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ジョージ・クリアンCEOに聞いたネットアップの現在地

ネットアップはもっともクラウドネイティブで、セキュアで、AIフレンドリー

2023年12月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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 従来のアプライアンス型のストレージの強みを活かしつつ、パブリッククラウドとの連携を強めてきたネットアップ。企業の競争力の源泉となるデータの分野で、クラウドネイティブで、セキュアで、AIフレンドリーな環境を目指す。米ネットアップ CEOのジョージ・クリアン氏に、自社イベント「NetApp INSIGHT」での新発表や最新戦略について聞いた(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)。

米ネットアップ CEO ジョージ・クリアン氏

お客さまにはAIを使いやすく、そして自らもAIで満足度を高めていく

―――日本法人が25周年ということで、まずはおめでとうございます。

クリアン:ありがとうございます。長きに渡ってがんばってくれた日本法人のメンバーにはとても誇りを持っています。日本において、NAS(Network Attached Storage)という市場を作り、そしてその市場でのシェアのNo.1にまで成長させてくれました。権威のある日経コンピューターの顧客満足度調査でも、2年連続1位を獲得していますし、働きがいのある企業としても認知されています。

今日、われわれの製品は、日本の大企業の重要なシステムで使われており、官公庁での採用も多いです。そして、豊かで、有能なエコシステムに支えて仕事をさせてもらっており、とても恵まれた環境にあります。

―――この十年、パブリッククラウドが浸透したことで、いわゆるストレージの役割は大きく変化したと思っています。こうした中、ネットアップの製品・サービスは顧客のどのような課題を解決するのでしょうか?

クリアン:日本ではすでに25年の歴史があり、ネットアップ自体も30年以上の社歴があり、ひたすらお客さまの課題解決に注力してきました。

約十年ほど前からは、お客さまでのデータ管理の悩み、特にハイブリッド・マルチクラウド環境の悩みについて解決してきました。お客さまはマルチクラウド、データセンターにそれぞれデータを置いているので、その両方のデータをより簡単に活用できるようにしてきました。

現在、われわれのソリューションにより、お客さまはハイブリッド・マルチクラウド環境において、データストレージを統合できるようになっています。データのプライバシーやセキュリティを担保しつつ、AIを活用するためのデータパイプラインを確保できるというメリットをもたらすことができます。

―――AIはネットアップにとって、どのような存在なのでしょうか? 

クリアン:私たちはのAIに関する取り組みは、長年の蓄積があります。お客さまがAIを利活用できるようにするというイネーブルメントに加え、私たち自身がAIを活用して、お客さまの満足度を高められるようにしてきました。

たとえば、ネットアップのストレージでは、高度な機械学習のテクノロジーを活用することで、攻撃や情報漏えいを防ぐことができます。もしデータが破壊・紛失した場合に、迅速にリカバリするためにも機械学習を用いています。

また、お客さまにとってのソリューションにおいては、NVIDIAや他のパートナーと共同開発した予測型のAIモデルがあります。先般行なわれた弊社のイベント「NetApp INSIGHT」では、ロッキードマーティンが予測型AIで天候や火災を予測するためにAIを活用している事例が披露されていました。

さらに生成AIに関しては、Google Cloud Vertex AIとの連携デモも披露しました。ネットアップのストレージテクノロジーを活用することで、非構造化データにおいても、高速に検索・要約を行ない、価値を引き出すことができるというものです。

非構造化データから価値を生み出すストレージへ

―――先般行なわれたNetApp INSIGHT 2023での発表やメッセージについて教えてもらえますか?

クリアン:大きく3つの発表がありました。1つ目はわれわれがトップを走っている最新ユニファイドストレージの分野です。費用対効果の高いソリッドステートのソリューションをお客さまに提供します。

2つ目は「業界でもっともセキュアなストレージ」という地位をさらに強化しました。具体的には、ランサムウェアからのリカバリを補償するプログラムを発表しています。そして3つ目は業界最高のAIパイプラインです。NVIDIAとの提携に基づく製品に加え、シスコともより高度なAIに関するリファレンスアーキテクチャを発表させてもらいました。

長らくNASを展開してきたわれわれとしては、非構造化データに関しては市場でトップのポジションを確保しています。企業の保有するデータの8割は非構造化データなので、AIやアナリスティックの領域では、ここから価値を生み出せるわけです。ですから、お客さまにはわれわれのストレージは、もっともクラウドレディで、もっともセキュアで、もっともAIへの対応が進んでいますとご説明しています。

―――今回は従来のData Fabricからより進化した「Intelligent Data Architecture」を掲げています。お客さまにとってのメリットを教えてください。

クリアン:Intelligent Data Architecureにより、お客さまは3つの能力を持つことができるようになります。まずはハイブリッド・マルチクラウドにまたがった統合されたデータ環境を構築できるという点です。どのようなアプリケーションでも、どのようなデータであっても、統合できます。

また、その統合されたデータ環境でセキュリティ、プライバシー、ガバナンスを確保できます。さらに、AIを用いたオペレーションも可能になるので、それぞれのデータに対して、オブザバビリティと自動化、最適化を提供できます。

統合したデータ環境はお客さまの競合に対する優位性をもたらします。また、企業のニーズが進化しても、テクノロジーが進化しても、柔軟性を持つことができます。たとえば、新しいビジネスを立ち上げたり、企業買収で新しい組織が変わるような場合でも、迅速に対応することが可能です。セキュリティを含むシステム全体の運用管理においても、チーム全体で効率性を高めることができます。

―――昨今は特にセキュリティへの注力している印象ですが、顧客の関心をどう捉えていますか?

クリアン:そうですね。お客さまが保有している基幹系のクリティカルなデータを保護できるからこそ、ネットアップを選んでくれたという事例は多いですね。日本のお客さまに関しても、セキュリティの課題は優先度の高いトピックとして必ず挙がります。

クラウドジャーニーに終わりはない

―――ネットアップはこの十年でクラウドとの連携をずっと進めてきました。まだ道半ばなのか、すでに完成したのか? 現在地について教えてもらえますか?

クリアン:われわれは長らくクラウドジャーニーを歩んできましたが、この旅路は終わりません。ただ、この数年で、ハイブリッド・マルチクラウドのビジョンは多大な進展を遂げています。すべての主要なクラウドサービスにネイティブ対応しているストレージメーカーはわれわれが唯一の存在です。毎四半期というスピード感で、クラウド事業者たちとともに、さまざまな拡張を進めてきました。たとえば、Microsoft Azureでは今までより低コストなサービスを提案しています。

そして、アプリケーションの分野においても、すでにクラウドインフラは構築済みになるので、新しい価値を創出できるようになっています。また、データセキュリティやハイブリッドデータパイプラインの観点でも、VMwareとの連携を進め、kubernetis上の利用も可能になっています。

―――結局、クラウドとはネットアップにとって、敵なのか? 味方なのか? 率直な印象をお聞かせください。

クリアン:私たちにしてみれば、選択肢の1つに過ぎません。とはいえ、お客さまに選択肢を与えるためには、柔軟性を提供しなければなりません。われわれのテクノロジーを活用していただければ、パブリッククラウドとデータセンター、どちらにデータがあってもパフォーマンス的に差を感じることはないと思います。同時に、クラウドにワークロードを移行する際にも、どのベンダーと比べても、はるかに簡単な操作で実現できます。だからこそ、だから私たちは「Intelligent Data Architecture」なのです。

クラウドでも、オンプレでも データ活用したい 国内でもユーザー事例登場

―――最近の事例で印象的なものはありますか?

クリアン:テクノロジーパートナーとともに素晴らしいことを実現している事例がいろいろあります。

たとえばイエール大学の医学部が、モダンアーキテクチャのプロトタイプを構築しているという事例が挙げられます。モダンアーキテクチャの重要性は、データで変革を成し遂げるための柔軟性にあります。

臨床医学データは、対称性という意味でも、複雑性という意味でも、膨大です。ここで行なったのは古いHadoop型のアーキテクチャを柔軟性のあるアーキテクチャに変革し、医師、研究者、臨床医、テクノロジープロバイダーなどあらゆる関係者に力を与えることができました。非常に大規模で、多様なデータセットをネットアップのストレージとNVIDIAのGPU、そしてクラウドで活用しています。これにより患者のケアが改善し、疾病の発見も高速化した。われわれにとって非常に光栄なことです。

―――日本での事例はいかがでしょうか?

クリアン:日本ではサイバーエージェントがGoogle Cloudとデータセンターを組み合わせたハイブリッド・マルチクラウドを実現しています。独自に開発したAIエンジンを提供する際に、kubernetisを活用し、テナントがクラウドでも、オンプレミスでも選択できるようにしています。その他、ゲーム会社や製造業のお客さまがAIを活用する際に、クラウドとオンプレミスでもデータを利用したいという場合に、われわれのデータアーキテクチャが評価されるようになっています。

―――最後に日本のユーザーにメッセージをお願いします。

クリアン:グローバルのお客さまに共通してお話ししていることがあります。

まずデジタル系のビジネスであれ、従来型のビジネスであれ、データドリブンに事業を駆動していくことには大きな価値があるということです。そして、データドリブンのビジネスを促進するのであれば、ネットアップは信頼に足るパートナーになれますとお話しします。

日本でも25年以上に渡る歴史があり、われわれは日本市場を熟知しています。パートナーのエコシステムもリッチですし、お客さまを支援するテクノロジーも完備しています。

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