ゲームコントローラーに振動機能などが付与され多機能化
転送速度の遅さが致命的になる
そんな具合に普及していたGame Portであるが、まずゲームデバイスの多機能化に直面することになった。例えばマイクロソフトが1997年に発表したSideWinder Force Feedback Proというジョイスティック、ジョイスティックとは別にボタンが8つと8方向ハットスイッチ、シフトボタンまで搭載され、さらにX/Y軸には従来のバネの代わりにモーターが搭載され、PCからのフィードバックに合わせて反応させたり振動させたりといった機能が搭載されている。
画像の出典はWikipedia
これをどうやってGame Portで接続するか? というと、信号を時分割して送ることでなんとか実現している。またGame Portは本来ジョイスティックなどからのデータを受け取るだけ(つまり受信のみ)のI/Fだが、SideWinder Force Feedback Proでは逆にPCからフィードバック制御情報を送る必要があり、ここにMIDIポートと同じ仕組みを利用している。もう完全にGame Portをハックして無理やりつないでいる感が強い。
筆者も所有していたのだが、利用できるGame Portが限られる(Game Portならなんでもつながるわけではなく、確かSound Blaster 16と完全互換でないと動作しなかった記憶がある)上に、後からつないでも動かない場合がある(マシンを立ち上げる際にはSideWinder Force Feedback Proをつないでおかないと認識されなかった)など、使いにくいものだった。
Game PortそのものもPort I/Oをベースとしているから、転送速度を上げるとCPU負荷が馬鹿にならなかった。そもそも当初のIBM Game Controller Adapterは4MHz駆動だったし、Sound BlasterのGame Portもそんなに高速ではなかった。ゲームデバイスが多機能化していくと、この遅さも致命的になる。
I/FがUSBに置き換わり、Game Portは追放される
これを置き換えたのは言うまでもなくUSBである。当初からUSBの用途の中にはゲームデバイスの接続が含まれており、わりと早い段階でUSB対応のゲームパッドなどがリリースされている。これはジョイスティックも同じで、マイクロソフトにしてもSideWinder Force Feedback Proの後継としてリリースしたSideWinder Force Feedback 2はUSB接続になった。
これと並行して行われたのが、PCからのGame Portの追放である。1996年にマイクロソフトとインテルが発表したPC97では、Game PortをUSBに置き換えることが「推奨」となり、それに加えてオーディオの標準規格としてAC97が策定され、このあたりからサウンド入出力は拡張カードではなくマザーボード上に直接実装されるようになった。
こうなると、バックパネルにGame Portまで搭載する余地は少なく、最初はマザーボード上にGame Port用のピンヘッダが用意され、ブラケットの形で接続するなんて構造だったのが、いつの間にかGame Portそのものが廃されてしまい、これで困るユーザーは少なかった。
Creative Technologyの「Sound Blaster誕生30年」ページを見ても、Game Portを搭載していたのは2000年のSound Blaster Live!が最後で、それ以後の製品にはGame Portは搭載されていない。なお、2005年のSound Blaster X-Fiにも怪しげなコネクターが搭載されているが、これはブレイクアウトボックスという外付けのBoxを接続するためのもので、Game Portではない。
もうGame Portの拡張ボードも、ケーブルも、それを利用するゲームデバイスも、新品ではまったく見当たらない。MIDIに関しても、例えばローランドのMPUならUM-ONEmk2、YAMAHAならUX-16といった定番のMIDI-USB変換ケーブルがあり、もうGame Portに接続する必要性がなくなっている。Game Portも消えたI/Fとしてしまって差し支えないだろう。
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