最新ユーザー事例探求 第59回
“予算が乏しい”“IT人材もいない”、それでも目指す業務効率化
「フェリーの待ち時間に仕事がしたい」島しょの自治体・竹富町がM365で進めるDX
2024年07月30日 08時00分更新
予算が乏しい、IT人材がいない自治体でもDXは進められる
竹富町では、2024年8月からMicrosoft 365の運用を開始する予定だ。あわせて貸出デバイスの整備や電子決裁の仕組みなども整えており、これを機にテレワークを本格的に推進していく。
1回の外出で発生する3~4時間ほどの空き時間は、タイムリーな情報共有や島民への対応といった、より質の高い行政サービスの実現にあてていく方針だ。
どこにいても気軽にチャットやウェブ会議ができるようになることで、職員同士のコミュニケーションが活性化されることも期待しているという。AvePoint Portal Managerでは、職員向けのポータルサイトも構築して、庁内のニュースや町長からのメッセージ、各課の取り組みなどを発信していく予定だ。
今後は「AvePoint Cloud Governance」を用いて、職員やチームごとに外部連携サービスを制御するなど、セキュリティと働きやすさを両立させた環境整備を続けていく。
また「Copilot for Microsoft 365」による生成AIの活用にも興味があるという。コストの問題はあるものの、「環境的に問題なければ使いこなせそうな職員から試してみたい」と久保田氏。
竹富町のDX課は始動してまだ2年目。ITに詳しい職員は一人もおらず、「困ったらITベンダーに問い合わせ、経験を蓄えて、の積み重ね」でここまでやってきたと古見氏。エラーが発生したり、新たな機能が必要になるたびに、DX課内でカバーしあい、ITベンダーとのやり取りに必要な共通言語を苦労して取得しながら進めてきた。
久保田氏は、「人口規模や予算感、自主財源も乏しい。ITの専門知識を持った職員もいない。そんな竹富町でもこれだけできるというのは、他の自治体でも『いけるかな』と思ってもらえるのではないか」と呼びかけた。

この連載の記事
-
第66回
ビジネス・開発
懐かしのあの曲が「リバイバルヒット」する時代 エイベックスはAI・データで“バズりの兆し”を先読み -
第65回
ビジネス・開発
Microsoft 365 Copilotの“利用率98%” 全社展開した参天製薬「生成AI活用の現在地」 -
第64回
ビジネス・開発
1000人アンケートはわずか45分間 日本ハム、AI生成の“仮想顧客”分析で商品開発を加速 -
第63回
ビジネス・開発
社員発の“カスタムGPT”は2000個以上 MIXIの「ChatGPT Enterprise」全社導入で起きた2つの変化 -
第62回
ビジネス・開発
監視リソースは2000以上 SBI証券がDatadogによる大規模監視で目指すこと -
第61回
Team Leaders
リード発掘の秘訣は「ベテラン営業の知見×法人DB」 USEN ICT Solutionsにおける営業DXの歩み -
第60回
Team Leaders
規模拡大するSansanが抱えた“成長痛”、Notion全社導入と定着化で克服 -
第58回
ビジネス・開発
モノタロウのデータ活用促進、秘訣は“縦に伸ばして横に広げる” -
第57回
ビジネス・開発
“物流の2024年問題”を転換点ととらえ社内データ活用を進める大和物流 -
第57回
ITトピック
米の銘柄をAIで判定する「RiceTag」 検査員の精度を実現する試行錯誤とは? - この連載の一覧へ









