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Acrobat APIの導入でテクサポへの問い合わせ2割減 アドビが八楽の事例を公開

2024年05月22日 14時00分更新

文● ASCII

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Adobe Acrobat Service API

 Adobeは5月22日、八楽の自動翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」が「Adobe Acrobat Service API」を導入した事例を発表した。

 Adobe Acrobat Service APIの導入により、ヤラクゼンでの文章の抽出精度が向上し、PDFのレイアウトを崩さず高い精度でテキストデータの読み取りが可能となった。その結果、テクニカルサポートへの問い合わせが20%減少したという。

Adobe Acrobat Service APIの導入背景

 ヤラクゼンは、海外に拠点を置くグローバル企業が増加し、翻訳サービスの需要も増加傾向にある中で、あらゆる業界の翻訳ニーズに対応するAI翻訳プラットフォーム。「AI翻訳+あなた(ユーザー)」で成長するヤラクゼンは、会社や各部門で頻出する専門用語をAIに学習させることで翻訳を最適化する仕様や、二次利用のリスクなく翻訳できるセキュリティー面などにより、幅広い業種・業態のユーザーから高い評価を得ている。

 特に需要の多いフォーマットの1つであるPDFを翻訳する場合、PDF内の文章はWordに変換される仕様となっている。しかし、以前使用していたAPIでは、文章の抽出精度が不十分で、ユーザーからの問い合わせも多かったという。

 複数のAPIを比較した結果、文章の抽出精度が圧倒的に高いと判断したAdobe Acrobat Service APIを利用開始した。

文章の抽出精度の高さが決め手に

 同社がAdobe Acrobat Service APIを利用するポイントは、文章の抽出精度が高い点、セキュリティー面でも信頼できる点、クラウドベースで提供されている点、画像データ内の文字を認識し、テキストデータへ変換するOCRにも対応している点だという。

八楽

八楽 テクニカルサポート リム エイデン氏

 テクニカルサポートのリム エイデン氏は「抽出精度の高さについては、変換したWordを開いた時点で他のAPIとの違いがすぐに分かった。日本語から英語に翻訳すると、英文の方がどうしても一文が長くなるのでレイアウトが崩れやすくなるが、Adobe Acrobat Service APIで抽出した文章はレイアウトの崩れがほぼなかった」と、抽出精度の高さについてコメント。

 Adobe Acrobat Service APIは、政府のセキュリティー要件を満たすクラウドサービスを評価するISMAPに登録されている。また、クラウドベースであることは、サーバーダウンなどのトラブル防止に負担をかけず運用できると、同社にとってメリットに感じている。

 OCR機能については以前よりユーザーからのニーズが多く、多種多様なレイアウトで構成されたファイルの翻訳対応を実現するためには、OCRでテキストを認識できるAPIが必須条件だったという。

テクニカルサポートへの問い合わせが20%減少

 抽出精度の高さが要求されるヤラクゼンにAdobe Acrobat Service APIを導入した結果、文章の抽出精度は飛躍的に向上し、ユーザーから、抽出精度の高さを評価される機会が増えた。その結果「問い合わせの数は体感で20%程減少した」と、リム エイデン氏は語った。

 今後はさまざまな利用シーンを想定してPowerPointに変換できるオプションの開発も視野に入れている。

 設計図のような図表や画像が多い複雑なPDF、文章が画像内に組み込まれているPDFについても、より確実にテキストデータとして抽出できるよう、アドビと協力しながらサービスを改善していきたいとのこと。

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