このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「Amazon Bedrock」事例、金融業界特化の生成AIユースケースが続々

金融向けサービス+生成AI “5つの実例” ―RAGの実装は? モデルの選択は?

2024年09月09日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ナウキャスト:ファイナンシャルアドバイザリー業務を効率化

 Finatextグループのナウキャストは、証券・保険領域の営業とコンプライアンス業務を生成AIで効率化する「Finatext Advisory Assist」を2024年4月より提供している。

 同サービスの「コンプライアンスアシスト」機能は、コンプライアンスを確認すべき商談や商談中の会話を、自動で優先度付けしてくれる。また「セールスアシスト」機能では、事前設定のチェック項目を基に、生成AIが商談内容をレビューしてくれる。

 また、顧客ごとに書き起こしの精度を高める専用モデルの構築も可能で、単語をデータベースに登録するだけで、ファインチューニング用のデータを生成して、自動チューニングされる仕組みを提供する。

Finatext Advisory Assistにおける専有モデルの提供

 Finatext Advisory AssistはすべてAWS上で構築されている。ナウキャストの片山燎平氏は、「Claude 3.5 Sonnetが東京リージョンで使えることから(Bedrockの)導入を決めた」と説明した。

ナウキャスト データ&AIソリューション事業責任者 片山燎平氏

野村総合研究所:金融向けコンタクトセンターの応対品質や生産性を向上

 野村総合研究所(NRI)は、金融業界を中心に展開するコンタクトセンターシステム「CC@Home」のAIソリューション「TRAINA」シリーズにおいて、2024年9月から生成AIによる機能強化を図っている。

 機能強化を行ったのは「FAQ検索・表示」「通話内容の要約」「VOCの分析」の3つ。オペレーターの対応中に社内マニュアルやFAQを基に回答例を生成してくれたり、通話中の会話から自然で分かりやすい要約を生成してくれたり、通話の分析結果を基に考察を生成してくれたりする。

 これらの機能は、Bedrockを用いて、NRI独自のNLP(自然言語)エンジンと生成AIモデルを組み合わせることで品質を向上させている。さらに、各モデルの呼び出し方法を共通化する「Converse API」を用いて、ニーズに応じたモデルの切り替えを容易にする仕組みを実現する。

NRI独自のNLPエンジンとBedrockの組み合わせ

 さらに、金融機関で求められる個人情報のマスキング、ログやデータの取得ポイント・保管場所の工夫、コンプライアンスチェックなどの機能も周辺システムで提供する。NRIの大倉朝子氏は、「生成AIを用いた業務の高度化やビジネスモデルの変革には、コンサルティングから業務・システムの設計、セキュリティ、環境、運用といった様々な支援が必要。NRIではこれらをワンストップでサポートする」と説明した。

野村総合研究所 デジタルワークプレイス事業四部 シニアシステムコンサルタント 大倉朝子氏

Finatext:保険金支払査定業務を3分の1に

 最後に紹介するのは、Finatextの取り組みだ。同社は「保険クラウドInspire 保険金支払査定アシスト」を2024年度内に提供開始予定だ。金融ビジネス向けの基幹システム「Inspire」上で提供される同ツールは、保険金支払査定業務の大半を占める「支払査定文書」の作成を生成AIがサポートする。

 同ツールは、ナレッジの蓄積が必要な支払査定文書の生成をRAGによって解決。Bedrockのベクトル検索サービス「Knowledge Bases」を利用して、基本約款や重要事項説明などの情報や、査定に必要な保険料明細、診療書などの書類の画像を基に、文書を生成する仕組みだ。

保険金支払査定アシストの概要

 Finatextの山崎蓮馬氏は、「支払査定文書の生成により、査定業務時間を3分の1まで短縮できるのではないかというヒヤリング結果も挙がっている」と説明した。

Finatext リードエンジニア 山崎蓮馬氏

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    ホワイトハッカーの卵たちが“OTセキュリティ”を通して育む、これからのセキュリティ意識

  2. 2位

    TECH

    量子力学に強く惹かれ、量子ビットの高性能化に一貫して取り組む

  3. 3位

    ITトピック

    AI時代の高スキルIT技術者“争奪戦”/AIの成果創出に進む日本企業、障壁は/7割の企業で「AIの不具合」、安全性や財務の影響実態、ほか

  4. 4位

    デジタル

    「前例をなぞって楽をしていた」―― 滋賀県のkintone活用を好転させた“失敗起点のフレームワーク”

  5. 5位

    デジタル

    ヤマハ、RTX840/RTX1300のDNS防御を強化 拡張ライセンス「YSL-CLDDNS」発売

  6. 6位

    sponsored

    「運用負荷を下げなければ、セキュリティは高まらない」 企業が直面するネットワーク運用の難題にどう向き合うか

  7. 7位

    デジタル

    ヤマハ、Wi-Fi 7対応「WLX333/WLX232」に運用支援機能 「Wi-Fi快適度」を可視化

  8. 8位

    ソフトウェア・仮想化

    VMwareはセキュリティを提供する企業 Broadcom買収から3年後の現在地

  9. 9位

    sponsored

    生成AI活用で業務変革を進める宇宙スタートアップ企業アストロスケールホールディングス(Microsoft 365 Copilot導入事例)

  10. 10位

    TECH

    【12/3・参加無料】情シスの皆さん、今年の“ヤバかった話”で忘年会しませんか? セキュリティ談義とクリスマスグルメで乾杯!

集計期間:
2026年10月31日~2026年11月06日
  • 角川アスキー総合研究所