法人向けNASの小型モデルも刷新、近日追加予定のランサムウェア対策機能も紹介
バッファローが「TeraStation」NASにリモート設定機能追加 情シス・Slerの人材不足対応で
2024年08月30日 15時15分更新
3つの柱を軸に企業のDXを推進、今後も新機能を展開予定
バッファローは、ここ数年、「人手・IT人材不足」、「ハイブリッドワーク・業務デジタル化のインフラ構築」、「BCP対策」という3つの柱で、法人向け製品を拡充している。それにより、無線LANアクセスポイント(AP)からルーター、ビジネススイッチ、NASからなるネットワーク商品を通して、企業のDXを推し進める狙いだ。
今回のNASの新機能および新製品は、「人手・IT人材不足」に対応する製品拡充にあたる。この領域の中核となるのが、リモート管理サービスであるキキNaviである。サービス開始から5周年を迎え、国内累計登録法人数は1万社に達しているという。
導入が進む背景としてバッファローの事業本部 法人マーケティング部長である富山強氏は、「管理そのものを無償で提供していることが大きい、簡単かつ負担なく利用できるのがポイント」と述べる。稼働状況の把握や共有、APのクラウドゼロタッチ、遠隔簡易操作、設定状況の保存といった機能を無償で提供しており、ここに今回リモート設定の機能が追加された。
群馬県の保育施設である富岡ひばりこども園では、機器管理を担う人材がいないため、キキNavi対応のAPを導入。保育ICTシステムを利用できるネットワーク環境を整備しつつ、販売店がリモート管理を担う体制を築いた。このようにキキNaviは、販売店がリモート管理するケースが多く、追加されたリモート設定の機能は、同様な事例を加速させるものになりそうだ。
3つの柱の「ハイブリッドワーク・業務デジタル化のインフラ構築」においては、APにおける「ローミング支援」の機能を2024年6月より提供している。端末を移動させる際に最適なAPとの接続を促す機能であり、キキNaviで遠隔設定も可能だ。
大分県の老人ホームであるそうりんヴィレッジは、ローミング支援機能搭載のAPの導入で、移動中でも介護・福祉システムの入力作業が滞らない、働きやすいネットワーク環境を構築しているという。
2024年の2月には、法人向けのVPNルーター「VR-Uシリーズ」に、UTM機能を拡張するライセンスパックを提供開始した。1年契約で21780円(税込)と一般的なUTMの比べて低価格であり、機能を絞ることで、セキュリティ機能有効時の速度低下を抑制しているのが特徴だ。
宮崎のウエダメンタルクリニックは、業務用・公衆Wi-Fiの整備に利用していたVR-UシリーズにUTMライセンスを適用することで、ハードウェアの増設なく、医療DXの推進を支えるネットワークセキュリティーの強化を実現しているという。
最後の柱となるのが「BCP対策」だ。BCP対策として2022年より展開するのが、「キキNavi クラウドバックアップ」である。法人向けNASの設定情報やデータをバックアップできるサービスで、大量のデータを抱えるNASのバックアップに耐えられる設計となっている。「地震等の自然災害が多くなっている中で、問い合わせが増えている」と富山氏。
愛知県の製造業であるシマダマシンツールは、海抜が低く、地盤が緩い土地に本社を構える。キキNavi クラウドバックアップ対応の法人向けNASを導入することで、万が一の災害の脅威から重要な設計を守るためのデータ保全体制を築いている。キキNaviで、販売店がリモート管理できるのも導入の決め手となったという。
もうひとつBCP対策として注力するのが、ランサムウェア対策だ。これまで、クラウドバックアップやスナップショットバックアップ、履歴管理バックアップといったNASのバックアップ機能を、そして、2024年3月には、NAS向けにウィルスチェック機能の拡張・延長パックを提供してきた。
それに加えて、近日、NASの「異常ファイル操作検知機能」も展開予定だ。NASに書き込まれるファイルの拡張子をチェックして、ランサムウェア攻撃の疑いがある場合は管理者に通知、あわせて異常を検知する前のスナップショットを利用して復元まで対応できる(スナップショット対応機種のみ)。