紙の需要が減る中、日本のMFPシェアが中国企業に奪われつつある
ペーパーレス化の波と、コロナ禍での働き方改革の進展により、MFPの出荷台数は大きく減少している。一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)によると、2023年のMFPの出荷台数実績は、国内が前年比7.1%減の44万8636台、海外は同2.4%減の314万8305台となり、国内外合計では同3.5%減の359万6941台となっている。コロナ禍前の水準には戻らず、今後も市場縮小が見込まれている。
エトリアはそうした市場環境が変化する中で生まれた新たな企業だ。
中田社長は「紙を用いたコミュニケーションはなくなることはない」としながらも、「ペーパーレス化の加速により、プリンティング業界の規模は縮小。それに伴い、消耗品ビジネスが減少し、利益率も悪化している」と話す。
「日本は世界のMFP市場において8割のシェアを持つが、中国では政府による国産化政策が加速し、中国メーカーが台頭し始めている。また、情報の安全性に対する要求の高度化や多様化、欧州を中心とした新たな環境規制の強化、サーキュラーエコノミーへの移行も意識する必要がある。MFPメーカー各社は、こうした多様化するニーズの対応に追われ、単独ではエンジンやトナー、周辺機への新規投資が難しい状況にある。共通化できるところや、協業できるところであれば、メーカー同士が手を組むべきである。エトリアはそうしたなかで生まれた企業であり、競争力の高い共通エンジンと、新たなエッジデバイスを開発することになる」と、設立の背景を説明する。
製品安全基準に関するノウハウを融合したモノづくりや、不燃材や難燃剤を最適に利用し、環境に配慮したモノづくりも進めることも視野に入れており、「環境規制によって、これまで使えていた部品や材料が突然使えなくなるといったことがたびたび発生する。両社のノウハウを融合することで、柔軟な対応が可能になる」とする。
また、共通エンジンでは、LC(Linear Economy to Circular Economy)変換の手法を採用し、モノづくりを抜本的に転換する点も特徴のひとつだ。LC変換とは、消費を前提としたリニアエコノミーから、完全リサイクルを意識したサーキュラーエコノミーへの移行を図るものだ。
従来のモノづくりは、作りやすさを追求することが、コストダウンや競争力強化につながっていたが、エトリアでは分解しやすさを追求。耐久性と信頼性を高めるモノづくりを行うことになる。さらに、パートナーとの連携により、純正部品を活用した再生ビジネスの価値向上も目指す。「業界全体を巻き込んだ循環型エコシステムの構築にも取り組みたい」と新たな挑戦にも意欲をみせる。
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