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シームレスなデータ利活用環境を実現するネットアップの価値

AIインフラの課題はデータの偏在性、サイロ化、そしてセキュリティ

2024年05月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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CoEでの継続的な成果、責任あるAI、AIと電力

――こうしたAIインフラの構築や提供において、ネットアップ側が面している課題はなにかあるのでしょうか?

フィッシュマン:これはわれわれが今までカバーしていない分野のお客さまに対応することです。たとえば、単一のデータ環境で、ユーザーごとに違った成果を挙げていかなければならないといった要件です。これはもっとも難しい課題です。

AIにおいてもっとも先進的なユーザーは、AIのCenter of Excellenceを構築し、組織内でリソースやベストプラクティスを集約しています。つまり、AIの投資が集中し、ただ開発を続けるわけではなく、事業上の成果につながるようにしなければなりません。

責任あるAIについても言及しようと思います。AIのプロジェクトに関しては、データサイエンティストも、エンジニアもやりたい放題が許されてしまいます。イノベーションをどんどん進めたいので、抑制されたくないのです。でも、企業にとってもっとも大事なデータが活用されてしまうわけです。

――セキュリティについてもストレージがカバーする必要があるのですね。

フィッシュマン:ユーザーはセキュリティに関して関心を持っていませんが、企業はデータがきちんと保護されていることを担保しなければなりません。そのため、ネットアップはユーザーが意識しない形でセキュリティを担保することができます。特にアンチランサムウェアに関しては、高い価値を持っています。

――AIの処理に必要なコストと電力に関してはどうですか?

フィッシュマン:まずAI全体の領域で見れば、ストレージ自体の電力消費は少ないと考えています。われわれのストレージに関しては、近年NANDフラッシュに移行しており、パフォーマンスあたりの消費電力を低く抑えています。オンプレミスにおけるサステイナビリティの向上にも寄与していますし、ストレージをクラウド上で消費することも可能です。

また、最近では必要な分だけ課金するというPay as Goのモデルも用意しています。また、サステイナビリティダッシュボードを提供しており、環境に対する負荷を俯瞰したり、どのように最適化するかをチェックすることが可能です。

一方で、ハイパフォーマンスというニーズをわれわれは無視していません。非常に要求の高いAIワークロードにも対応しています。ただ、これは差別化につながらない基本的な要件なので、満たすのが当たり前だと考えています。

クラウドとオンプレミスの区別はすでに「人工的な」もの

――いまネットアップが取り組んでいるデータの統合環境は、以前提唱していた「Data Fabric」の延長なのでしょうか?

フィッシュマン:Data Fabricはずいぶん前にネットアップが提唱した概念です。必要なときに、どこでもデータを取り出したいという環境を構築するというコンセプトで、これを実現できるベンダーは業界ではネットアップしかいなかったと思います。

ただし、今の課題は単にデータを集約するだけでは足りません。集約は簡単に実現できなければなりません。データのライフサイクル全体でセキュリティを確保しなければなりませんし、パフォーマンスも必要です。こうした要件まで満たすための概念として、われわれが提唱しているのが、「Intelligent Data Infrastructure」になります。これはAI時代に向けてData Fabricを進化させたということです。

――すでにクラウドは一般的になりましたが、ネットアップにとってクラウドとオンプレミスとの使い分けみたいなものがあれば教えてください。

フィッシュマン:現在、クラウドとオンプレミスの区別はかなり人工的(Artificial)なものです。他のベンダーはこうした区別や使い分けが必要ですが、われわれは両者を区別する必要はすでになくなっています。だからユーザーからもかなりニュートラルに見えるはずです。

前述した通り、私たちは3大ハイパースケーラーでストレージサービスを提供する立場です。つまり、オンプレミスも、クラウドも、ハイブリッドも、私たちにとっては有利だということです。お客さまはAIもクラウドもシームレスに利用でき、トレーニングも、生成AIのマネージドサービスも、ベンダーを変える必要がありません。

――AI時代になっても統合化のメリットは大きいと言うことですね。

フィッシュマン:よく言われる表現ですが、データは境界線を気にしません(Data dose not respect border)。われわれの製品を使うことで、ユーザーはさまざまなデータを1ヶ所に集め、いろいろなところで使うということが容易に行なえます。

また、さまざまなデータタイプに対して管理やサポートを提供しています。もちろん、オンプレミス、クラウド両方です。お客さまがAIジャーニーの途中であっても、新たなサイロを作らずに管理できる環境を提供しています。私たちはAIのスペシャリストであることを自負してます。でも、得意なのはAIだけではないということです。

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