業務を変えるkintoneユーザー事例 第247回
サイボウズデイズの教えで、業務フローをワンストップ化したNCP
Zoomを使わず「全国行脚」 振り返ればこれがkintone浸透の鍵だった
2024年10月16日 10時00分更新
Zoomを使わず“全国行脚”で浸透活動、振り返ればkintone導入の鍵だった
山下氏はサイボウズデイズの教え通り、年に1回、全社員が集まる「全国会議」にて、kintoneで業務フローをワンストップ化することで、いかに便利になるか30分間熱弁した。
その後、要件定義に着手。しかし、山下氏は元々事務だったので業務システムはともかく、バックオフィスの課題は分からない。そこで、酒井氏がいる総務や経理も、要件定義に巻き込んだ。テストアプリでの検証も、各拠点に協力してもらい、順調にアプリの構築は進んでいく。
そして、目指す導入のターゲットは、2024年1月。11月には、社内で説明会をする必要があった。その時再度、サイボウズデイズを思い出す。それは、「ハンズオン形式で実際にアプリを触ってもらいながら説明すると良い」という教えだ。
オンラインでのハンズオンは、社員がZoomを立ち上げるのにも苦労するため断念した。そこで山下氏は、全国に23カ所ある全拠点に訪問して直接説明するという強行策に出る。小さいプロジェクターとスクリーンを持ち歩いて「全国行脚」した。1日3拠点で説明したときは、約8時間も喋りっぱなしだったという。
全国行脚のおかげで、kintoneは約2か月で全社員に定着、これを機にチャットでの相談受付も浸透した。現場に直接訪問したことで、トラブルも事前に防げている。アプリではポップアップが出る仕様であったが、知らずにブロックしているユーザーが多かった。全国行脚で片っ端から解除することで、問い合わせが殺到することを防げた。
途中から加わった業務推進企画室の他のメンバーも奮闘した。行政書士の資格を取って入社した“はるちゃん”は、旧システムからkintoneへ移行するデータ約4万件を一人で精査してくれた。kintoneで絞った募集要項から入社した“舞子さん”は「社員が絶体にマニュアルを読まない」のを見越して、アプリのマニュアル動画を作成してくれた。
こうして2024年1月、kintoneの本格導入がスタート。「2024年2月にkintoneアプリで社内アンケートを取ったのですが、みんな普通に回答していました。これは、kintoneが社内浸透したんだと、めちゃくちゃ感動しました」と山下氏。
社内からは、モバイルアプリで入力できるようになり、レコードに写真も添付できるので、情報共有が円滑になったという意見が寄せられた。kintoneのポータル画面の色を季節によって変えており、皆が楽しめる工夫も凝らしている。社員から要望が出たら、可能な限りすぐに反映。これができるのもカスタム性の高いkintoneならではだ。
最後に山下氏は、「実は私の夫はバリバリのSEです。『ITを会社に入れようとしている人間が全国に出張するなんて逆行してる、Zoomでいいのでは』と言われて、ちょっと喧嘩しました」と振り返る。
そして、「結果論ですが、直接説明にまわって良かったです。導入担当が足を運んで、寄り添ってくれたと感じてもらうことが大事でした。ただでさえ人は新しいことを嫌いますし、ITに対して苦手意識のがある社員が多かったので、“導入の鍵になった”と思っています」と締めくくった。
プレゼン後にはサイボウズのパートナー第1営業部 沖沙保里氏から質問が投げかけられた。
沖氏:勤怠管理だけでkintoneを使っているのはもったいない、というのは私たちも同感です。全国行脚した際には、まだ社員の皆さんがkintoneに好意的ではなかったと思いますが、その時の雰囲気はどうでしたか?
山下氏:拠点によってばらばらでした。すごく暖かく迎えてくれて、拍手してありがとうって言ってくれる拠点もあれば、逆にナニコレ、何のために入れるの、という感じの拠点もありました。
沖氏:kintoneが浸透した後、ナニコレと反応した拠点は変わりましたか?
山下氏:はい、導入して6か月目にその拠点の方が好意的なコメントくれたので、すごく嬉しかったです。
2025年3月末までの限定公開です
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