Viva Tech 2024を彩るLVMHブースとロレアルのビューティーテック
Viva Technology 2024 レポート
パリで開催される世界最大級のオープンイノベーション、テクノロジーのカンファレンス「Viva Technology」で毎年、特に人気の高いのがLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)のブース。そのLVMHブースの今年の様子と、同じく多くの女性の来場者中心に注目されるロレアルのビューティテックに関連した展示を紹介したい。
LVMHの今年のブースは和を感じさせるデザイン
フランスで一番時価総額が大きい上場企業がLVMHグループ。世界ランキングでは20位前後となる。ちなみに後述のロレアルも40位前後と、フランスではLVMHに次いで時価総額が大きな企業となっている。そんなLVMHのブースは毎年大人気だが、今年は従来のネイビー色を基調としたブースから、白い縦のラインがベースの和を感じさせるようなブースとなっていた。
ヘラルボニー社、日本企業として初のLVMH innovation Award賞を受賞
LVMHブースでは、毎年Innovation Awardとして世界中から応募されたスタートアップの中から選出されたファイナリストが展示を行っている。今年は、1545社89カ国の応募の中から初めて、日本企業が2社選ばれ、そのうちヘラルボニー社が部門賞を受賞している。
ヘラルボニー社はアート・エージェンシー事業を行っており、知的障害者のアート作品を製品デザインとして活用する取り組みを大企業と共同で行っている。
今年のスタートアップのキーワードはAI、社会課題、環境
選出された17社をみてみると、そのうち半数以上が、AIに関連したサービスを提供しており、次いで廃素材を取り扱うなど環境に関連したサービス、ヘラルボニー社のように社会課題解決に関連したところが多いのが今年の特徴だ。すでにLVMHグループが顧客となってサービスを利用しているなど、洗練されたサービスをもつところも多い。
GK Conceptもそんなスタートアップの1社で、香水やコスメ製品など向けの店頭サイネージや、香水を試すことができる什器など店舗向けのインタラクティブな仕組みづくりを得意とする。
LVMHブース内では、透過ディスプレイを生かした、時計販売用の展示もみられた。
すべてのデバイスは美に通じる「ロレアル」ブース
ロレアル社もテクノロジーに非常に力を入れており、近年は毎年CES イノベーションアワードを受賞している。最近ではIoTヘアブラシや、眉毛をプリントする製品などが話題となった。ただ今年のCESでは、CES Unveiledでの出展はなく、会場でも招待を受けたメディアのみCES会場のホテル内の会議室で展示を見ることができた状態だった。
そのため会場でこうしてオープンに製品をみることができたのは非常にありがたいところだ。実際に見ることができた以下のような興味深い製品も多く、来年のCESイノベーションアワードに選出されるかもと感じさせられた。
ヘアサロン向け頭髪チェックデバイスと診断アプリ「My Hair [iD]」
My Hair [iD]は、髪の状態を診断するデバイスで、髪の色や、状態、白髪の割合などを判定する。タブレット上のアプリで顧客が染めたい髪の色と診断デバイスで入手した髪の状態から、使うべき毛染め用のロレアル商品を提示してくれる。また毛染めの結果や、経過を再びヘアチェッカーで入力することで、メンテナンスに適切な商品も教えてくれる。
Renergie:アンチエイジングのナノマッサージデバイスとクリーム
先ほどのデバイスはヘアサロン向けの商品だったが、こちらは個人の消費者向けのもの。このスティック型のデバイスは、先頭に400のナノサイズのチップがついており、これをアンチエイジングのクリームを塗布した肌に4分間あててマッサージすることでクリームを肌下に浸透させる。
店頭のコスメ販売用エージェントアプリ
最後にロレアルから紹介させていただくのが、店舗の展示スタンド向けのエージェントアプリ。販売されている化粧品について気軽に質問したり、相談に乗ることができるほか、将来的には肌の様子を撮影することで診断してくれる機能などの提供も考えているという。
これらの3つのデバイスに共通しているのが、どれもロレアルの化粧品、やヘアケア商品の売上につながるというもの。ヘアサロン、個人向け、店頭とそれぞれ異なる接点でユーザーとつながり、ロレアル製品の販売に自然とつながるように設計されている。
AeroMed: エアロゾル生成に強みを持つ台湾のヘルステック企業
Viva Tech会場内では、他にもビューティテックに関連のあるスタートアップを見つけることができた。AeroMedは呼吸器系の疾患に対してエアロゾル技術を用いた治療ソリューションを提供する台湾のヘルステック企業。そのエアロゾル技術を用いて、アロマのディフューザーや、化粧水の噴霧器など、ビューティテック領域の製品にも取り組んでいる。
ジャパン・パビリオンにはコスメ製品を意識した展示も
日本企業が出展するジャパン・パビリオンでも、LVMHやロレアルなどを意識したコスメ製品向けの展示を見ることができた。TOPPANデジタルのブースでは、コスメ製品などラグジュアリーブランドをターゲットにしたNFCタグの展示、固有IDを用いてブランド品の真贋保証を行うソリューションをベルギーのスタートアップSelinko社とともに紹介していた。