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撮影不要で、審査時間も短縮、正しい情報で成りすましを防止

マッチングアプリ同様定着進むか ― ペアーズがマイナカードでのオンライン本人確認を開始

2024年08月23日 18時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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ペアーズがマイナカードによるオンライン本人確認に踏み切った理由

 インテージの2023年10月の調査によると、マッチングアプリは、結婚相手に出会ったきっかけとして、日常生活の出会いに次いで2位に。実に4人に1人がマッチングアプリから結婚に至っており、一時期の怪しいイメージを払拭して「出会いの手段」として浸透しつつある。

 一方で、ロマンス詐欺をはじめとする不正利用リスクへの対策は不可欠であり、ペアーズを運営するエウレカも啓発活動や自治体や有識者との連携などに加えて、最新テクノロジーを用いた安全性の強化に注力している。

 これまでも、身分証明書と顔認証によるオンライン本人確認を、AWSの機械学習を用いた画像・動画分析サービス「Amazon Rekognition」を活⽤して強化したり、AIによる自動検知や目視によるカスタマーケアを組み合わせて悪質な利用を監視してきた。

ペアーズのテクノロジーによる対策

 そして今回新たに、マイナンバーカードの公的個人認証によるオンライン本⼈確認を開始した。決め手となった理由は2つだ。人口に対するマイナンバーカードの保有枚数の割合が74.5%に達し、運転免許証と同等の普及率になったこと。そして、デジタル庁による独自アプリの展開や、公的個人認証サービスを担う事業者が増加するなど、マイナンバーカードを民間利用する体制が整備され始めたことだ。

導入理由はマイナンバーカードの普及と進化

 ペアーズでの、マイナンバーカードによる本人認証の流れは次のとおりだ。

 まず、マイナンバーカード作成時に設定した署名用のパスワードを、続いてマイナンバーカード自体に記載されている照合番号Bの情報(有効期限の西暦・セキュリティコード)を入力する。その後、カードをスマートフォンにかざして、認証が通れば本人確認は完了する。従来手法では1時間かかることもあった審査時間が即時完了し、撮影も不要になるため、場所を選ばずに認証できるようになる。

マイナンバーカードのICチップ読み取りの利⽤フロー

 マイナンバーカード情報は、生年月日、性別、顔写真を本人確認のために取得する。特に生年月日は、インターネット異性紹介事業を規制する法令に基づいて、利⽤者が18歳以上であることを確認する⽬的で利用。一方で、マイナンバーや入力した暗証番号は取得しない設計になっている。

マイナンバーカード情報の取り扱い

 ポケットサインの梅本氏によると、ペアーズのマイナンバーカードによるオンライン本人認証はマッチングアプリ業界初となり、同社には金融・保険といった分かりやすい業界から意外な業界まで、幅広い企業から引き合いが来ているという。例えば同社は、ゴルフダイジェスト・オンラインにおける、ゴルフ場でのマイナンバーカードを活用した顔認証の実証実験にも協力している。

 今後も政府の働きかけやペアーズと同様の決断をする企業が増えることで、この新たな本人確認は拡大していき、マッチングアプリ同様に定着化していきそうな流れだ。

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