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社内のあらゆる人がデータ活用に乗り出すための第一歩

“データ活用を促す”ためのデータカタログの条件とは? 基本から教わった

2024年07月09日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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“データを蓄積する人”と“データを使う人”の双方に役立つ機能が必要

 最初に鈴木氏が触れたとおり、データカタログは「データの民主化」を推進するためのツールだ。それでは、具体的なユーザーとは誰なのか。

 想定されるユーザーとして最も数が多いのは、業務部門でデータ活用を行う「データの利用者(データユーザー)」だ。「まずは、この人たちがデータをうまく業務に生かせなければ、データカタログとしては失敗です」と廣瀬氏は語る。

 ただし、別のタイプのユーザーもいる。廣瀬氏は「データを生成するシステムのエンジニア」や「データ基盤やデータパイプラインを管理するエンジニア」を挙げる。データを利用するユーザーに対して、こちらは“データを蓄積する”側のユーザーだ。こうしたユーザーにとっては、「データカタログが多様なデータソースに接続できる」といった点が重要な要件になるだろう。

 さらに「データカタログの管理者」というユーザーもいると、廣瀬氏は説明した。社内のデータ活用を推進する役割を担うIT担当者、あるいはDX担当者といったイメージだという。「ボトムアップでデータ活用が進む企業ばかりではないので、データカタログにはこうした管理者がうまく導入して、社内のデータ活用を促せるような機能も必要になります」(廣瀬氏)。

 ちなみに、primeNumberが提供するデータカタログサービスのCOMETAは、もともとデータ基盤支援サービスのTROCCOが備えていたデータカタログ機能を切り出し、機能強化したものだ(現在のTROCCOにはデータカタログ機能はない)。データ基盤サービスからデータカタログを切り出した理由も「想定するユーザーが明確に異なるから」だと、廣瀬氏は説明する。

 「TROCCOの想定ユーザーは、社内のデータ基盤を構築するエンジニアなど、比較的テクニカルスキルの高いユーザーです。一方、データカタログのCOMETAではもっと幅広いユーザーを想定していて、事業部門の“データを利用する”側のユーザーも含まれます。ふだんはExcelしか使わないようなユーザーまで想定すると、(TROCCOに組み込んで)一つのプロダクトでローンチする必要はないのではないかと。そう考えて、データカタログはCOMETAとして切り出しました」(廣瀬氏)

COMETAのイメージ図(Webサイトより)。さまざまなデータソースと連携してメタデータを統合、蓄積し、ユーザーによるデータの「発見」「理解」をサポートする

データカタログは「導入すれば成功する」ツールではない

 ここまではデータカタログという製品について考えてきたが、廣瀬氏は「単にツールを導入すれば成功する、入れれば終わりといったプロダクトではありません」と注意を促す。「継続的にデータを活用し続けられるような『体制の構築』も、重要なポイントの一つです」(廣瀬氏)。

 具体的にどのような体制が求められるのか。前述したとおり、社内には“データを蓄積する人”と“データを使う人”という立場の違うユーザーがおり、データ活用の促進にはお互いのコミュニケーションがうまくかみ合う必要がある。お互いに「せっかくデータを用意したのに使ってもらえない」「ほしいデータが用意されていない」といったすれ違いが続けば、やがて社内の熱意も冷めてしまい、データの提供も活用もされなくなる。

 廣瀬氏は、まずはDX部門やIT部門が中心的な役割を担って「データ活用推進の全体を統括すること」が必要だと説明する。ここを中心として、“データを蓄積する人”と“データを使う人”のコミュニケーションをうまく図ることで、社内のデータ活用が促されることになる。

 「バラバラに存在しているステークホルダーをうまくまとめて、データとメタデータのメンテナンスを継続できるような体制が必要になってくると思います。ただし、これはお客さまの企業規模や業種、もともとの組織体制などによって『正解』は異なりますから、弊社でもお客さまと併走しながらそこをサポートさせていただくケースは多いですね」(廣瀬氏)

 primeNumberでは、今年5月からコンサルティング/エンジニアリングサービス「DataOps支援」をスタートしているが、ここでもツールの導入方法だけでなく、データ活用組織の構築や人材育成といった側面のサポートを重視しているという。

* * *

 データカタログの未来はどうなるのか。廣瀬氏は、たとえば生成AI技術を組み込むことで、データユーザーが必要としているデータの発見を支援したり、適切なメタデータを自動生成して付与したりする機能が実現するかもしれない、と語った。COMETAでもぜひ実現していきたい機能だという。

 「『データは活用されないと価値を持たない』というのはそのとおりだと思います。データカタログは、そうした『活用』の最終プロセスであるデータの発見や理解をサポートし、困難な部分を取り除くことで、データ活用を促し、さらには『データによる意思決定』の企業文化を根付かせるための製品だと考えています」(廣瀬氏)

■関連サイト

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