最新パーツ性能チェック 第445回
「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のゲーミング性能はゲームキングRyzen 7 7800X3Dに勝てる?
2024年08月08日 15時00分更新
「Forza Motorsport (2023)」
Forza Motorsportでは画質はすべて最低に設定したが、アンチエイリアスはTAA、FSR 2はデフォルトで無効なのでそのまま無効に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
無敵だと思われていたRyzen 7000X3Dシリーズも、Zen 5のパワーの前にようやく黒星が付いた。Ryzen 7 9700Xはコア数において格上のRyzen 9 7950X3Dに、Ryzen 5 9600XもRyzen 7 7800X3Dにそれぞれあと一歩のところまで詰め寄った。
ただゲームの設計上フレームレートが250fpsあたりのところで見えない壁があるようで、この壁の存在がRyzen 9 7950X3DとRyzen 7 9700Xの差を小さく見せているとも考えられる。このゲームの場合、物理シミュレーションによるCPUの負荷も相当に高いため、その部分でIPCを高めたZen 5アーキテクチャーが優位に働いているのだろう。
Ryzen 9000シリーズではCPUがより働くようになったので消費電力が増加。Ryzen 7000X3DシリーズはフレームレートでこそRyzen 9000シリーズに詰め寄られてしまったが、CPUの消費電力(=ワットパフォーマンス)という点では圧倒的な優位性をキープしている。
「Cyberpunk 2077」
続いてはアクション系ゲームでの検証に入る。重量級ゲーム代表であるCyberpunk 2077は、GPU側のボトルネックを出さないためレイトレーシングを使わない“低”設定で検証する。FSR 2はデフォルトで有効なので、本検証では“バランス”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
Ryzen 7000X3Dシリーズの中でもRyzen 9 7900X3Dだけフレームレートが下がっているのは、3D V-Cache搭載コアが6基しかない、という7900X3D特有のハンデを反映したものである。このゲームにおいては8コアのCCD1基だけのRyzen 7800X3Dの方が有利なのだ。
そしてRyzen 7 9700Xはというと、Ryzen 7 7700Xとほぼ変わらない。Ryzen 5 9600Xと7600Xも似たような感じだが、9600Xの方が伸び幅が大きい。これは前編の動画エンコード検証などで観測できたように、TDPが65Wという制約下で動作するRyzen 7 9700Xは動作クロックが抑えられてしまい、コアそのものの処理能力が高い割に性能を出し切れない(だがその分圧倒的に低発熱)と同じ因果から導き出された結果である。
前編のエンコード中の消費電力はRyzen 7 9700Xが7700Xを大きく下回ったが、ゲームの処理ではエンコードのように負荷が常に高いままではないため、Ryzen 7 9700Xと7700Xの消費電力がほぼ同じになった。
「Starfield」
StarfieldもフレームレートがCPUパフォーマンスに影響されやすいゲームである。今回は画質プリセット“低”としたが、レンダースケールはFSR 3“バランス”相当の58%とした。また、前述の通りフレーム生成機能はオフ(これもStarfieldのデフォルト)。都市ニューアトランティスのMAST地区を移動する際のフレームレートを計測している。
ここでのトップは3D V-Cacheを搭載し、かつCCDまたぎのおそれがない(そして、1基のCCDでTDP枠を完全に独占できる)Ryzen 7000X3Dがトップ。続いてコア数(SMTを含めない物理コア数)の有利なCore i9-14900KとCore i7-14700Kが続く。
ここでもRyzen 9 7900X3Dは微妙な位置だが、これをRyzen 7 9700Xが越えてきた。Ryzen 5 9600XもRyzen 7900X相当の結果を出していはいるが、これもRyzen 9 7900XがCCDあたりのコア数6基というハンデを抱えているからである。Ryzen 5 7600Xから見ると僅差になっているため、Ryzen 5 9600Xは今時のCPU負荷が高いゲームにとっては、やや物足りない印象を受ける。
ここまで、ゲームの処理におけるCPUの消費電力は、Ryzen 9000シリーズは7000シリーズよりも大きい傾向があったが、Starfieldでは逆に9000シリーズの方が低い。前編で観測されたデータとようやく一致するゲームが見つかったわけだ。
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