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山根博士の海外モバイル通信 第691回

「Hotpepper」なるメーカーのスマホをMWCで発見! アメリカで復活してた老舗中国メーカー

2024年03月19日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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Hotpepper

唐辛子のロゴのスマホを発見

 MWC Barcelona 2024を取材中、Hotpepperというスマートフォンメーカーを見つけました(出展企業名はShenzhen Xinxiang Technology)。何やら楽しそうなメーカー名ですが、もちろん聞いたことはありません。どんな製品を出しているかと展示品を見てみると、実は老舗の中国メーカーであることが判明したのです。

Hotpepper

Hotpepperブース

 Hotpepperを訳すと「唐からし(唐辛子)」ですね。Hotpepperを出しているのは中国の「小辣椒(Xiao La Jiao)」というメーカー。中国語では唐辛子を辣椒と書きます。この小辣椒も、聞いたことがある人はあまりいないかもしれません。しかし、今から10年くらい前に中国で産声を上げ、一時は低価格モデルが大人気となってキャリアでも取り扱いがあったくらい、メジャーなメーカーだったのです。

 ちなみに小辣椒という名前は、当時大ヒットしたシャオミ(小米)にあやかってつけられたもの。シャオミが低価格な「紅米(Redmi)」を出すと、小辣椒も「紅辣椒」を出すなど、当時は動きを見て面白かったものです。背面には唐辛子のロゴが入っているのがチャームポイント。これを見るだけでメーカーがわかるという、優れたデザインです。

Hotpepper

背面の唐辛子のロゴがポイントだ

 しかし、中国ではメーカー間の競争が激化し、高性能モデルからエントリーモデルまでくまなく展開できるほどの開発力を持つメーカーしか生き残れなくなりました。ここ数年をみてもSmartisan、Meituが撤退、あのレノボですらスマートフォン事業はうまくいっていません。小辣椒も競争の厳しい中国市場に見切りをつけ、現在の主力市場はアメリカになっています。

Hotpepper

Hotpepperの現行モデルたち

 メーカーの規模は小さいながら、製品そのものは品質がとてもいいと感じられます。中国メーカーの競争が激化するにつれ、ハイエンドモデルだけではなくミドルレンジやエントリーモデルも質感に優れた製品が増えています。高画質なカメラモジュールも低価格化が進み、そこそこの価格の製品でもかなりいい絵が撮れるようになりました。また価格を重視したモデルが中心ながらも、5G対応モデルもあります。

Hotpepper

5Gモデルの「H87A」

 H87AはMediaTekの5Gチップセット「MTK 23E+」を搭載、どうやらサムスンの「Galaxy A15 5G」が搭載しているものと同じで、Dimensity 6100+のようです。ディスプレーは6.79型(2400×1080ドット)、4GBメモリーに128GBストレージ、カメラは5000万画素+500万画素+200万画素の3眼構成。5000mAhバッテリーを搭載し、33Wの急速充電に対応します。ミドルレンジモデルとして十分な性能です。

Hotpepper

ディスプレーやカメラ性能は悪くない

 本体サイズは約76.3×168.6×8.9mm。なお、現在Hotpepper USAのウェブやSNSを見ると更新が止まっており、これから改めて市場に投入するモデルのようです。

Hotpepper

価格が安ければ売れそうだ

 主力になるモデルは4Gスマートフォンで、最新の「H82A」はMediaTekのHelio G99を搭載。4Gスマートフォンのハイエンドモデルの代表的なチップセットです。性能は4G機として考えれば申し分ありません。

Hotpepper

4Gモデルの「H82A」

 ディスプレーは6.67型(2400×1080ドット)、5000mAhバッテリーを内蔵し、33Wの急速充電に対応。カメラはこちらも5000万画素+500万画素+200万画素の3眼で、5G機のH87Aと同じもののようです。一方でフロントカメラは2400万画素と高画質、セルフィー需要も狙っています。

Hotpepper

H87Aと同等のカメラを搭載、2つのカラバリが展示されていた

 本体サイズは約76.7×165.8×7.9mmと若干薄め。重量も200gを切っており、軽量で持ちやすいと感じました。

Hotpepper

薄めのボディーで持ちやすい

 背面をヴィーガンレザー仕上げにした高級感のある「H80C」はHelio G36に6.708型(1650×720ドット)ディスプレーで、エントリークラスの製品。カメラはH87A、H82Aと同等を搭載で、このあたりは部材の共通化でコストダウンをうまく図っています。

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レザー仕上げが美しい「H80C」

 1億800万画素カメラ搭載のカメラフォン「H83A」は、円形のカメラバンプを中心とした同心円状のスパイラルのような仕上げがカッコいいモデルです。Helio G99搭載の4Gモデルですが、Dimensity 700/6020あたりを搭載して5Gでも出してほしいもの。

Hotpepper

カメラに特化した「H83A」は1億800万画素カメラを搭載

 そしてタフネスモデルの「HR10」は5G対応、Dimesity 720を搭載します。こうしてみるとラインナップもバリエーションに富んでいますね。

Hotpepper

タフネス5Gの「HR10」

 Hotpepperはほかにタブレットも展開しています。そのうちアメリカのプリペイド端末として、唐辛子のロゴの入った端末があちこちで売られるようになるのかもしれません。ちょっと楽しみです。

Hotpepper

タブレットも展開しており、アメリカでの存在感がこれから高まるかも

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