件もそうだが、閉鎖的な空間に閉じ込められた登場人物たちが次第に理性を失っていく過程も恐ろしい。殺人事件を通して人間の闇をあぶり出す演出が、心霊ホラーと異なる恐怖を生み出すことに成功しているのだ。
「かまいたちの夜」シリーズをプレイしたら、「こんな殺人事件に巻き込まれたくない!」と思う人が続出するかもしれない。久しぶりにかまいたちの夜をプレイして、「殺人事件に何度も巻き込まれている名探偵ってタフすぎないか?」と感心した筆者である。
ビクビクしながら謎解きをするのが本作の醍醐味なのだが、実を言えば、拍子抜けするようなギャグも含まれている。クスリと笑ってしまうような展開もあったり、どこかで聞いたことのあるパロディネタもあったりと、笑いを誘うポイントが多いのだ。
「恐怖と謎解きばかりだと頭も心も疲れてしまうから、笑いで小休止してもらおう」という開発者側のやさしさかもしれないと、筆者は勝手に思い込んでいる。随所に盛り込まれている笑いにも注目してみてほしい。
まとめ:極上ミステリー三部作が一本に!
かまいたちの夜で"謎解きの秋"を味わってみては?
30年の歴史を持っているためか、「かまいたちの夜」シリーズはレトロの部類に入るだろう。
しかしながら、今回紹介した『かまいたちの夜×3(トリプル)』はビジュアルも文字デザインも現行機向けに刷新されていて、新鮮な気持ちで楽しむことができた。数十年前のゲームとはいえ、古臭さは一切感じられなかった。
今年で30周年を迎えた「かまいたちの夜」シリーズ。令和に復活した三 部作を一気にプレイするチャンスがついに到来したと言っても過言ではない。テキストベースで進行する極上のミステリーとホラー、そしてギャグを心ゆくまで味わってもらいたい。
「こんや、12じ、だれかがしぬ」が思い出のメッセージになることを、心から願っている。
【ゲーム情報】
タイトル:かまいたちの夜×3(トリプル)
ジャンル:サウンドノベル
販売:スパイク・チュンソフト
プラットフォーム:Nintendo Switch/PlayStation 4/PC(Steam)
※後方互換機能により、PlayStation 4版はPlayStation 5でもプレイ可能。
発売日:発売中(2024年9月19日)
価格:3960円(パッケージ版/ダウンロード版)
※パッケージ版はSwitchのみ。
CERO:C(15才以上対象)
©Spike Chunsoft/我孫子武丸/田中啓文/牧野修
※Nintendo Switchは、任天堂の商標です。
※「PlayStation」は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
※そのほか、記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
※記載されている内容は、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
ASCII.jpの最新情報を購読しよう