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「Washington, D.C.」リリース、ワークフローに組み込まれた生成AI機能で業務改善のサイクルを実現

ServiceNow、生成AIでの運用効率化、営業・受注管理など「Now Platform」新機能

2024年04月04日 10時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは、2024年4月3日、同社のNow Platformの最新版である「Washington, D.C.」に関する説明会を開催した。

 ServiceNowは、ワークフローをベースとしたSaaSソリューションの基盤である「Now Platform」を年2回メジャーアップデートしており、2024年上期のアップデートとなるのがWashington, D.C.だ。同アップデートでは、「インテリジェントな自動化」、「シンプルなエクスペリエンス」、「拡張性とスケーラビリティ」をコンセプトに、生成AI機能の強化や営業・受注管理領域のアプリケーションの追加などを行っている。

Washington, D.C.のコンセプトと新機能

 ServiceNow Japanの常務執行役員 COO(Chief Operating Officer)である原智宏氏は、「Washington, D.C.を通して、生産性の改善とイノベーションを推進し、より直感的で一貫性のある体験を持ってコストを削減する。そして組織のアジリティを高め、価値を最大化する」と説明する。

ServiceNow Japan 常務執行役員 COO(Chief Operating Officer) 原智宏氏

生成AI機能による運用効率化、営業・受注管理領域への拡張など、Now Platformの新機能

 説明会では、各コンセプトにおける新機能のハイライトが紹介された。

 まずは、「インテリジェントな自動化」における新機能である、生成AIでIT運用を効率化する「Now Assist for IT Operations Management」だ。専門的で可読性が低く、かつ日々膨大に発生するアラートを、生成AI機能が明解な自然言語に変換してくれる。IT管理者は、現在進行中もしくは潜在的な問題を迅速に特定して、対応時間を短縮できる。

Now Assist for IT Operations Management

デモ:要約ボタンをクリックすると、アラートの問題や分析を要約してくれる

 「Security Posture Control」は、オンプレミスのデバイスやクラウドの仮想マシンといったIT資産のリスクを可視化する。セキュリティポリシーに反したIT資産に対する、脆弱性修正やパッチ適用といった対応を自動化して、サイバーハイジーンを向上できる。

Security Posture Control

 「シンプルなエクスペリエンス」においては、新たなアプリケーションとして「Sales and Order Management(SOM)」を展開する。販売前の商談から見積作成、オーダーの受注・処理、販売後の顧客エンゲージメントに至るまで、顧客ライフサイクル全体の管理を単一プラットフォームで実現する。各段階で、既存アプリケーションと密接に連携して、ServiceNowのワークフローでそれを補強することで、複数サービスで分断された顧客ライフサイクル管理を最適化し、収益化を向上させる。

 「ServiceNowは、バックオフィスのサポートという印象が強かったと思うが、いわゆる“Lead to Cash”、営業・受注管理の領域にもアプリケーションを拡げる」と原氏。同社が国内戦略のひとつとして掲げる“Beyond CRM”という顧客接点領域の変革に向け、新しいソリューションを継続的に展開していくという。

Sales and Order Management

幅広い業務領域を全社横断的にカバー

 「Platform Analytics」は、単一ダッシュボードで、プラットフォーム全体のデータを対象とした、分析とレポート機能を提供する。新たに提供する「Workflow Studio」と連携することで、実際のアクションにつなげるワークフローの自動化も作成できる。

Platform Analytics

 「拡張性とスケーラビリティ」においては、「Common Service Data Model(CSDM)」を拡張した。

 ServiceNowは、プラットフォーム上に単一のデータモデルであるCommon Service Data Modelを形成している。同データモデルを利用した各アプリケーション領域をまたがるワークフローによって、プラットフォーム上のデータを複数の業務に適用できる。「例えば、エンドツーエンドでガバナンスを効かせる必要があるESGプログラム管理も、単一データモデルでカバーできる」と原氏。

共通サービスデータモデル(CSDM)の拡張

ワークフローに生成AIを組み込み、業務改善のサイクルを実現

 説明会では、ServiceNowが拡充を進める生成AIポートフォリオについて、改めて紹介された。同社は、2023年下期のメジャーアップデートより、プラットフォームのワークフローに生成AI機能を組み込んだ「Now Assist」を展開している。

 原氏は、「生成AIをいかに日々の業務に組み込むかが重要」といい、生成AI活用が個々の従業員の創意工夫に任されている中で、「単一プラットフォームを通して、ユーザーの生産性を高めるのがServiceNowのミッション。単純に生成AIを製品として展開するだけではなく、正しく日常業務に組み込むためのユースケースを提供する」と強調する。

 ServiceNowを利用するユーザー層の“ペルソナ”に合った生成AI機能を、財務とサプライチェーンや人事担当、カスタマーサポート、ITサービス部門、開発者といったエンドユーザーのユースケースに紐づけて提供している。

回答やチャット、自動生成、情報検索、ワークフロー、運用高度化といったユースケースに紐付いた生成AI機能を展開

 同社が目指すのは、ビジネス上の課題をServiceNowのデジタルワークフローで解消し、さらにプラットフォームに蓄積された非構造化データを生成AIで活用してボトルネックを改善、そこから得られたインサイトで新たな業務のあり方を創出するといった、“継続した業務改善”のサイクルを回す仕組みを構築することだ。

 これらのServiceNowのワークフローに組み込まれた生成AI機能は、2024年中には日本語対応する予定だ。

業務推進から得られたインサイトを次の業務改善につなげるサイクルの構築

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