MWC Barcelona 2024を取材中、Hotpepperというスマートフォンメーカーを見つけました(出展企業名はShenzhen Xinxiang Technology)。何やら楽しそうなメーカー名ですが、もちろん聞いたことはありません。どんな製品を出しているかと展示品を見てみると、実は老舗の中国メーカーであることが判明したのです。
Hotpepperを訳すと「唐からし(唐辛子)」ですね。Hotpepperを出しているのは中国の「小辣椒(Xiao La Jiao)」というメーカー。中国語では唐辛子を辣椒と書きます。この小辣椒も、聞いたことがある人はあまりいないかもしれません。しかし、今から10年くらい前に中国で産声を上げ、一時は低価格モデルが大人気となってキャリアでも取り扱いがあったくらい、メジャーなメーカーだったのです。
ちなみに小辣椒という名前は、当時大ヒットしたシャオミ(小米)にあやかってつけられたもの。シャオミが低価格な「紅米(Redmi)」を出すと、小辣椒も「紅辣椒」を出すなど、当時は動きを見て面白かったものです。背面には唐辛子のロゴが入っているのがチャームポイント。これを見るだけでメーカーがわかるという、優れたデザインです。
しかし、中国ではメーカー間の競争が激化し、高性能モデルからエントリーモデルまでくまなく展開できるほどの開発力を持つメーカーしか生き残れなくなりました。ここ数年をみてもSmartisan、Meituが撤退、あのレノボですらスマートフォン事業はうまくいっていません。小辣椒も競争の厳しい中国市場に見切りをつけ、現在の主力市場はアメリカになっています。
メーカーの規模は小さいながら、製品そのものは品質がとてもいいと感じられます。中国メーカーの競争が激化するにつれ、ハイエンドモデルだけではなくミドルレンジやエントリーモデルも質感に優れた製品が増えています。高画質なカメラモジュールも低価格化が進み、そこそこの価格の製品でもかなりいい絵が撮れるようになりました。また価格を重視したモデルが中心ながらも、5G対応モデルもあります。
H87AはMediaTekの5Gチップセット「MTK 23E+」を搭載、どうやらサムスンの「Galaxy A15 5G」が搭載しているものと同じで、Dimensity 6100+のようです。ディスプレーは6.79型(2400×1080ドット)、4GBメモリーに128GBストレージ、カメラは5000万画素+500万画素+200万画素の3眼構成。5000mAhバッテリーを搭載し、33Wの急速充電に対応します。ミドルレンジモデルとして十分な性能です。
本体サイズは約76.3×168.6×8.9mm。なお、現在Hotpepper USAのウェブやSNSを見ると更新が止まっており、これから改めて市場に投入するモデルのようです。
主力になるモデルは4Gスマートフォンで、最新の「H82A」はMediaTekのHelio G99を搭載。4Gスマートフォンのハイエンドモデルの代表的なチップセットです。性能は4G機として考えれば申し分ありません。
ディスプレーは6.67型(2400×1080ドット)、5000mAhバッテリーを内蔵し、33Wの急速充電に対応。カメラはこちらも5000万画素+500万画素+200万画素の3眼で、5G機のH87Aと同じもののようです。一方でフロントカメラは2400万画素と高画質、セルフィー需要も狙っています。
本体サイズは約76.7×165.8×7.9mmと若干薄め。重量も200gを切っており、軽量で持ちやすいと感じました。
背面をヴィーガンレザー仕上げにした高級感のある「H80C」はHelio G36に6.708型(1650×720ドット)ディスプレーで、エントリークラスの製品。カメラはH87A、H82Aと同等を搭載で、このあたりは部材の共通化でコストダウンをうまく図っています。
1億800万画素カメラ搭載のカメラフォン「H83A」は、円形のカメラバンプを中心とした同心円状のスパイラルのような仕上げがカッコいいモデルです。Helio G99搭載の4Gモデルですが、Dimensity 700/6020あたりを搭載して5Gでも出してほしいもの。
そしてタフネスモデルの「HR10」は5G対応、Dimesity 720を搭載します。こうしてみるとラインナップもバリエーションに富んでいますね。
Hotpepperはほかにタブレットも展開しています。そのうちアメリカのプリペイド端末として、唐辛子のロゴの入った端末があちこちで売られるようになるのかもしれません。ちょっと楽しみです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
この連載の記事
-
第780回
スマホ
AQUOS R9 proのカメラ周りをドレスアップ! フィルター装着で広がるスマホの楽しみ方 -
第729回
スマホ
激薄折りたたみ「Galaxy Z Fold Special Edition」のケース3種類を試す -
第728回
スマホ
Xiaomi 14Tにフィルター装着できるMagSafeケース、香港の予約特典に登場 -
第727回
スマホ
Galaxyの2025年モデルがいよいよ登場「Galaxy A16 5G」が販売開始 -
第726回
スマホ
1700万円のシャオミ製スーパースポーツEV「SU7 Ultra」を広州モーターショーで見た -
第725回
スマホ
この冬一番の注目スマホ、超薄型折りたたみの「心系天下W25」がサムスンから登場 -
第724回
スマホ
駅名ごとGalaxy! クアラルンプールの「Samsung Galaxy駅」がスゴすぎた! -
第723回
スマホ
レトロデザインが可愛すぎる!? Nokiaケータイ風リュックの良さを知ってほしい! -
第722回
スマホ
iPhone 16発売直後の深セン、中国でも中古買い取りショップと転売が盛況 -
第721回
スマホ
日本と変わらぬ熱気がスゴイ! 中国・深セン版「ポタフェス」に行った -
第720回
スマホ
USBケーブルや電源プラグに4G内蔵も! 進化するモバイルルーターたち - この連載の一覧へ