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CMC_Centralで聞いたコミュニティ参加者の本音

会社の評価もないし、参加は自腹 それでもコミュニティに参加する理由

2024年08月05日 10時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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コミュニティ活動は会社で評価されるのか?

 とはいえ、コミュニティ活動はなかなか会社には評価されにくい。「AWS Heroって、AWSのパートナーの方が受賞することが多いので、リリースとか出すと評価されるんですけど、うちはリリース出す意味あるの?と言われて、自分で書きました(笑)」(三浦氏)。もちろん周りで評価してくれる仲間は多いが、会社としてはあくまで「それって社外活動でですよね」という話になってしまう。

会場が参加者でいっぱいとなったセッション

 酒井氏が「でも、会社の利益にも貢献しているんですけどねー」と振ると、「総合職だと普通という評価。やっぱりコミュニティ活動への評価は難しい。戦っているところ」と三浦氏。そこで、今年は広島で開催されるJAWS FESTAに上司を連れて行こうと画策中。「コミュニティでは『ファーストピンが重要』と言っているのに、そういえば社内ではこういう仲間を増やす活動してこなかった」とのことで、複数人で来たら拍手。「一人で来たら、抱きしめてあげてください(笑)」(三浦氏)。

 片岡氏は、個人事業者&社長で、社内評価という話はあまり関係ないため、例に出したのは、地元のSORACOM-UGに参加する土木会社の仲間の話。「興味ありますということで、最初はすごく食らいつかれて困ったくらいだったが、あっという間にソラコムの事例に載ってしまった。会社は『どんどんやれ!』と積極的だし、プロのノウハウを数値化し始めたら、土木学会から表彰受けるまでになった」(片岡氏)。ここまで来ると、会社もコミュニティに対して協力的で、今や勉強会の会場を貸してくれるまでになるという。

 どうすればコミュニティ活動を評価してもらえるか。片岡氏は「もっとメディアに出ないんですかね」と振ると、三浦氏は「数年前、弊社が会場だったJAWS-FESTAは記事にしてもらったけど、『すごいねー』という感じだった。だから、個人として評価されることはあるけど、会社としてバックアップされることはあまりないかな」と語る。酒井氏は「メディアもがんばらないといけないですねえ」と明らかにこちらを見てコメントしていた。

運営の立場で語るコミュニティの参加者を増やす施策

 3人は参加者の立場でもあるが、運営の立場でもある。どうやってコミュニティの参加者を増やせばよいかは共通の課題だ。

 三浦氏は、「JAWS-UGの札幌支部はコロナ禍前は20~30人くらいで、参加者も背広着ている人たちで、お客さんの案件しかやってないという理由で登壇も、懇親会も来ない人も多かった」と振り返る。しかし、三浦氏が他のコミュニティに出張っていくと、だんだんコミュニティに参加している人たちと仲良くなったり、AWS自身の取材で登壇した内容が記事化されたりすると、共感してくれる人が増えたりしたという。単純にイベントや勉強会をやるだけではなく、能動的に他のコミュニティと交わったり、連携を作ることが重要だという。

 高知でのCMC_Meetupの盛り上がりについて聞かれた片岡氏は、「IT系は技術的な敷居があるが、コミュニティは自分ごとにしやすい。そこで(CMC_Meetup主宰の)小島さんみたいに理路整然と説明してくれる人がいたら、伝播しやすい。いったん熱量が上がって発火したら、いろいろなところで発火する」と語る。

 一方で、SORACOM-UGのような技術系コミュニティはどうしても技術的な敷居があるため、初心者を増やすのが難しい。そのためにやったのが、他の初心者系のコミュニティとつながること。「kintoneのコミュニティとコラボイベントをやった。kintoneはIT系の中では敷居が低いので、コミュニティも入りやすい。そういうコミュニティとコラボすると、参加者も興味を持って聞いてくれる」と片岡氏。酒井氏が参加するJagu'e'rも昨年、SAPのコミュニティとコラボイベントを行なったが、「すごく楽しかったので、もう少し敷居の低いヤツをやりたい」と語る。

 最後、酒井氏は参加者を増やすためのアイデアを会場に聞いてみる。DevRel Meetupの運営者は、「PodCastを毎週火曜日にやっています。耳だけで参加できるので、仕事中でも大丈夫。そこから新規の人がけっこう入ってきてくれている」とコメント。コロナ禍で初めて、3年間ですでに170回近くやっているという。

 30分のセッションはあっという間に終了。モデレーターの酒井氏は、「みんなでコミュニティの仲間が増えるように協力していきたい。今日は新しいお友達を増やしていってほしい」と参加者に語りかけて、セッションを終えた。

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