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“プッチンプリン問題”で注目集める基幹システム移行、年次イベントでは企業事例や新たな支援策を紹介

「S/4HANA」発表から9年、マイグレーションという難題に取り組み続けるSAP

2024年06月25日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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マイグレーション支援のための新発表も

 このように、Sapphire Barcelonaでは顧客に対してマイグレーションのメリットを訴え、マイグレーションに成功した顧客のサクセスストーリーを共有したが、それだけではない。この前週に米国で開催した「SAP Sapphire」では、マイグレーション関連の新たな発表も行った。

 1つめが、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の草分け的存在であるWalkMeの買収合意だ(買収完了は2024年内の見込み)。DAPは、企業が導入したデジタルツールの、エンドユーザーにおける利用促進と定着化を目的とするツールだ。

 SAPはこれまで、プロセスマイニング分野でSignavioを、アプリケーション変革分野でLeanIXを取得しており、新たにWalkMeでは「人」を支援することになる。SAPのビジネストランスフォーメーションマネジメント担当GMのルーベン・モラート氏は「(マイグレーションによる)価値を実現する最後のステップが『人』の部分だった。WalkMe買収が完了すれば、最後のピースを埋めることができる」と説明した。

マイグレーションをエンドトゥエンドで支えるツール、ガイダンスもラインアップしている。最新の動きがWalkMeの買収合意だ

基調講演に登場したWalkMe CEOのダン・アディカ(Dan Adika)氏。「12年間、ユーザーがテクノロジーとやりとりするのをシンプルにすることをミッションにしてきた」と語った

WalkMeは画面上で操作方法をガイダンスし、エンドユーザーの利用を促進する

 米国のSapphireでもう1つ発表されたのが、自然言語でSAPシステムとやりとりができる生成AIコパイロット「Joule」の、SAPプロジェクト関連への適用だ。具体的には、SAPコンサルタントの業務を支援する「Joule with SAP Consulting」、SAPの開発言語であるABAPのコーディングを支援する「Joule with ABAP Developer」の2つを提供し、世界で600万人いるとされるSAPコンサルタント、開発者の業務を効率化する。世界中でSAP専門家の人員不足が指摘されているが、そこをJouleに手伝ってもらうというわけだ。

 RISE with SAPに関しては、RISE認定パートナー制度「RISE with SAP Validated Partner Designation」を発表した。S/4HANA Cloudへの複雑なマイグレーションに際して、専門知識と経験のあるパートナーを探しやすくする取り組みだ。すでにDeloitte、NTTデータ、IBMなど8社が最初の認定パートナーとして発表されている。

新機能「RISE with SAP Methodology Dashboard」も発表された。SAPの方法論(メソドロジー)に沿ってプロジェクトが進んでいるかどうかを把握できるダッシュボードだ

 こうして数多くの施策を投入し続けていることからも明らかなように、SAPにとって顧客企業のマイグレーションは重要な課題だ。顧客のマイグレーションが進まなければ、SAP自身の変革も停滞してしまうおそれがある。SAPでは、すでに新しい機能の提供を「クラウドのみ」としている。

 「クラウドへのマイグレーションに対して、SAPでは単なる『配置場所の変更』以上のものだと考えている。SAPの技術はビジネスバリューを生む。クラウドになれば、SAPの新しいイノベーションを活用してビジネスバリューを得ることができる」(ラッセル氏)

* * *

 さて、プッチンプリンはいつ店頭に戻ってくるのだろうか。

 SAP CEOのクリスチャン・クライン氏に、このトラブルについての意見を尋ねたところ、「ぜひとも(問題解決を)フォローしたい」と述べたうえで、マイグレーションプロジェクトにおけるSAP Enterprise Architectの重要性を次のようにコメントした。

 「今年のSapphireでは、RISE with SAPを使ってマイグレーションするプロジェクトに(SAPの)Enterprise Architectをアサインすることについて話した。Deloitteをはじめ、担当するパートナーがどこであろうと関係なくEnterprise Architectがいる。パートナーはたいてい素晴らしい仕事をしているが、うまくいかないこともある。だからこそ、Enterprise Architectの存在は重要だ」(クライン氏)

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