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QRコードから発信できる新サービス「MiiTel Scan To Call」を発表

未開拓な「音声」をAIで企業の資産に RevCommが新発表と書籍を紹介

2024年07月08日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2024年7月5日、トーク解析AI「MiiTel」を手がけるRevComm(レブコム)はQRコードから発信できる新サービス「MiiTel Scan To Call」とRevComm 代表取締役 曾田武史氏が執筆した書籍の発表会を開催した。テキストや画像に比べて、未開拓な音声データをMiiTelで解析することで、音声コミュニケーションを企業の資産にしていくという。

RevComm 代表取締役 曾田武史氏

AmazonやGoogleを超える認識精度を武器に音声を価値に変える

 2017年創業のRevCommは自社開発のトーク解析AI「MiiTel」をベースに、ビジネスでの音声の利活用を実現するサービスを提供している。サービスとしては電話解析サービスの「MiiTel Phone」やコンタクトセンター用の「MiiTel Call Center」、Web会議の解析サービス「MiiTel Meeting」、対面会話用の「MiiTel RecPod」などを用意。2018年のMiiTelのリリース以降、累計の導入社数は約2500社、累積ユーザーは約8万ユーザーにまで成長した。また、AIビジネスで有望な未上場企業を表彰する「Forbes AI 50 2023」においても、アジア企業で唯一選出されているという。

新しいタグラインを備えた各サービスの紹介

 これらのサービスでは、ビジネスシーンの音声コミュニケーションをすべて記録。トーク解析AIが、文字起こしはもちろん、話し方解析や感情分析、出現単語の分析、議事録作成などを行なうことで、企業のビッグデータとして音声の資産化を実現する。具体的には、商談情報を蓄積化して、成功や失敗の要因を特定したり、議事録作成や営業活動の分類・共有などの業務効率化につなげたり、スキルレベルの可視化やセルフコーチングなどのコミュニケーションスキルの向上に寄与する。営業、マーケティング、プロダクト開発などさまざまな用途で、企業に適したインサイトを提供するという。

 同社のコアテクノロジーであるトーク解析AIの音声認識性能は、グローバルプレイヤーを凌駕するという。正答テキストと音声認識モデルで認識したテキストを比較した自社調査では、RevCommの正答率がAmazonやGoogle、アドバンストメディア、OpenAI、Microsoftなどを上回っているという。これには累計2億回を超えるビジネス領域に特化した音声データの蓄積、トップクラスの学術機関との共同開発の実績があるという。

高い音声認識の性能

 最新のAIアップデートでは、リアルタイムな文字起こしと連動して、事前に設定したマニュアルのトークスクリプトURLを表示。営業現場で生じる難易度の高い切り返しも、ユーザー自身で自己解決できるという。また、議事録作成や議題あり会議での応対メモも自動作成する。さらに、応対品質を定量的に可視化し、通話実績を元にオペレーターの強みや弱みをAIがコーチング。将来的にはユーザーの業務を支援するAIエージェントとして育てていくという。

QRコードから発信できる「MiiTel Scan To Call」を新発表

 新製品の「MiiTel Scan To Call」はQRコードからワンクリックで発信できるサービス。用意されたQRコードをカメラで読み取ると、Webブラウザで発信画面が開き、通話が可能になる。メディアごとにQRコードを変えることで、入電ルートの把握もできる。通話料も安価で、100名のオペレーターで1人10コール/日、20営業日、3.5分/コールで試算した場合、0120番号の運用に比べて約36%のコスト削減になるという。

新製品のMiiTel Scan To Call

 また、3月にβ版を公開しているMiiTel RecPodは窓口業務や対面手段での音声会話を前提とした音声活用ビジネスアプリ。スマホで録音を行なった音声をアップロードすると、文字起こしや議事録作成まで可能になる。不動産、カーディーラーなどの店舗営業、金融の対面営業、携帯ショップや行政機関の窓口対応、士業での記録保存などあらゆる対面コミュニケーションに利活用できる。

 住宅ローン相談に来た顧客と銀行員の会話を想定したロールプレイでは、音声を解析することで、年齢や勤務先、勤続年数、年収、家族構成などのほか、申込金額、借入れ時期や期間、変動or固定金利、自宅購入か建築資金か、買い換えか、売買契約書、工事請負契約書、建築確認書、公的書類など、住宅ローンに必要な顧客とのやりとりを生成AIが議事録化し、要約する事例が披露。対面コミュニケーションでの「言った、言わない」をなくし、精度の高い営業活動を実現するという。

音声を資産にすることで、日本はAI時代の資源国になれる

 発表会では同社の代表取締役である曾田武史氏が執筆した書籍「音声×AIがもたらすビジネス革命 VOICE ANALYSIS」(幻冬舎刊)も紹介された。まさに自身の声を用いて書籍を執筆したという曾田氏は発表会の冒頭に登壇し、書籍の内容について説明した。

 曾田氏は、テキスト・画像・音声というAI活用の三大分野の中でも、音声に関しての活用事例が少ないと指摘。これは録音機器と機会が少ないため、データ化されていないのが理由。メールやチャットなどのテキストに比べて、音声コミュニケーションはブラックボックス化されており、録音されたファイルが保存されているだけという会社も多いという。

テキスト、画像、音声の中で、音声の活用はまだまだ

 一方、音声データはパーソナリティやニュアンス、緊急度などさまざまな貴重な情報を含んでおり、1日平均6時間行なわれる会話の中には価値創造につながるヒントや業務に関する重要な会話、そして意思決定にまつわる内容などが含まれている。また、音声を取り込むためのVoice UIも、視覚を奪わずに利用できる「ながら」作業が可能なほか、フリックなどに比べても入力速度が速いといったメリットを持つため、タイパが優れているという。曾田氏は、音声データを分析化して、コミュニケーションを資産化することで、「日本はAI時代の資源国になれる」とアピールした。

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