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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第211回

防災に便利な折りたたみ式ナイフのススメ

2024年01月30日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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キャンプで役に立つものは、防災でも役に立つ

 この記事を読んでいらっしゃる方の中にも、防災バッグを用意している人は多いかと思います。バッグの中身は、飲料水、ライト、ラジオ、軽食、応急用品などが一般的です。さらに、小さなナイフやハサミ、缶切りなどがついた「マルチツール」(いわゆる十徳ナイフ)と呼ばれる小型ナイフを入れている人もいるかもしれません。

 上記以外に、筆者がオススメする防災グッズは、中型のナイフです。最近ではソロキャンプの流行もありますし、キャンプで使うためにこの手のナイフを所持している方もいらっしゃるでしょう。

 筆者が所持しているものでいえば、ビクトリノックス「エボーク」は、刃渡りがおよそ9.5mm。中型というほどではないかもしれませんが、栓抜きや缶切りが付いた同社のマルチツール「ソルジャー」よりしっかりした“ナイフ”をそなえています。

筆者が所持している「エボーク」(上)、栓抜きや缶切りが付いた「ソルジャー」(下)

 災害の発生から数時間で救援が来るのであれば、そんな道具は不要かもしれません。しかし、筆者のように、海や山に近い郊外に住んでいる場合は、大規模災害で道路が分断されるなど、救援までに数日かかるケースも考えられます。そのような場合、ナイフはとても役に立つ道具です。

 「あれば便利」な道具を、防災バッグに詰めていくとキリがありません。ちなみに、防災リュックの重さの目安は、男性が背負うなら15kg程度、女性は10kg程度といわれています。

 しかし、軽くできるのであれば、筆者としては5kg以内が理想だと考えています。そんなバランスを計算に入れると、キャンプで便利な道具は防災でも役に立つのではないでしょうか。

折りたたみ式(フォールディング)ナイフがオススメ

 避難時は、身軽に避難できることが大切です。バッグもできるだけ小型が良いでしょう。半分のサイズにできる折りたたみ式(フォールディング)ナイフなら、バッグのスペースを取りませんし、ポケットに収めることもできます。

ビクトリノックスのエボークは、たたむと全長はおよそ14cm

 シース(鞘)に収めるタイプのナイフも便利ですが、バッグの中でシースから外れて怪我をしたり、気がついたら腰にシースだけが残っていてナイフが行方不明になったりすることもある点には注意が必要。

 ちなみにエボークは、刃の部分に「サムスタッド」と呼ばれる突起が付いています。ここに指を置いて刃を回転させることで、ワンハンドでナイフを開けられるのが便利です。

災害時にナイフでできること

 マルチツールの小型ナイフは布やロープを切るのには便利ですが、刃長が短く、刃が薄いことが弱点。中型ナイフのように、ある程度の刃に厚みがあれば、バック(背)から叩くことで簡易な斧やナタのような使い方ができたり、包丁のように調理に使えたりするのが強みです。

 具体的には、以下のようなケースで役に立ちます。

・足を痛めたときに即席の杖を作ったり、応急の添木を作ったりできる
・雨や風をよける、簡易なシェルターを作れる
・毛布やシーツを利用して、タンカやペグなども作れる
・小型包丁に近いサイズなので、調理にも使いやすい

細くて折れそうに思えるが桜の枝は硬くて折れにくい。こんな即席の杖を作るためにナイフは有用

硬い桜の枝でペグ(杭)を作ってみる

完成したペグ。雨風をよけるシートなどを固定できる

骨折などの心配がある場合、救護までの仮固定の棒もナイフで作れる

刃のバックを枝や石で叩くことで、簡易な斧やナタのような使い方ができる

ある程度の刃渡りがあるナイフなら、このやり方で木を割る(バトニング)ことが可能

銃刀法、軽犯罪法についての注意

 防災に便利だからと、普段の持ち物や車のドアのサイドポケットなどに気軽にナイフを入れておくと、銃刀法、軽犯罪法上のリスクがあります。

 まず、銃刀法では(正当な理由なく)刃渡り6センチを超える刃物の持ち歩きを禁じています。外出するときに気軽に持ち歩いたり、車に載せたままにしておいたりしてはいけないのです。そして、軽犯罪法ではどんなサイズでも「刃物を隠し持つ」ことを禁じています。

 本記事で紹介したようなナイフは、あくまで防災バッグの中に用意しておき、災害時のみに(バッグごと)持ち出すようにするといいでしょう。

 防災グッズは、何も起きず、使わずに済むことが一番です。しかし、万が一の災害を想定して、普段からしっかりと準備しておくことも大切。筆者が心配性すぎるのかもしれませんが、「備えあれば、憂いなし」という言葉もありますので……。

前田知洋(まえだ ともひろ)

前田知洋

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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