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USB型LTEデバイス「Soracom Onyx」向け、防水・防塵アンテナセットの販売開始

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 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「USB型LTEデバイス「Soracom Onyx」向け、防水・防塵アンテナセットの販売開始」を再編集したものです。

こんにちは。ソラコム事業開発の堀尾(ニックネーム:hori)です。

この度、SORACOM IoTストアにおいて、Soracom Onyxの外部アンテナ端子に挿して利用できる「Soracom Onyx用防水・防塵アンテナセット」(以下、外部アンテナセット)の販売を開始しました。そのままでも使えるSoracom Onyxですが、外部アンテナセットを活用することで、これまで利用が難しかった電波環境のよくない現場でもSoracom Onyxが利用できる可能性があります。このブログ記事では、新発売の外部アンテナセットについて紹介します。

Soracom Onyxとは

Soracom Onyxとは、ソラコムが販売しているUSB型のLTE通信デバイスです。

LTE(4G)といったセルラー通信を利用する手段としては、セルラールーターを利用する方法や、セルラーモジュールの組み込みなど、様々ありますが、USB型の通信デバイスは、デバイス自体が比較的安価であることと、システムへの組み込みが手軽なため、様々なIoTシステムで採用されています。

Soracom Onyxは、パソコンやRaspberry Pi などの小型コンピューター(以下、ホスト)のUSBポートに挿して利用します。手軽な反面、電力供給や制御がホスト側に依存することから、単独で動作するルーターなどと比べると、相性問題などが発生しやすいことは留意してください。

外部アンテナの利用

実はSoracom Onyxの側面には外部アンテナ端子があります。Soracom Onyx自体にアンテナが内蔵されているため、通常使うことはありません。Soracom Onyxを既に利用しているユーザーでも、普段アンテナ端子を意識することはないかもしれません。

外部アンテナを利用するメリットは、Soracom Onyx本体から離れた場所にアンテナを設置できることです。Soracom Onyxを内部アンテナで利用する場合、本体はホストデバイスのUSBポートから生える形になります。ホストデバイスはユースケース次第で屋内の奥まった場所に設置される可能性があり、必ずしも理想的な電波環境で利用されるわけではありません。

電波環境を改善する一つの方法は、USB延長ケーブルを利用することです。ホストデバイスとSoracom Onyxの間に、USB延長ケーブルを挟むことで、ホストデバイスから離れた、より電波環境の良い場所に、アンテナを内蔵したSoracom Onyx本体を設置することができます。この方法のメリットは、USBのデジタル信号を引き回すため、ケーブル延長による信号の劣化がない、ということです。ただし、Soracom Onyxは防水ではないため、見通しのよい屋外に設置することはできません。また、Soracom Onyx自体が固定手段を備えていたり、自立する構造にはなっていないため、設置には一工夫必要になります。

そこで、上記とは別の方法として「Soracom Onyxに外部アンテナを接続し、アンテナの同軸ケーブルを延長して、アンテナだけをホストデバイスから離れた、より電波環境の良い場所に設置する」という方法が考えられます。これを実現するためのオプションが、今回販売を開始した外部アンテナセットです。アンテナの同軸ケーブルを延長する場合、アナログ信号を引き回すことになるため、信号の劣化が発生します。USBケーブルの延長と比較して、一長一短であるとご理解ください。

外部アンテナセットの特徴

外部アンテナセットは、防水・防塵アンテナ Taoglas GA.130.201111×2本 + アダプターケーブル×2本により構成されます。それぞれ2本ずつの理由は、1台のデバイスが2本のアンテナを利用することで、通信速度が向上するためです。これはLTEの通信規格の中で定義された仕様で、Soracom Onyxもこれに対応した設計になっており、アンテナを2本接続することで本来のパフォーマンスを発揮します。

なお、Soracom Onyxは技適の認証を受けた無線機器ですが、その認証を受けた構成に、こちらの外部アンテナセット(および、Soracom Onyxがもともと備える内蔵アンテナ)も含まれています。逆に言うと、認証を受けていないアンテナとの組み合わせで、Soracom Onyxを利用することはできません。アンテナは無線機器を構成する一部であり、認証されていないアンテナに差し替えるなどして、その構成を変更してしまうと、電波法違反にあたる可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。

防水・防塵アンテナ Taoglas GA.130.201111

IP65の防水・防塵性能を持ち、屋外設置に耐えるアンテナです。アンテナから接続端子まで2mのケーブルが伸びており、Soracom Onyx本体から離れた位置にアンテナを設置することができます。

アダプタの形状にご注意ください

Soracom Onyx の外部アンテナ端子は「CRC9」です。SORACOM IoT ストアでは同一形状のアンテナを販売していますが、こちらのアンテナに付属しているアダプタの形状は「u.FL」で、Soracom Onyxでは利用できませんのでご注意ください。

アダプターケーブル

Soracom Onyxの外部アンテナ端子(CRC9)は、上記Taoglasアンテナの接続端子(SMA)と形状が合わないため、端子形状を変換するためのアダプターケーブルです。

Soracom Onyxに外部アンテナセットを接続する

実際にSoracom Onyxに外部アンテナセットを接続してみます。物理的に端子を挿すだけの作業です。なお、接続にあたっては資格等は不要です。どなたでもお取り扱いいただけます。

  1. TaoglasアンテナのSMA(オス)端子に、アダプターケーブルのSMA端子(メス)を接続します
  1. Soracom Onyxの外部アンテナ接続端子には蓋があるため、蓋を浮かして端子を露出させます
  1. 露出したCRC9端子に、アダプターケーブルのCRC9端子を挿します
  2. 同じ手順で2本のアンテナを取り付ければ接続完了です

外部アンテナセットの効果

まずはSoracom Onyxに外部アンテナセットを接続しない状態で、室内で、電波環境を測定してみます。今回はRaspberry Piに挿しています。電波環境の測定方法は、Soracom OnyxのATコマンドポートを利用して、AT+CSQコマンドでRSSIを取得することにします。その方法を解説したブログもあるので、参考にしてください ⇒ SORACOM Onyx LTE USB ドングルの電波状況を SORACOM に保存する

AT+CSQに対して、+CSQ: 15, 99 と返ってきました。15がRSSIを表しています。今回、この数字だけ見て電波環境のよしあしを議論するのではなく、あくまで比較のための相対的な指標として利用します。なお、最も電波環境が良い場合、このコマンドは31を返します。

次に、Soracom Onyxに外部アンテナセットを接続した状態で、同様に室内で、電波環境を測定してみます。

AT+CSQに対して、+CSQ: 18, 99 と返ってきました。数字が大きくなっていることから、電波環境が改善したと言えます。実際には、外部アンテナセットを接続しただけで改善を期待すべきものではなく、外部アンテナセットの真価は、あくまで本体から離れた場所にアンテナを設置できることだとご理解ください。今回、Soracom Onyx本体をほぼ地面に寝かせた状態で実験を行ったため、単純にアンテナが直立していることによる改善効果かもしれませんし、何もなくても数字は変動するため、特に理由はないかもしれません。

最後に、Soracom Onyxに外部アンテナセットを接続した状態で、アンテナだけ屋外に設置して、電波環境を測定してみます。

AT+CSQに対して、+CSQ: 27, 99 と返ってきました。数字が大きく改善しています。このように、外部アンテナセットは、それだけで電波環境を改善するものではなく、電波環境の良い場所までアンテナを引き出すための手段であるとご理解ください。

まとめ

Soracom Onyxの外部アンテナ端子に挿して利用できる外部アンテナセットの販売を開始しました。

Soracom Onyx本体が電波環境の悪い場所に設置されても、外部アンテナセットを利用することで、アンテナだけ電波環境の良い場所まで引き出すことができます。外部アンテナセットを利用するだけで電波環境が改善するものではなく、あくまで電波環境の良い場所までアンテナを引き出すための手段ですので、利用環境を選んでお役立てください。

― ソラコム堀尾(hori)

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