このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第497回
シャープ「AQUOS R9」はデザインやチップの変更で評価が分かれたが、実機であらためて実力を検証した
2024年08月24日 12時00分更新
Snapdragonの「7+」は「8」にどこまで迫るのか
性能面を確認すると、AQUOS R9のチップセットはクアルコム製の「Snapdragon 7+ Gen 3」であり、メモリーは12GB、ストレージは256GBだが、1TBまでのmicroSDによる増量が可能。AQUOS R8と比べた場合、搭載するチップセットがハイエンドの「8」ではなくミドルハイクラス向けの「7シリーズ」にダウンしている点が、デザイン同様物議を呼んだもう1つのポイントだ。
ただシャープとしては、AQUOS R9の性能はAQUOS R8と大きく変わらないとしている。では実際のところ、Snapdragon 7+ Gen 3の実力はどの程度なのだろうか。ベンチマークやゲームなどで性能を確認してみると、確かに以前のSnapdragon 8シリーズに匹敵する性能はあるようで、ゲームのグラフィックなどは以前のハイエンドモデルと同等の設定が可能なようだ。
ただベンチマークのスコアを見る限りでは、AQUOS R8が搭載していた「Snapdragon 8 Gen 2」搭載機種と比べると低く、リアルタイムレイトレーシングにも対応していないことから、どちらかといえばその1つ前となる「Snapdragon 8 Gen 1」といい勝負、という印象だ。
ちなみに、ここ最近登場したAAAクラスのゲームのいくつかを最高のグラフィック設定にプレイしてみたところ、「ゼンレスゾーンゼロ」はスムーズに動作したが、「鳴潮」は時々フレーム落ちが生じることがあった。
当然、最新の「Snapdragon 8 Gen 3」搭載機種と比べると性能は落ちるが、ミドルハイクラスの中ではかなり上位の性能を誇ることは間違いないだろう。ベイパーチャンバーを搭載したことでゲームプレイ時の発熱もかなり抑えられており、ゲーミングを重視する人も不満を抱くことはあまりないだろう。
一方でバッテリーは5000mAhと、4570mAhだったAQUOS R8から増量された。一般的なハイエンドモデルと同等の容量になったことから、安心感が高まったことは間違いない。
そして通信に関してだが、SIMは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIMに対応しており、ドコモからも販売されるだけあって、5Gの4.5GHz帯(バンドn79)にもしっかり対応している。国内で利用するなら安心だ。
その通信に関して、新たに話題の生成AIを活用した「伝言アシスタント」が搭載されている。これは電話に出られない時、端末本体に直接伝言を録音できる「伝言メモ」の発展形というべきものであり、録音した音声を文字起こしし、さらに要約もしてくれる。オンデバイス上のAI処理で実施することから、プライバシー面でも安心感がある。
実際に試してたところ、落ち着いて話せば比較的正確に文字起こししてくれるので、わりと便利だと感じるが、名前など固有名詞の変換がうまくいかないケースが多く、留守番電話で録音することが多い名前などの認識はもう少し改善が必要だろう。
要約機能はかなり長い伝言であれば有効なのだろうが、留守番電話に多い10~20秒程度の短いメッセージでは通常の文字起こしした内容とあまり変わらず、メリットが薄いと感じた。
【まとめ】デザインは好みが分かれるが機能・性能は満足感が高い
でもやっぱり最高水準のProモデルの復活にも期待
AQUOS R9は昨今の厳しい市場環境を受けたこと、そして海外展開を意識して開発されたことなど、シャープの戦略転換を強く受けていることもあって、やはり従来モデルと大きく変わった点が非常に多いと感じた。
とりわけデザインに関しては、AQUOS R8シリーズで全体的な統一を図ってから短期間での方針転換ということもあって、好みが大きく分かれることは確かだろう。
ただ、実際に触れてみると、機能面ではAQUOS R8を踏襲しながらうまく発展がなされているし、性能に関してもAQUOS R8と同等とはいかないものの、大幅にスペックダウンしているワケではない。
カメラのズーム切り替え速度を除けば実利用で大きな不満を抱くケースはそれほど多くはなく、オープン市場で10万円をやや超えるという実売価格を考えれば、満足感の高い内容だ。
とはいえ、日本のハイエンドモデルを長年けん引してきたシャープが、AQUOS RシリーズのProモデルを投入しないという選択をしたことは非常に残念だ。やはり最高水準のProモデルの復活を大いに要望したい。
AQUOS R9 | ||
---|---|---|
ディスプレー | 6.5型Pro IGZO OLED (19.5:9)240Hz対応 |
|
画面解像度 | 1080×2340 | |
サイズ | 約75×156×8.9mm | |
重量 | 約195g | |
CPU | Snapdragon 7+ Gen 3 | |
内蔵メモリー | 12GB | |
内蔵ストレージ | 256GB | |
外部ストレージ | microSD(最大1TB) | |
OS | Android 14 | |
対応バンド | 5G NR:n1/3/5/7/28/38 /40/41/66/77/78/79 4G LTE:1/2/3/4/5/7/8 /11/12/13/17/18/19 /20/21/28/66 /38/39/40/41/42 W-CDMA:1/2/4/5/8 4バンドGSM |
|
無線LAN | Wi-Fi 7 | |
カメラ画素数 | 約5030万画素(標準) +約5030万画素(広角) /イン約5030万画素 |
|
バッテリー容量 | 5000mAh | |
FeliCa/NFC | ○/○ | |
防水・防塵 | ○/○(IP68) | |
生体認証 | ○(指紋+マスク対応顔) | |
SIM | nanoSIM+eSIM | |
USB端子 | Type-C | |
カラバリ | グリーン、ホワイト |
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