マジシャンの仕事道具はトランプだけじゃない
筆者の仕事はマジックをすること。もちろん、本記事のような執筆もしています。
インタビューなどで「一番大切な仕事の道具は?」と質問されることがあります。もちろん、トランプなど、マジックに使う道具は大切です。そして、筆者のようなマジシャンにとっては、目につきやすい衣装も大切でしょう。とくに、アイロンがビシッとかかった白いシャツは重要です。
そんなシャツの仕上げはクリーニング店に頼むのも便利ですが、筆者は自分好みにアイロンをかけています。そうすれば「あっ! 明日のシャツがない!」と前夜に焦ることもありません。
ただ、筆者の悩みは、自分の身長(182cm)に合うアイロン台がないこと。立ってアイロンをかけるときには、身長の半分以上の高さ(筆者の場合は91cm以上)があると腰が痛くならないのですが……。
いままでは、イタリアのFoppapedretti社の「Asso」を使っていました。高さが96cmあり便利でしたが、木製なので重さが17kgとなかなかのもの。また、折り畳んでもおよそ30cmも幅があるので、収納にいつも悩んでいました。
すると、前から気になっていたジョセフジョセフのアイロン台がAmazon.co.jpで1万1972円になっていたので、すぐに購入。この値段、イギリスの公式サイトから買う値段のほぼ半額です。ラッキー!
イギリスを「デザイン先進国」と呼びたくなってしまう
ジョセフジョセフは、双子のプロダクトデザイナー、アンソニーとリチャード・ジョセフによりイギリスで2003年に創業されました。
自社のアイロン台やランドリーバスケットについて、「時には面倒に感じてしまうことがある毎日の洗濯やアイロンがけ。そんな時間を楽しみに変える、使い勝手の良さとスタイリッシュなデザインを兼ね備えたランドリーアイテム(公式サイトより)」と説明しています。
アップルでCDO(最高デザイン責任者)をつとめ、iMac、MacBook、iPod、iPhone、iPadなどのデザインを担当していたジョナサン・アイブもイギリス出身です。このように優れたデザイナーを輩出しているイギリスを、「デザイン先進国」と呼びたくなってしまうほどです。
考え抜かれたデザイン、オススメできる5つの理由
今回、購入したのはジョセフジョセフのアイロン台「グライドプラス」。デザインのさまざまな点が考え抜かれている製品です。買って良かったところは、以下の通りです。
1、高さを84cm〜99cmまで調整できる
2、独特の脚の構造が便利
3、ハニカム状のスペーサーでアイロン面が蒸気が抜け、使いやすい
4、収納用の壁掛けフックもスタイリッシュ
5、持ち運びハンドルにハンガーが吊れるのでテーブルが必要ない
1、高さを84cm〜99cmまで調整できる
何よりも、高さを84cm〜99cmまで調整できるので筆者にピッタリ。逆に言えば、身長が168cm以下の人には使いにくいかもしれません。
重さは6.4kgです。以前のアイロン台が17kgだったせいか、半分以下の重さになって快適です。男性が持ち運ぶには軽く感じますし、安定感も上々です。
2、独特の脚の構造が便利
独特なのは、脚がパンタグラフのような特殊な構造になっていること。片側にまとまり、畳んだ状態で持ち運ぶときに引っかかりにくく安心できます。その構造のため、セットアップも簡単です。デザインが使いやすさになっている好例でしょう。
3、ハニカム状のスペーサーでアイロン面が蒸気が抜け、使いやすい
ジョセフジョセフのアイロン台は、ハニカム状のスペーサーのメッシュなどで、蒸気が抜けやすくなっています。アイロン台にスチームの水分が残ったままになると、悪臭やカビ発生の原因となりますが、その点にも配慮されているようです。
4、収納用の壁掛けフックもスタイリッシュ
アイロン台の多くは畳めますが、それでもスペースを取るものです。筆者が購入したジョセフジョセフのアイロン台には壁掛けフックがあり、これを設置することでスタイリッシュに壁に掛けられるようになっています。
5、持ち運びハンドルにハンガーが吊れるのでテーブルが必要ない
アイロン台のハンドルにハンガーが3つほど掛けられます。数枚のシャツ、スーツを1度にアイロンがけできるのが、地味ながら使いやすさにつながっています。
なお、筆者としては不満はありませんが、舟形の後ろの四角い部分がアイロン置きになっているので、ここをアイロンがけでよく使う人は慣れが必要かもしれません。
面倒な作業を楽しめることが、人生を豊かにする
筆者はカンタン、時短が一番だとずっと思っていましたが、最近は「面倒な作業を楽しめることが、人生を豊かにする」と気が付きはじめました。
しかし、料理でもアイロンでも、スタートはうまくできないことばかり。そんなとき、気分が良くなる道具を使えば三日坊主にはならないはず。雑な表現ですが「好きこそ物の上手なれ」というではありませんか。それは趣味も同じでしょう。
筆者にとってジョセフジョセフのアイロン台は、面倒なアイロンがけを、気分が良くなる時間にしてくれる大切な道具です。「こういうのが欲しかった」アイロン台、といえるでしょう。
マジックの実力は大切。しかし、トランプやシャツも大切
不思議に思われるでしょうが、筆者は自分のマジックを「スゴい!」と思ったことは一度もありません。……いや、たまに思ったことはあったかもしれませんが……。
ただ、「自分のマジックの優劣はわかりませんが、トランプは最高のモノを持ってきました」というセリフは、いつでもクライアントに好評です。
もちろん、マジックの実力を上げるための研鑽はとても大切。しかし、新品のトランプやパリッとアイロンのかかったシャツなど、誰にもわかりやすいシンボルをクライアントに示すことも大切……。それが「楽しみながら、うまくいくポイント」かも。なんとなく、そんな気がしているんですよね。
そんな「楽しみながら、うまくいくポイント」を示してくれるシャツを仕上げる相棒、ジョセフジョセフのアイロン台。筆者のような身長の方には、とくにオススメです。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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