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インダストリービジネス加速、顧客体験改善ソリューションなど、生成AI機能は2024年中に日本語対応へ

ServiceNow、2024年の日本市場戦略として“5+1の事業方針”掲げる

2024年04月01日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2024年3月28日、2024年の国内事業戦略について発表した。同社社長の鈴木正敏氏は「2024年は“5+1の事業方針”を推進する」と説明。「業界向けビジネス(インダストリービジネス)の加速」「“Beyond CRM”による進化した顧客体験の実現」「日本発のパートナーエコシステムの確立」「中堅/成長企業市場での本格的事業展開」「お客様ファーストの価値提案・支援」という5つの方針を打ち出すとともに、「お客様ビジネス上での生成AIの価値創出」に取り組む考えを示した。

2024年の国内戦略として“5+1の事業方針”を掲げた

ServiceNow Japan 執行役員社長の鈴木正敏氏、

インダストリービジネスの加速、CRMを超えた顧客体験の改善など“5+1の事業方針”

 “5+1の事業方針”について、鈴木氏は「伝統的なITであるSoRを盤石にし、効率化していく方法もあるが、これでは日本企業と欧米企業のデジタル格差は埋まらない。SoEによって、デジタル後進国であり、生産性をより高める必要がある日本の課題を解決していく必要がある」と説明。ServiceNow Japanとして、日本企業のそうした取り組みに貢献していく姿勢を強調する。

 ひとつめの「業界向けビジネスの加速」では、通信業界やサービスプロバイダ業界向けのビジネスに加えて、製造業、金融サービス業、公共分野での事業展開を強化する。

 とくに公共分野では、営業体制を2倍に拡充してスペシャリストの配置も進め、ガバメントクラウド上におけるソリューションの技術検証も行って、事業を本格化する方針を明らかにした。デロイト トーマツ コンサルティングやアクセンチュア、NTTデータ、NEC、富士通、日立製作所といった、公共向けパートナーエコシステムの拡充、グローバルベストプラクティスの有効活用も進める。なおServiceNowでは、2022年にISMAP認証を取得済みだ。

※訂正:掲載当初、ISMAP認証の取得年を「2021年」としていましたが、正しくは2022年でした。訂正します。(2024/04/01 9:45 編集部)

業界向けビジネスの加速。とくに公共分野でのビジネスに注力する方針を述べた

 2つめの「“Beyond CRM”による進化した顧客体験の実現」では、顧客情報管理や商談管理といった従来のCRM領域だけでなく、ServiceNowが顧客関連プロセスをエンドトゥエンドでデジタル化することで顧客体験を進化させる提案を行う。具体的には、顧客対応の迅速化、リードタイムの大幅削減、顧客対応状況の可視化、統一されたカスタマーエクスペリエンスを提供することで、顧客満足度向上につなげることを目指す。

 「営業活動を軸とした(顧客を包括的にとらえる)『顧客360°』の実現によって、顧客管理の強化にはつながっているものの、カスタマーエクスペリエンス向上には至っていないのが実態。マルチチャネル化する顧客とのインタラクションにおいて、期待にタイムリーに応える必要があり、高品質なサービスをさまざまなチャネルで提供しなくてはならない。顧客視点からのデジタルワークフローの構築により、ひとつのプラットフォームですべてのプロセスを整流化していく」(鈴木氏)

 またServiceNow Japan 常務執行役員 COOの原智宏氏は、「これまでのCXソリューションは接点改革(顧客接点の改革)にフォーカスしており、接点に対して回答を提供したり、解決策を提供したりといったことをつなぐことができていなかった」と指摘。そうした機能を単一プラットフォームで提供するServiceNowの強みによって「顧客接点を次のレベルに引き上げられる」と述べた。

従来のCRMやCXソリューションのカバー範囲を超えて、エンドトゥエンドでカバーすることでCX向上を目指す

ワークフローに組み込まれた生成AI機能は2024年中に日本語対応

 3つめの「日本発のパートナーエコシステムの確立」においては、「戦略的パートナーシップの推進」「製品や導入スキルの向上」「コミュニティの活性化」の3点に取り組む考えを示した。具体的には次世代デジタル企業への継続的投資、教育プログラムを通じたスキル人材の拡大、ユーザーコミュニティ(SNUG)やデベロッパーコミュニティの活性化などを挙げている。

 4つめの「中堅/成長企業市場での本格的事業展開」では、同分野向けの専門営業体制を新たに設置。これらの企業に最適なITサービス管理、顧客サービス管理といったコアソリューションに特化したシナリオアプローチを推進する。「これまでの大手企業を中心とした提案だけでなく、日本の社会や経済を支える多くの企業に展開するのが、ServiceNow Japanとしての次の使命」(鈴木氏)。

 5つめの「お客様ファーストの価値提案・支援」では、正しい変革ビジョンの定義と、正しい導入、正しい実現効果の検証を支援し、顧客のビジネス効果の最大化を推進していくとした。具体的には、顧客プロジェクトをツール/サービス/サポートで一貫して支援する「ServiceNow Impact」を用いて、価値実現状況の可視化、専任チームによるアドバイス、CoE体制の確立や運営の支援などを行う。

 「ServiceNowのソリューションは、単発での利用よりも複数部門/全社横断型で利用するほうが経営に大きな効果を与えることができる。ビジネスケースを算定し、複数年のロードマップを描き、イノベーションのエリアを特定し、エグゼグティブとの合意によって推進するという王道的な提案スタイルが大切になる。ServiceNow Impactにより、正しい導入、効果の正しい享受のための支援を行い、顧客の成功に貢献していきたい」(鈴木氏)

「日本発のパートナーエコシステムの確立」「お客様ファーストの価値提案・支援」も掲げる

 さらに“+1”と位置付ける「お客様ビジネス上での生成AIの価値創出」では、2023年9月に発表したNow Platform最新版(Vancouverリリース)において、さまざまなユースケースで生成AIが活用できる「Now Assist」を実装したことを紹介した。ひとつのセキュアなプラットフォーム上で、汎用LLMと領域特化型LLMを横断的に活用できると語る。

 鈴木氏は、ServiceNowの主要製品ではワークフローの中に生成AIが組み込まれており、すぐにビジネス活用できる状況であることを紹介したうえで、「2024年中には日本語対応を行い、日本のパートナー企業が持つ独自のLLMとの連携も進めていく」と述べた。

 また、ServiceNow Japan インスパイヤーバリュー本部長の吉岡仁氏は、ワークフローに生成AIが組み込まれていることで、業務プロセスの改善における価値があると説明。「これが新たな企業経営の形を生み出す」と強調した。

汎用型+特化型LLMを組み合わせるアプローチ。主要製品のワークフローに「組み込み済み」で提供し、すぐにビジネス活用できる環境を実現する

「社内に蓄積されたデータにはもっと活用の余地がある」

 ServiceNowのグローバルでの2023年度業績は、売上高が89億7100万ドル(約1兆3000億円)となり、契約更新率は99%に達しているという。社員数は2万2500人、顧客数は8100社以上、パートナー数は2000社以上の規模であり、時価総額は1588億ドル(約24兆円)となって、初めて「Fortune 500」リストに加わっている。「ServiceNowが、成長企業から成熟企業に仲間入りした。21世紀の代表的エンタープライズ企業になることを目指しているが、そのステップを確実に歩んでいる」(鈴木氏)。

 日本市場における2023年度のビジネスは、売上高が前年比2桁成長を維持したほか、受注件数、大型案件数とも大幅に増加したという。鈴木氏は、IT領域に加えて非IT領域での成長が貢献していると説明する。日本の社員数も前年比約2倍となった。

日本市場における2023年のビジネスハイライト

 鈴木氏は、「ServiceNowは、祖業であるITSM(ITサービスマネジメント)だけでなく、業務ソリューションの提供により、全社の業務基盤を支えるプラットフォームベンダーになっている」と説明する。IT部門向け以外のソリューションとして、調達や経理、法務、総務、人事、営業などに向けたソリューションのほか、顧客サービスマネジメントやフィールドサービスマネジメントといった顧客接点向けにもソリューションを展開していることをあらためて説明した。

 ひとつのプラットフォーム、データモデルですべてのソリューションをカバーするアーキテクチャを備えることに加えて、顧客が持つ既存のIT資産(ERPやCRM、SCMなど)には手を加えず、エンゲージメントレイヤーを通じて連携を行い、システムのユーザビリティの向上、生産性の向上に寄与できるのが強みだと語る。

 「経営者と話すと『多くのIT投資を行ってきたが、現場からは使いにくいという不満ばかりが出ている』との声を聞く。また、基幹システムをはじめとするSoRのデータを活用している社員は10%に満たないという実態や、データのサイロ化という問題もある。社内に蓄積されたデータにはもっと活用の余地があり、そこにServiceNowが生きる。エンゲージメントレイヤーを通じて、これまでの伝統的ITでは成しえなかった課題を解決し、日本の企業のDXを次のレベルに進めることを支援していきたい」(鈴木氏)

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