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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第30回

『開業医の正体-患者、看護師、お金のすべて』(松永正訓 著、中公新書ラクレ)を読む

「医者は儲かる」は本当か

2024年03月21日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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年収も高いが税金も高い

 “リアルな姿”に関しては、なにより気になるのは収入だが、これについては「医師」「収入」「厚労省」と検索をかけてみればすぐに資料が出てくるという。厚労省が勤務医の給料と開業医の給料の収支差額を公表しているのだ。

 平成18年(2006年)とちょっと古い資料だが、(中略)これによると、病院勤務医の年収は、1479万円。
 法人の開業医の年収は、2530万円。
 個人開業医の年収(収支差額)は、2458万円。
 収支差額というのは、借入金の返済やクリニックの建て替えや修繕のための準備金などを含んでいるものだという。
 なお、全国の勤務医の平均年齢は43.4歳、開業医の平均年齢は59.4歳と報告されている。それはそうであろう。ベテランになってから開業するのだから。なお、2020年のデータを見たら、開業医の平均年齢は60.2歳とさらに上がっていた。なんと還暦が平均である。(135ページより)

 ちなみに大学病院の医師は、アルバイトしなければ生活が成り立たないらしい。しかし医者のアルバイトの時給は1万円くらいなので、アルバイトだけで食っているフリーランスの医師も増えているのだとか。1日8時間働けば8万円、月に20日働けば月収160万円なのだから納得できる話ではある。

 ただし毎日がアルバイトのフリーランスは勉強する機会が著しく減るため、医師としての成長は難しい。そういう意味でも、開業医という選択には意味があるのかもしれない。

 上述のように開業医としての著者の収入は安定しており、勤務医よりも断然高い。だが実際のところ、払っている税金はかなり多いそうである。

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