システムからのさまざまなお知らせをLINE WORKSでいち早く受け取りたい。こうした用途に最適なのがLINE WORKSのIncoming Webhookアプリだ。Bot開発のようなコーディングなしに、カジュアルにLINE WORKSの通知機能を利用できる。以前WOFFについて聞いたLINE WORKSの山﨑 慎太郎氏に今度はIncoming Webhookアプリについても教えてもらった。
LINE WORKSを通知に使うための障壁はBot開発
LINE WORKSを日常的に利用するようになると、さまざまな通知をLINE WORKSで受け取りたくなる。「たとえば、受付システムや問い合わせフォームに入力があったり、特定の場所にファイルがアップロードされたらLINE WORKSが教えてくれるといった用途です」(山﨑氏)。
ただ、こうしたアプリとLINE WORKSを連携した通知を実現するにはBotを作る必要があった。しかし、Botの開発にはコーディングが必要なほか、サーバーを用意したり、開発者用のコンソールから各種設定を行なう必要がある。Bot APIを利用するためのアクセストークンの発行処理や管理も必要で、導入の障壁が高かった。
こうしたBotの開発を行なわず、Webサービスや自社システムの情報を容易にLINE WORKSと連携させる仕組みが今回紹介するIncoming Webhookアプリになる。
Webhookとは、Webサービス間で情報を自動的に共有する仕組み。Webサービスでなんらかのイベントが発生すると、そのイベントを「hook」して、別のアクションを起こすことができる。IFTTT、Zapier、Makeなど多くのWeb連携サービスやiPaaSでもこのWebhookを活用している。
今回、外部サービスのイベントを受付け、アクションを実行するのがLINE WORKSのIncoming Webhookアプリだ。具体的には、Incoming Webhookアプリが発行したWebhook URLに対して、外部サービスがHTTPリクエストを送ることで、トークルームにメッセージを送信することが可能になる。
Incoming Webhookアプリを利用すると、ファイルやレコードの更新、ワークフローの申請・承認、システム障害、問い合わせなどをLINE WORKSのトークルームで受け取れる。たとえば、「Gmailでメールを受信した」「kintoneにレコードが追加された」「Trelloのカードが更新された」「Googleスプレッドシートが更新された」などのステータスの変化をLINE WORKSで知ることができる。8月にはアステリアのノーコードAI・IoTプラットフォームの「Gravio」がIncoming Webhookアプリとの連携を発表している。
通知の敷居を下げるIncoming Webhookアプリ
Incoming Webhookアプリの最大の特徴は、通常のBotに比べて簡単に構築できること。前述したIFTTT、Zapier、MakeなどのWebサービス連携ツールを用いれば、ノーコードで連携が可能になる。「LINE WORKSユーザー全員というわけではないですが、今までのBot開発者だけでなく、より幅広いユーザーに通知の利用範囲を拡げられると思います」と山﨑氏は語る。
逆に言うと、Incoming Webhookアプリは外部Webサービスからの通知に特化しているため、ユーザーのトークを外部Webサービスに送信するといった双方向のやりとりはできない。また、通知のメッセージもあらかじめ決められたフォーマットに従う必要があり、画像やファイルの送付も不可。アプリの通知というシンプルな用途で多くの人にトライしてもらうというのがIncoming Webhookアプリの役割だという。
このようにLINE WORKSとしては、ノーコードorコードという二択ではなく、ユーザーのスキルにあわせて幅広い連携や自動化の手段を用意している。Botを一から開発してもよいし、WOFFのようにミニアプリ化を進めてもよい。今回のIncoming Webhookも、Botを作るスキルはないが、アプリの更新をLINE WORKSの通知で知りたいというユーザーにとってみれば、チャレンジしがいのあるものになっている。興味があるユーザーはLINE WORKS DevelopersやQiitaの記事を参照してもらいたい。