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業界人の《ことば》から 第599回

リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は?

2024年07月15日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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異なるアプローチでMFPを製品化しているリコーと東芝テック

 リコーと東芝テックは、それぞれにMFPを製品化しているが、両社が共通エンジンを使用しても競合関係はなく、補完できると見ている。

 先に触れたように、両社それぞれが独自に開発したコントローラーを採用し、異なるインターフェースを採用することで最終製品の差異化が可能であるほか、得意とする分野が異なるため、販売戦略での棲み分けも可能になるからだ。

 中田社長は、「東芝テックの市場シェアは、10年間変化がない。これは、リコーとバッティングしていないことが要因のひとつである」とし、「東芝テックは小売業に強みを持ち、POSやラベルプリンタなどの小売業向けの各種デバイスとの連携に強みがある。コントローラーとユーザーインターフェースがまったく異なるため、東芝テックのお客様に、リコーのMFPを提案しても満足してもらえない」とする。

 東芝テックでは、Auto-ID事業を展開し、自動的にバーコードやICタグなどのデータを取り込み、内容を識別し、管理するといったソリューションを提案。先頃発売したMFPの新製品では、業界初となるカラー印刷とRFIDデータの書き込みを同時に実現する可能を搭載。商品管理の用途では、タグ付きカラー印刷を行い、データでも目視でも見つけやすくするという。製造現場から店舗のバックヤードまでをカバーする提案を行っており、東芝テックの強みが発揮できる新製品となっている。

 一方、リコーでは、オフィス向けMFPを展開。サービス提供基盤「RSI (RICOH Smart Integration)」プラットフォームを通じて、デジタルワークフローによる価値を提供しているのが特徴だ。中小企業向けソフトウェアであるスクラムパッケージや大手企業向けのスクラムアセット、サイボウズとの協業によって製品化したRICOH kintone plusを提供しているほか、グローバルに提供されているアプリケーションやサービスを、RSIを活用して、リコーのMFPやPFUのスキャナーなどの独自エッジデバイスと連携。ドキュメントワークフローの高度化を図ることができる。デジタルサービスの会社へと変革を進めている同社ならではの提案を進めており、東芝テックのMFPとは方向性が異なる。

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