Windowsノートが変わる!? クアルコム「Snapdragon X」がやってきた! 第16回
Surfaceシリーズについても独占インタビュー
ノートPCは新時代に突入! Copilot+PCの新機能をぜんぶ体験してきた
2024年06月18日 18時00分更新
日本マイクロソフトが6月17日に開催した「Copilot+PC発売記者説明会」。その会場で体験したCopilot+PCの機能を紹介する。タッチ&トライコーナーでは、マイクロソフトの「Surface Pro」(11世代)と「Surface Laptop」(7世代)のほか、各社が販売する予定のCopilot+ PCも展示されていた。
そのすべてで「リコール機能」や「コクリエイター機能」など、Copilot+PCならではの機能を試せた。
●うろ覚えの情報を自然文で検索できるリコール機能
リコール機能は、過去に表示した画面、アプリの使用状況といった過去のデータ履歴(スナップショット)から、AI(Copilot)が最適なものを探しだしてくれる機能だ。過去に見たはずだが、どの書類だったかが分からない、ちらっと見てすぐ閉じてしまったあのウェブサイトの情報を改めて確認したいなど、日々扱っている膨大なデータの中に埋もれてしまった情報を、自然な言葉の指示で見つけやすくしてくれる。
操作は非常に簡単。指示のテキストを入れると、関連した情報が並ぶ。プロンプトには「海の上に夕日がある画像」など自然な表現が使える。タイムライン上に並んだ候補の中から時間をさかのぼって情報を探し出すことができるわけだ。リコール機能では、画面の情報をスナップショット(利用履歴)として定期的に保存している。タイムラインでは、ユーザーがこれまで見たり、編集したり、検索したりしたことのあるアプリ、ウェブサイト、文書などの情報が参照でき、そのサイトや文書を開くことも可能になっている。
このスナップショットは、設定画面でストレージ管理、削除、フィルター処理(除外するアプリ・ウェブサイトを選択できる)など、詳細な管理が可能だ。ユーザーが明示的に機能をオンにして、かつWindows Helloで個人認証をした状態でなければ履歴を残せないなど、セキュリティー面にも配慮した安心設計にしているという。
仕事で使った特定の資料を探したいというビジネス用途はもちろんだが、思い出の写真の元データを探したいといったプライベート用途でも有効な機能で使える幅は広そうだ。
●ちょっとした作業をクリエイティブにできる
Copilot+PCはクリエイティブ機能も充実。画像生成AIの技術を使った「イメージクリエイター」「コクリエイター」といった画像作成のサポート機能を搭載している。
まず、イメージクリエイターはWindows標準アプリの「フォト」に搭載されている機能。プロンプト入力だけで希望に合った画像を生成できる。画像生成AIのエンジンにはStable Diffusionと同様のものが使われているという。写真は「青い鳥」と検索したところ。数秒で次々と画面上に青い鳥に該当する画像が生成されていった。
コクリエイターは同じく「ペイント」に搭載される機能。キャンバスの上で手書きのラフスケッチを描き、それにその内容を補足説明するプロンプトを追加すると、AIがその画像を完成させてくれるというものだ。例えば、下図のように『夕日が落ちる』という説明文とともに、簡単なラフスケッチを描くだけでいい。
イメージクリエイターもコクリエイターも、複数の候補が出てくることに加えて、スライドバーでどの程度オリジナリティーを出すかを指定できる仕組みになっている。オリジナリティーを出すというのは構図や描き込みなどの要素をどれだけ生成AIに任せるかの度合いとなる。視覚的にチェックしながら作業を進められるので分かりやすい。
こういった工程を経ることで、イラストがあまり上手くない人でも、理想に近い画像を創りだせるというのがいい。使って見るとすぐに、Copilot+PCや生成AIの凄さを感じられるのではないだろうか。
●誰でもイケメンにしてくれるWindows Studioエフェクト
本体のカメラでとらえた映像を加工する「Windows Studioエフェクト」は、これまで「背景のモザイク」や「アイコンタクト」などをサポートしていたが、Copliot+PCではイラスト・アニメ・水彩画などの“エフェクト機能”や、光量を自動調整できる“ポートレイトライト”といった新機能が追加されている。
設定した内容は「Teams」や「Zoom」といったウェブ会議ソフトでも適用される。個々のビデオ会議アプリで、個別に背景設定をする手間をはぶけるのもメリットだろう。
●英語翻訳機能を標準搭載
ライブキャプションは、44の多言語を英語に翻訳して、画面上に表示してくれる機能となっている。PC上で再生している音声はすべて翻訳の対象となるため、様々な国の人が参加するウェブ会議など、日本語では相手に伝わらないという状況で役立つ。将来的に日本語に翻訳できる機能も追加される予定だそうだが、時期は未定とのこと。
Copilot+PC向けに提供されるすべての機能に共通して言えるのは、動作の高速性だ。画像生成のスピード、リコール機能を使ったデータの検索、音声の翻訳まで、紹介したすべての機能を瞬時に実行できるのが非常に魅力的だった。
マイクロソフトSurface担当者にインタビューも実施
発表会後に日本マイクロソフトの担当者を独占取材する時間をもらえたのでCopliot+PCという新時代を迎えたSurfaceシリーズについて話を伺った。水田氏はアジア市場におけるSurfaceの責任者とのことだ。
――6月18日から、ほぼ一斉にCopliot+PCが展開されていきますが、その中で、Copliot+PC搭載のSurfaceはどんな特徴をもっていますでしょうか?
水田:Surfaceに入っている様々な機能はWindowsを最大限に使用でき、最高のユーザー体験を届けることに特化しています。Windowsを隅々までご体験いただけるという意味でSurfaceをお勧めできると思います。
――タッチ&トライでしてみて、Copilot+PCでノートPCは飛躍的な進化を遂げ、まったく新しい次のステージに進むきっかけを得たという感想を持ちました。
水田:そうですね。われわれもSurfaceを「新たなステージに行くためにどういう形が適切か」という視点で再設計しています。タッチ機能を始めとした「Surfaceのフィロソフィー」そのものは変わりませんが、(AIアシスタント機能を簡単に起動できる)「Copliotキー」の採用や、(高いAI処理性能を持つ)クアルコム製CPUの搭載などを通じて、圧倒的に早いレスポンス・高いパフォーマンスを体験できると思います。
――生成AIが今まで以上に身近に、かつ分かりやすく感じられるようになった気がします。特にコクリエイターはだれもが楽しめる機能になっていると思います。
水田:はい。コクリエイターは純粋に楽しめる機能の1つだと考えています。普段絵を描かない人が、絵を描くというのはなかなかハードルが高いですが、コクリエイターがあれば、それが可能になります。日常的にも使ってほしい機能ですね。
――新しいSurface Pro/Laptopは一般層にもビジネス層にも使えるPCになっていると思いますが、どんな層をターゲットにしていますか?
水田:高性能になったことで生産性が飛躍的に上がることを期待しています。そういった意味で生産性の高い仕事、クリエイティビティーが求められる業務負荷の多い作業につかってもらいたいですね。とはいえ、特定の人ではなく様々な人々に試していただきたいというのが我々の希望です。Windowsが搭載するAIアシスタント「Copliot」には、どうしていいか分からない時、その疑問を自分の言葉で投げかけることができ、すぐに回答が返ってきます。これを何度も繰り返せます。PCを活用するためのハードルを低くしてくれると思います。いろいろと試してほしいですね。
──Surfaceは学生にも力を入れていますよね。
水田:はい。高い評価をいただいてます。例えばSurface Proは背面にもカメラを搭載しているので、ホワイトボードを直接撮って、それを「OneNote」に取り込みメモを加えて板書代わりにしたり、そのメモ書きをテキストに起こすことも可能です。こうした多様で柔軟な使い方ができる点はとても評価されています。
また、カラーバリエーションも豊富なので、好みに合った1台を選びやすい点も評価してもらっている点だと思っています。
──確かに豊富なカラバリは嬉しいポイントです。
水田:自分らしさが表現できると思います。われわれとしても来年の新生活に合わせて、また新たな学生さん向けのモデルの投入も検討しています。皆様に満足いただけるラインアップにしていきたいですね。
──こうしたSurfaceのセールスポイントは何か、改めてお聞きします。
水田:新機種のポイントのひとつが、新しいキーボード(タイプカバー)です。Surface Proのタイプカバーはこれまで、装着時にペンが隠れた状態で格納されていましたが、取り付け方法を工夫し、ペンをそのまま取り出せるようになりました。
タッチパッドも大きくなり、ハプティックフィードバックを採用しています。タッチパッドは感度の調節もでき、強く押したほうが反応するのか、弱い力で押したほうが反応するのかなど細かい設定が可能です。手が不自由な人にとっても優しい設計になっています。
――Surfaceを実際に試す人には、どこを一番確認してほしいですか?
水田:Surfaceを使っていると「なぜか分からないけれど、使いやすい」と感じてもらえるユーザーさんが多いです。われわれとしても機能1つ1つをどうしたら使いやすくできるかを常に考え、細かくチューニングしています。
例えば、指1本で開けられるようヒンジはその一つです。適切なトルクに調整されているかとか、無響室に持ち込み、実際に音を計測しながら、閉じるときに不快な音が鳴らないかどうかを確認するなど、本社でも厳しいチューニングをしています。そういったありとあらゆる方法の積み重ねがユーザビリティーにつながるのです。
今後AIというアシスタントを得たときに重要になってくるのは、どれだけデバイスの使い心地がいいかというところだと思います。様々なこだわりが反映された製品ですので、量販店などに脚を運んだ際はぜひ実機に触れていただければと思います!
──本日はお時間をいただき、ありがとうございました!
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