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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第216回

秘密基地感がある! 我が家にミニダクトがある生活

2024年04月09日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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ミニダクト

DIYで忘れがちな換気

 DIYの楽しさは、工具を少しづつ揃えたり、完成した作品を他人に自慢したりといろいろあります。しかし、夢中になって長く続けていると、問題も出てきます。部屋が汚れて掃除が大変だったり、塗料による匂いが出てきたりなど……。

 電動工具で木を切れば、部屋に粉塵が舞う。スプレーやエアブラシをすれば、塗料の飛沫や有機溶剤が部屋に漂う。電子工作でのハンダ付けでも、金属蒸気や金属酸化物、ヒューム(飛散する微粒子)などを吸い込む可能性があります。

 たまにやってみるくらいのDIYなら、それらもあまり気にならず、健康に被害は少ないかもしれません。しかし、数時間の作業を趣味として長く続けていると、やはり周囲への汚れや健康被害が心配になってきます。

 そこで、今回は「部屋をキレイに保ち、匂いを部屋に残さない」ため、DIY用のミニダクトを設置してみました。

換気は奥が深い

 調べてみると、換気は奥が深いことがわかります。ご存知のように、人間は呼吸すると二酸化炭素(CO2)を排出します。1時間の軽作業をおこなったとき、ひとりの人間が排出する二酸化炭素は約25l(リットル)だそう。

 PCで作業をしているだけでも、換気のない部屋では、3時間に1回程度は空気の交換が必要だといわれています。認識能力が低下する二酸化炭素濃度は1000ppm(パーツ・パー・ミリオン:百万分率)が目安だそう。もちろん、部屋の広さや天井の高さにもよりますが……。

 ちなみに、厚生労働省は、オフィスなどの換気の目安は、30m3/h(1時間あたり、30m3の空気を入れ替える)を推奨としています。

 さらに、灯油ストーブなどを使用している場合なら、1時間に1〜2回の換気が必要です。キャンプなどでテント内でストーブを利用する場合、一酸化炭素計や二酸化炭素計を用意している人もいるくらいです。

ダクトとダクトファンで換気(吸気)装置を作ってみた

 というわけで、DIY用の換気装置をDIYしてみることにしました(笑)。DIYでは部屋全体の換気も大切ですが、今回はダクトとダクトファンを使い、手元で発生するヒュームを効率的に排出できるようにするためです。

 参考までに、ダクトとはビルの天井に隠れた空気の通り道のこと。駐車場などで天井に吊ってある銀色の四角や丸い管を見たことがあるはずです。実際にはビルの空調とは違い、DIYでは排出させる空気はそれほど多くありませんので、今回はもっともサイズの小さい100mm径を使用しました。

DIY用ダクト設置に必要なモノ
◯ダクトホース(100mm径、6m) 2071円
◯ダクトファン(風力調整付き) 5382円
◯パイプフランジ 1097円
◯ホースクランプ(アルミテープでもOK) 4個 868円
(購入価格はいずれもAmazon.co.jp)

ミニダクト

収縮されて届くダクトホース(上)とホースクランプ(下)

作業は簡単、およそ1時間ほどで終了

 今回購入したダクトファンの風量は最大で221m3/h。ダクトによる圧力損失を考えても十分でしょう。風量可変式なので、音が気になる深夜の作業でも安心です。

ミニダクト

ファンは可変式なので静音にも対応

 ダクトホースの色は、シルバーなども秘密基地のようで雰囲気があるかもしれませんが、部屋の壁色に合わせてホワイトを選びました。

 排気は部屋にあった四角い通風口を再利用。その通風口とダクトを接続するのがパイプフランジです。

ミニダクト

既存の通風口とダクトを繋げるパイプフランジ。現在は仮止めなので、後で白く塗るつもり

 ダクトホースとパイプフランジやダクトファンの接続には、ホースクランプを利用しました。これはアルミテープでも代用可能なのですが、何かを誤って吸い込み、ダクトが詰まってしまった場合のメンテナンス性を考慮しました。

 ファンを作動していないときに部屋に虫などが入らないよう、通風口にはステンレスのメッシュが内張りしてあります。

ミニダクト

ダクトファンを目立たないように本棚の上に設置。防音のためファンの下にスポンジを置いた

 ダクトホースを部屋のサイズに合わせて切り、購入した部品を組みわせるだけですから、作業は1時間もかからずに終わります。

空気を制すれば、DIYを制する

 ダクトで換気をしながらDIYをしてみると、今まで当然だったヒュームや有機溶剤の匂いがなくなり、快適な作業になりました。掃除の頻度も少なくなり、匂いや粉塵が思った以上にストレスだったことにも気がつきました。とくに、服に匂いやホコリがつかなくなったことが快適です。

 筆者の環境で、ダクトがあることで安全・快適にできるようになったと感じた作業は以下の通りです。これらすべてをやらずとも、どれかをDIYでやってみたい、やっている……という人はダクト導入を検討してみてもよいかもしれません。

ダクトがあると安全・快適にできる作業
1)レーザー加工など
2)エアブラシやスプレーをつかった塗装
3)UVレジンや3Dプリンタなど樹脂を扱う作業
4)ハンダ付けなど電子工作

 ダクト用品など、いままで一般的ではなかった製品が、ショッピングサイトなどで手軽に購入できるようになりました。作業が快適になったのみならず、秘密基地のような部屋のコーナーが気軽に作れるようになった……そんな幸せも味わっています。

 その流れから、筆者のマジックの道具作りもスムーズに行くようなった気がしています。まさに「空気を制すれば、DIYを制する」みたいな話。いかがでしたでしょうか。

前田知洋(まえだ ともひろ)

前田知洋

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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