インタフェースの刷新など「使いやすさ」「効率性」をさらに向上、そして「スケール」も強化
大規模ネットワークも手軽に管理!「HPE Networking Instant On」最新版の強化点とは
2024年10月30日 11時00分更新
堅牢で快適なビジネス向けネットワーク(NW)機器が手軽に導入できる「HPE Networking Instant Onシリーズ」。そのクラウド管理サービスにおいて、大型アップデートとなる最新版(HPE Networking Instant On Release 3.0.0)が2024年7月にリリースされた。
この最新版では、ユーザーインタフェースの強化・刷新やロールベースの管理者権限(役割に応じた権限付与)機能の追加など、いくつもの機能強化によって、複数のフロアや多拠点に展開する中規模~大規模なネットワークをまとめて管理する作業がより効率的になった。もちろん小規模なネットワークにおいても、管理作業がより容易になっているという。
そこで今回は、日本ヒューレット・パッカード(HPE)でHPE Networking Instant On製品を担当する2氏に、管理対象となるネットワークの規模に応じて、どんな機能強化がなされたのかを説明してもらった。
「堅牢さ」「快適さ」「使いやすさ」をすべてかなえるネットワーク製品
HPE Networking Instant Onシリーズと言えば、エンタープライズ向け製品の部品や技術を採用したハードウェア(Wi-Fiアクセスポイントやスイッチ)を、専用モバイルアプリやWebポータルを使って簡単にセットアップ、運用できることで知られるネットワーク機器シリーズだ。
これまでは小規模なビジネスネットワークを中心に、「業務の現場に堅牢で快適なネットワークを用意したいが、運用管理にはなるべく手間をかけず、手軽に使いたい」というニーズを満たす製品として人気を集めてきた(詳しくは以下の過去記事も参照)。
●これからの小規模オフィスや店舗に必要なWi-Fi環境とは? Arubaのプロに聞いた
●ゲストWi-Fiも簡単設置、「HPE Aruba Instant On」なら無料でここまでできる!
今回のアップデートにおいても、「使いやすさ」という基本的な特徴は変わっていない。機器のセットアップから運用監視、設定変更まで、モバイルアプリやブラウザからの操作で簡単に実行できる。家庭向け製品のような分かりやすいインタフェースを備えているので、初めてネットワーク機器を管理するという人でもすぐになじめるはずだ。
「たとえば、機器のファームウェアアップデート作業も自動的に行われるようになっていて、『管理の手間が省ける』『作業を忘れることがない』と好評をいただいています。スケジュール設定ができますから、業務時間外の深夜や休日にアップデートを自動実行させるようにしておけば、業務に影響を与えることなく機器を最新の状態に維持できます。最新版のR3.0.0へも、この仕組みを活用してアップデートできます」(中村氏)
最新アップデートで、誰にでもより分かりやすく、効率的に
こうしたHPE Networking Instant Onの「使いやすさ」は、今回のアップデートでさらに強化されている。
たとえば、管理対象のサイト(拠点)についてのリアルタイムな情報が俯瞰できる「ダッシュボード」画面が、PCブラウザ・モバイルアプリともにリニューアルされた。以前のダッシュボードではワンタップ(クリック)して次の画面を開かなければ見られなかった、ネットワークの健全状態(ヘルススコア)、アラート件数、機器や接続デバイスの接続状態など、細かな情報を一画面で把握できる。
ネットワークに接続されたクライアント端末(PCやスマートデバイス、IoT機器など)を自動的に識別するクライアント分類機能も、従来からのクライアントOSだけでなく、デバイスのメーカー名やカテゴリ(種別)といった、より詳細な情報が表示されるようになっている。
「たとえば、あるデバイスが大量の通信をしている、何かトラブルの原因になっているといったときに、そのデバイスをより特定しやすくなりました」(横山氏)
ネットワークの設定に関して言えば、新たに「ポリシーベースのネットワーク設定」の採用が始まっている。あらかじめ「ポリシー(ルール)」を設定しておき、個々のSSIDを作成する際にそのポリシーを適用するかたちだ。これにより、同じ設定を何度も繰り返す手間を省くとともに、設定ミスの発生を減らす。R3.0.0ではまず「アクセス許可/拒否するサイトのカテゴリ」「Wi-Fiネットワークのスケジューリング」の2つがポリシー設定の対象となっており、今後さらに拡大する見込みだ。
もうひとつ、6GHz帯に対応した同シリーズのWi-Fiアクセスポイント(現時点ではWi-Fi 6E対応の「HPE Networking Instant On AP32」)において、アクセスポイント間のバックホール通信に6GHz帯を使ったメッシュWi-Fiが構成できるようになった。このメッシュ接続設定も自動的に行われる。
多拠点・大規模なネットワーク管理でも「使いやすい」を実現
ここまで説明してきたのは、小規模なビジネスネットワークにおいてもメリットがある機能強化ポイントだ。ただし、今回の最新版 R3.0.0ではとくに、中規模~大規模ネットワークの運用管理において有益な機能強化ポイントが多い。
たとえば、管理画面における「マルチサイトビュー」の大幅な強化だ。
これまでも、個別に構築した複数拠点(複数サイト)のネットワークをまとめて管理することはできていた。ただし、各サイトのネットワーク稼働状態を見たい場合には、一覧画面からサイト名をクリックして、それぞれのサイトのダッシュボードを開かなければ確認できなかった。
今回の最新版では、このマルチサイトビューが「カードビュー」「リストビュー」「マップビュー」という3種類のビュー(表示方式)に拡充された。それぞれのビューには、ワンクリックで切り替えが可能だ。
カードビュー、リストビューでは、各サイトのヘルススコアや24時間トレンド、アラートが確認できる。とくに注意・確認が必要なサイトが目立つかたちで表示されるので、効率的な運用に役立つ。またマップビューは、地図上に配置されたサイトをクリックしてダッシュボードが表示できる。たとえば世界・全国に広がる拠点、多数の店舗などのネットワークを一括して管理する際に便利だろう。
「たくさんのサイトを管理している場合は、検索窓からサイト名(の一部)を入力して検索したり、リストビューでソート(並べ替え)をしたりして探すこともできます」(中村氏)
新たなサイトの作成時に、既存のサイトの設定をコピーしたサイトを作れる「サイトクローン」の機能も追加された。設定済みのポリシー、Wi-Fiの使用周波数帯域、電源のスケジューリングといった設定項目を丸ごとコピーできるので、多数のサイトを作成しなければならない場合でも省力化できる。
多数のサイトの管理作業を“分業化”できるように、「ロール(役割)ベースの管理権限」機能も登場している。これまでは、すべての管理権限を持った「Administrator(管理者)」の一種類しかなかったが、新たに「Operator(運用者)」「Delegate(代行者)」「Viewer(閲覧者)」といった、一部の操作が制限されたロールを割り当てることもできるようになった。
「たとえば、本社ですべてのサイトを管理するAdministratorとは別に、拠点や店舗(サイト)の担当者にもOperatorやDelegateのロールを割り当てて、ふだんの管理・監視作業を委託するような役割分担が可能です」(中村氏)
さらにこの機能は、顧客企業のネットワーク管理業務を請け負っているマネージドサービスプロバイダー(MSP)や販売店でも、「一部の監視・管理作業を顧客に分担してもらう」といったかたちで有効に使えそうだ。
スイッチのSNMP設定についても、これまではクラウド管理ではできなかった(ローカル管理を行う必要があった)ものが、クラウドでできるようになった。横山氏は、SNMPを使いたいというニーズは特に大規模なネットワークを運用する顧客で多く、この点も今回の機能強化で便利になるはずだと話した。
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HPE Networking Instant On R3.0.0アップデートでは、今回ご紹介した以外にも多くの機能強化がなされている。これまでの特徴である「使いやすさ」や「効率」をさらに向上させるとともに、小規模から大規模までの「スケール」にも対応していく方針を明らかにした、そんな動きと言えるだろう。
業務の中でクラウドアプリやモバイルデバイスを多用するようになった現在、ネットワークのトラブルやダウンタイムの発生はビジネス上の損失に直結する。その一方で、IT担当者は忙しく、運用管理作業の手間はなるべく軽減させる必要がある。あらためて、HPE Networking Instant Onがもたらすビジネスメリットに注目していただきたい。