Lunar Lakeの性能はMeteor Lake比で1.5倍
eDP 1.5のサポートも追加される
その他のレンダー・スライスの改良点として説明されている項目としては、以下のとおり。
- 全項目を見直して最適化を図った
- レイテンシーを極力減らすような最適化を図るとともに、ドライバーからGPUをアクセスする際の方法も改善した
- DirectX 12の目玉の1つである描画間接実行という技法を直接実行可能になった。これは12.5倍高速になったというDrawXIが該当するほか、4.1倍高速になったというMesh shader dispatchもこれに関係している
- 頂点計算をより迅速に行なえるようになった
- テクスチャーのサンプリングをより高速化した
- 陰面処理に関わる処理の高速化
- Pixel Backendの処理を高速化するとともに、2次キャッシュに対してのプリフェッチを実装した
- 2次キャッシュの圧縮メカニズムの実装と、シーンチェンジなどにともなうキャッシュクリアの高速化
最終的なLunar Lakeの構成が下の画像であり、先に示したように動作周波数は最大1.65GHzあたりと想定される。
絶対的な性能はまだ示されていないのだが、効率ということでMeteor Lake-UおよびMeteor Lake-Hと比較したのが下の画像だ。
前世代と比較して1.5倍、というのはおそらく"Lower Power@iso perf"のものかと思われる。28Wや45Wが可能だとしても、その域ではメモリー帯域がボトルネックになってそれほど性能の伸びはなさそうである。またAI PCの競合がSnapdragon Xということは、Base Powerは15W枠の公算が高そうに思える。その枠内でMeteor Lake比1.5倍の性能を実現、という話であろう。
実際、COMPUTEXの会場ではF1 24を2Kで実行するデモが実行されていたが、これは実際にはXeSSをフルに使っての話だそうで、XeSSなしでは2Kは満足に動作できないようだ。効率はともかく、絶対性能に過大な期待は禁物だと思われる。
Display Engine周りでは、新たにeDP 1.5のサポートが追加された。eDP 1.5ではPSR(Panel Self Refresh:VRAMから画像を送らなくても、直前に送られた映像を液晶の側で保持し、それを表示する機能)を搭載している。
画面に変化がなければデータ転送を省ける分、消費電力の削減につながる。実際にいくつかのシーンでの節電の効果を示したのが下の画像である。
Media Engine周りでは、VVCのサポートが追加されたことが大きなポイントである。VVC(Versatile Video Coding)、あるいはH.266と呼ばれることもあるが、こちらはHEVCことH.265に比べても倍近い圧縮率を誇る一方、H.265と比べてもさらにエンコード/デコードが重いフォーマットである。
Lunar LakeではH.266のデコードをサポートするが、ただ問題はこれがどの程度利用されるか、というあたりだろうか?
この連載の記事
-
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ - この連載の一覧へ