AWSクラウド+オラクルDBは「顧客が望んでいたこと」、別セッションにはMicrosoft、Google幹部も登壇
AWS CEOがオラクル年次イベントの基調講演に登壇、「Oracle Database@AWS」を語る
2024年09月12日 06時30分更新
オラクルとAmazon Web Services(AWS)が発表した「Oracle Database@AWS」。発表翌日の2024年9月10日、オラクルが開催中の年次イベント「Oracle CloudWorld 2024」では、オラクル会長兼CTOのラリー・エリソン氏のメインキーノートに、AWSのCEOであるマット・ガーマン氏がゲスト登壇。エリソン氏と対談し、Oracle Database@AWSの提供に至った背景や、今後への期待を語った。
なお、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のプロダクトキーノートでは、AWSに先駆けて自社のクラウドデータセンター内で同様のサービスを提供しているMicrosoft Azure、Google Cloudが登壇。オラクルとの提携の現状や、自社クラウドの強みを生かした連携ユースケースを紹介した。
AWS ガーマンCEO:オラクルとの連携は「顧客が望んだこと」、今年末から提供開始
前日に発表されたOracle Database@AWSは、AWSのクラウドデータセンター(リージョン)内にオラクルのハードウェア/ソフトウェアインフラを設置し、フルマネージドサービスとして「Oracle Exadata Database Service」や「Oracle Autonomous Database」を提供するというものだ。これにより、AWS上で稼働するアプリが、低レイテンシ/広帯域な構内接続ネットワークを通じてExadataなどのデータベースサービスにアクセスできる。
Oracle Database@AWSのサービス運用はオラクルが主体となって行うが、ユーザーによるプロビジョニングや運用の操作はAWSのマーケットプレイスや管理コンソールに統合され、料金請求もAWSから一括で行われる。今年12月にAWSの北米リージョン(バージニア北部)でプレビューリリースを開始し、来年には順次各国リージョンへと拡大する予定だ。
なお、同サービスの価格や機能、パフォーマンス、SLA(サービスレベル保証)はすべて、OCIで提供しているサービスと同一である。データベースアクセスのレイテンシSLAは2ミリ秒未満となっている。
オラクルのエリソン氏は、多数のクラウドサービスを利用する企業が「オープンなマルチクラウド環境」を求めるようになっており、そのニーズに対する最善のアプローチとして「AWSのデータセンター内にExadataを格納すること」を考えたと説明する。それを実現したOracle Database@AWSのもたらすメリットについて、「最高速のパフォーマンス」「簡単に使える」「耐障害性がありスケーラブル」の3点にまとめた。
「AWSとオラクルには共通の顧客(両社のサービスを利用する顧客)が数多くいる。そうした顧客から、これまで何度も『いつになったらAWSクラウド内でOracleのデータベース(Exadata)が使えるようになるのか』と尋ねられていた。それが今年の12月に実現する。とても楽しみだ」(エリソン氏)
ステージに招き入れられたAWSのガーマン氏も、AWSとオラクルの共通顧客は「『AWSかオラクルか』ではなく『AWSもオラクルも』選びたいと考えていた。それが実現できることになってとても興奮している」と語る。
特に、ミッションクリティカルなワークロードをAWSで稼働させたいと考えた場合、これまでは、オンプレミスで実現しているExadataや「Oracle RAC」によるオラクルのデータベース環境をAWS上で、しかも低レイテンシでどう実現できるのかが課題となっていたという。
「たとえば(米小売業大手の)Best Buyでは、Eコマースや顧客向けの商品レコメンドなど、多数のアプリをAWSで稼働させている。彼らはOracle RACのワークロードをどうやってAWS上で実行するかの検討を重ねていたが、ついに答えが出た。(Oracle Database@AWSは)すばらしい解決策になるだろう」(ガーマン氏)
エリソン氏も、JP MorganやVodafone、Exxon Mobilといった顧客の社名を挙げながら、Oracle Database@AWSに対する期待の声はすでに高いと述べた。
またOracle Database@AWSでは、オラクルのExadataマシンやインフラをAWSデータセンターに配置するだけでなく、両社の開発チームが協力して「AWSのネイティブサービスであるかのように感じられる形での統合」(ガーマン氏)を進めているという。管理コンソールの統合をはじめ、Amazon S3へのデータベースバックアップ、ゼロETL(ETL処理なし)でのAmazon SageMakerによる機械学習や分析といったワークロードも、シンプルに実現するという。
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