「Salesforce World Tour Tokyo 2024」基調講演レポート
ソニー・ホンダの「AFEELA」とセールスフォースのAIが示す、カスタマーサービスの未来像
2024年06月20日 08時00分更新
AIが事業者に寄り添う、地域密着型のバンキングサービスの未来像
AI企業への変革を進めるもう1社が、約150年にわたって地域と共に成長を続けているふくおかフィナンシャルグループだ。グループ全体での全方位型のデジタル変革のために、セールスフォースのプラットフォームを採用。今後目指す、データ・AIを活用した地域密着型のバンキングサービスの未来が披露された。
同グループ内のさまざまなデータを、セールスフォースのData Cloudに集約することで、業務効率化だけではなく、顧客の関心やAI分析に基づいたデジタルマーケティングを展開できるようになっていく。
例えば、ふくおかフィナンシャルグループは、地域の事業者向けに、デジタル通帳やオンライン手続、経営診断を提供する「BIZSHIP」というポータルを展開している。この経営診断の情報も、Data Cloudにつながり、CRMや勘定系データ、外部データと関連付ることができる。
経営診断のデータを、BIツール「Tableau」の生成AI機能である「Tableau Pulse」で分析。事業者の経営状況が悪い場合には、生成AIに何が要因と思われるか、自然言語で質問することができる。金融業界向けのCRMである「Financial Services Cloud」では、対話型AIの「Einstein Copilot」を用いて、事業者の情報や折衝履歴を要約してもらい、事業改善の提案のためのヒントを探ることができる。
事業者に提案が通った後も、生成AIが、過去の折衝や取引の情報を参照しながら、稟議書のドラフトを作成してくれる。融資支援システムとAPI連携することで、審査から承認までの稟議プロセスを自動化することも可能だ。
販促活動も、Einstein Copilotで効率化できる。例えば、スマートハウスにおける顧客セグメントの作成を依頼すると、将来の年収予測や環境への関心度などを考慮して、購入ニーズがありそうな顧客を絞り込んでくれる。抽出したセグメントに対しては、プッシュ通知でキャンペーンを展開。購入段階においても、申込から審査、契約手続きまでのプロセスを、オンラインで完結できる。
ふくおかフィナンシャルグループの取締役社長である五島久氏は、「我々は銀行として、常に地域に寄り添う、向き合うことを続けている。大事なのは、デジタルと人の掛け合わせであり、これからはデジタルとAIが人の力を生み出すと考えている」と説明。
今回のセールスフォースの採用については、「攻めと守りの機能が充実している」ことが決め手になったという。攻めの面では、グループ間に散在するデータを集約して、業務効率化や幅広い解決ソリューションに利用できること。守りの面では、銀行において重要な信用・信頼のために、高いセキュリティレベルを担保できることなどが挙げられた。
