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撮影不要で、審査時間も短縮、正しい情報で成りすましを防止

マッチングアプリ同様定着進むか ― ペアーズがマイナカードでのオンライン本人確認を開始

2024年08月23日 18時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」が、2024年8月22日、マイナンバーカードの公的個人認証サービス(ICチップ読み取り)によるオンライン本人確認を、従来手法に加えて開始した。

マイナンバーカードでの本人認証

 現在政府が、「携帯電話不正利用防止法」や「犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律等)」における“非対面”での本人確認を、マイナンバーカードの公的個人認証で一本化する方向性で進める中、マッチングアプリ事業者でもペアーズが先んじて導入を決めた。

 ペアーズを運営するエウレカの代表取締役CEOである山本竜馬氏は、「ユーザーにとっても、我々にとっても、一番簡単で安全なのがマイナンバーカードのICチップ読み取り。なるべくこの方式を使ってもらえるよう推進していく」と語る。

エウレカ 代表取締役CEO 山本竜馬

マイナカードでの本人確認の仕組み、政府が推奨するより安全で簡単な認証サービス

 ペアーズが今回の新しい本人確認のために採用したのが、ポケットサインの提供する「PocketSign Verify」だ。ポケットサインは、総務省・デジタル庁より、公的個人認証サービスにおける「プラットフォーム事業者」の主務大臣認定を受けており、マイナンバーカードの利活用を専門に事業を展開している。

 ポケットサインの代表取締役CEO/COOである梅本滉嗣氏は、本人確認の仕組みにおける大事なポイントとして、「マイナンバーとマイナンバーカードは別物」だと前置きする。

ポケットサイン 代表取締役CEO/COO 梅本滉嗣

 公的個人認証サービスではマイナンバーは利用せず、マイナンバーカードのICチップに搭載されたアプリケーション(公的個人認証AP)を用いて、ユーザーから提供される電子証明書の有効性を確認する。「ひとことで言えば実印と印鑑証明書をデジタル化したもの」と梅本氏は例える。

マイナンバーカードのICチップ内に搭載される公的個人認証AP

 この仕組みにより、成りすましや改ざん、送信否認の防止を担保して、オンラインでの本人確認を実現する。電子証明書の有効性を確かめる署名検証者は民間企業にも開放されており、ポケットサインのようなプラットフォーム事業者が、他の民間企業からの署名検証業務を受託できる。

 加えて、ICチップは高度な改竄・偽造防止措置が施されて偽造は困難であり、アプリとカードのみで本人確認検証が即時完了して、撮影の手間も要らない。また、住民票を持つ実在する人物の正しい情報が基になるため、未成年や生成AIなどの最新技術による登録も防ぐことができる。

 PocketSign Verifyは、この本人確認の仕組みを、事業者のスマートフォンアプリに直接組み込めるサービスだ。他のアプリのダウンロードや連携は必要としない。梅本氏は、「事業者向けのプラットフォームサイトを構築しており、登録するだけで即日開発ができる環境を整えているのが特徴」と説明する。

 PocketSign Verifyにおける本人確認の流れは、まず、ユーザーがマイナンバーカードをかざすと、本人性を証明する署名用電子証明書が作成される。これがペアーズを経由して、ポケットサインに署名検証が委託される。ポケットサインは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)と連携しながら、電子証明書が失効していないか、偽物でないかを確認。その結果がペアーズを通してユーザーに伝えられる。

PocketSign Verifyを用いたペアーズでの本人確認の流れ

 政府自身がこうした公的個人認証サービスの民間利用を推し進めており、現在導入する民間事業者は569社に上る(2024年7月8日時点・デジタル庁より)。

 マッチングアプリの事業者に対しても、2024年6⽉18⽇の犯罪対策閣僚会議において、公的個⼈認証サービスなどによる不適正利⽤対策に取り組むよう言及されており、結果的にペアーズはいち早く対応した形となる。

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